外国人が日本で初めての災害体験・避難生活 日本の課題が浮き彫りに
~災害時の食と言語 「おせっかいも必要」~ マレーシア出身 ヌルルフダ・ビンティ・シャフィフィ氏 取材記事公開
尾西食品株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長 古澤紳一 ※以下、尾西食品)は、防災食・備蓄のリーディングカンパニーとして、”アルファ米”をはじめとする非常食を製造・販売。「誰にとっても安心安全な食」の提供を通じ、日常の防災意識を高める活動をすすめています。2021 年3月より、公式サイトにて防災コラムの発信をしております。
災害時の避難生活は、特に外国人の方の場合、言語の壁に加え、宗教上の理由などにより食べ物などの環境も異なり、大変厳しい状況を強いられることが容易に想像され、私たち日本人としてもその状況を知り、さまざまな背景を持つ方々と共に生活を送るためにいろいろな点に配慮する必要があります。
今回は、外国人の立場からの災害避難時の実態を知るために、2019年の九州豪雨災害にて避難所での生活を経験されたマレーシア人のヌルルフダ・ビンディ・シャフィフィ氏にお話を伺い、公式サイトにて取材記事全文を公開しました。
ヌルルフダ・ビンティ・シャフィフィ氏(プロフィール)
マレーシア出身。母国で大学在学中、岡山理科大学電気電子システム学科編入の
ため来日。その後日系企業等で勤務後、2017年~2021年まで鹿児島県日置市
国際交流員として入庁。 2020年、鹿児島市観光アンバサダーに任命。
現在はゼネコン企業の国際業務に携わっている。
マレーシアのマラッカ出身のヌルルフダ氏は小学生の時、文化交流で漫画に触れたことがきっかけで、日本に興味を持ち、日本語を勉強するようになりました。岡山の大学に編入のため来日、その後一度帰国し母国の大学を卒業後、日本の国際交流員として採用され、鹿児島県日置市役所にて勤務していた時に、九州豪雨災害を経験。ヌルルフダ氏はイスラム教徒なので、イスラム教の教えで食べてよいとされている食べ物であるハラール食品が日々の食事には欠かせず、また1日5回の礼拝の義務があります。当時の被災状況や避難所での生活などについて、ヌルルフダ氏にお話を伺いました。
――2019年の九州豪雨災害で避難所に避難されたと伺いましたが、当時の状況についてお聞かせください。
ヌルルフダ氏(以下 フダ) 九州は台風の通り道に当たるので毎年のように豪雨災害があります。2019年7月3日夜、住んでいた日置市内の近くの川の氾濫の危険が高まったとして緊急避難指示が市から出され、アラートメッセージ(Emergency Alerts)が携帯電話に届きました。本文は日本語だったので、日本語の分からないマレーシア人のためにその内容をマレー語に訳してすぐに自分のFacebookでシェアして避難を呼びかけました。
夜7時過ぎにヨガマットと枕2つ、パスポートと携帯電話を持って、夫と共に避難先の公民館に避難しましたが、既に多くの住民の方々が来ていました。私たちは何も食べるものを持ってこず、また公民館でも食事が提供されなかったので、お腹が空いてしまい、朝になってから高台にあるコンビニに行って、おにぎりやペットボトルの水を買いました。私たちはイスラム教徒ですが、梅干しや魚の具のおにぎりならば食べることができます。その後、水が引いたので、安全を確認して避難所から自宅に戻りました。
〜災害避難時には食事、プライバシー、言語などに配慮が必要〜
――避難所生活ではどのようなことが一番気になりましたか。
フダ やはり気になるのは食べ物で、ハラール食品があると一番安心です。イスラム教徒は、教えが厳しいというよりも、教えをちゃんと守っている人たちなので、豚肉やアルコールなど教えで禁止された食べ物を食べると気分が悪くなります。災害時にも避難所で野菜スープなどが提供されると、イスラム教徒だけではなくてベジタリアンやヴィーガンの人たちも食べられるので良いと思います。
以前、鹿児島の桜島での避難訓練にボランティアとして参加したことがあります。有名な活火山なので、桜島から避難所に避難するまでを訓練するのですが、避難所でご飯が用意されていて、牛肉カレーとベジタリアン向けの野菜カレーが別々に提供されていて大変ありがたかったです。ベジタリアンやヴィーガン、またイスラム教徒やヒンズー教徒でも食べられる野菜料理が用意されていることは、大切なことだと思いました。
最近では、大豆から作られた鶏肉や牛肉に似せた大豆ミート食品があります。10年前に留学していた時とは世の中が大きく変わってきていて、鶏肉や牛肉が食べたくなった時には今では大豆ミート食品を食べられるので本当に便利になりました。このような食材を使って料理が提供されると、誰でも食べることができるので良いと思います。
――お祈りの場所やプライバシー、また言語面への配慮なども必要とお伺いしました。
フダ 避難所にはお祈りをする場所の仕切りがなくて、着替えも難しかったので、パーティションやお祈りができる部屋があると良かったと思います。また、イスラム教の女性は髪を他人に見せてはいけないので外ではヒジャブというスカーフを被っていますが、自宅ではヒジャブを外します。避難所では仕切りがなくてプライバシーがなく、ヒジャブを外せなかったので大変暑かったです。
携帯電話に届いた市からのアラートメッセージの本文が日本語だけだったので、英語でも表記する必要があると思います。近所に英語の先生達も住んでいましたが日本語が読めずに困っていました。また防災無線も日本語だけの内容なので、危険度が高い場合には最低限英語でも内容を伝えるようにすることが市民の命を守るためにも必要だと思います。
SNSでは各言語でのコミュニティが地域毎にあり、LINEグループやFacebookなどで情報が共有されています。行政が情報を共有するのでしたら、文字数制限がないFacebookでの日本語と英語での情報発信が良いと思います。
〜食や礼拝場所などに課題、日本人には外国人に対して「おせっかいになって欲しい」〜
マレーシア人はほぼイスラム教徒なので、一番気になるのは食べ物のことです。日本へ旅行をするときには、ハラール食品が食べられる場所やお祈りができる場所など事前にしっかりと情報を入手しますが、やはり心配なのです。10年前に比べると良くはなっていると思いますが、普通のスーパーなどでもハラール食品が買えるようになるとさらに良いと思います。
以前、私は鹿児島の郊外に住んでいましたが、ハラール食品を買える店が近くになくて大変不便でした。ハラール食品のレトルトカレーやラーメンなどがコンビニなどでも買えるようになると、イスラム教徒に限らず、ベジタリアンやヴィーガンでも食べることができて良いと思います。
また、デパートなど人が集まる場所に、個室の礼拝所があるとありがたいです。日本で色々な場所に喫煙所があるのと同じように、マレーシアではデパートなどに個室の礼拝所があります。日本では、買い物をしていてお祈りの時間となると、仕方がないので試着室や階段の下でシートを敷いてお祈りをすることもあり、警備員さんから質問を受けることもありました。お祈りの場所を用意してもらえるとありがたいです。
――読者の皆様にメッセージをお願いします。
フダ 災害の時は、皆焦っていて冷静に考えられなくなります。特に外国人は、言葉の壁などもあり、家族も遠くにいて心細くなるので、日本人が色々と教えてくれたり、助けてくれたりすると一番うれしいと思います。近くに外国人の方がいたら、是非、声をかけてあげてほしいと思います。鹿児島にいたときは周りの皆さんがお節介で「大丈夫ですか」と常に気にかけてくれてありがたかったのですが、東京に来てからはそのようなことがなく寂しかったです。是非、笑顔だけでも相手の方には「心のチャージ」になるので、日本人の方には外国人の方におせっかいになっていただきたいです。
本文はこちら:
外国人が日本で初めての災害体験・避難生活 日本の課題が浮き彫りに
https://www.onisifoods.co.jp/column/detail.html?no=13
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