~トレンド予測レポート「ソーシャルリスニング」~ 会社員アクティブユーザーの7割が、仕事中SNSをチェック 期待高まる、ソーシャルリスニング・クラウドサービスとは!? 津田大介氏に聞く、ソーシャルリスニングの有効性
日に日に存在感を増すソーシャルメディア。それは、個人にとどまらず、企業にとっても同様です。FacebookやTwitterを通じて、企業が消費者に向けて情報発信をすることは、もはや当たり前の手法となっています。最近では、ビッグデータなどの話題にも注目が集まり、ソーシャルメディアは、企業のマーケティング戦略にとって目が離せないツールになりつつあります。
こうした背景の中で、今回トレンド総研(東京都渋谷区)では、「ソーシャルリスニング」というマーケティング手法に注目しました。
ソーシャルメディアの魅力の1つは、誰でも手軽に情報発信ができること。そのため、ソーシャルメディア上で、どのような情報が発信されているかを調べることで、社会の現在の姿を知ることができます。そして、この手法を「ソーシャルリスニング」と呼びます。
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グラフ 1
トレンド総研では、この「ソーシャルリスニング」が今後より注目を集めていくと予想しています。
そこで、会社員500名に「仕事とソーシャルメディアに関する調査」を実施。また、その結果を受け、実際にソーシャルリスニングを行うツール「Salesforce Marketing Cloud」を企業に提供する、株式会社セールスフォース・ドットコムの加藤希尊氏にお話をうかがいました。最後に、Twitterをはじめとするソーシャルメディアに詳しい、ジャーナリストの津田大介氏に取材を行い、「ソーシャルリスニング」について聞きました。
■Summary
本レポートでは、「ソーシャルリスニング」について調べました。その概要をまとめます。
<主な調査結果>
(1) 会社員の2人に1人が、SNSサービスを週1回以上、閲覧しているアクティブユーザー。
(2) その7割が「仕事中にSNS閲覧」も、SNSを仕事に活かせていると言う人は半分以下。
<「Salesforce Marketing Cloud」ブランドマネージャー・加藤希尊氏へのインタビューの要点>
(1) 「マーケティング」、「営業」、「カスタマーサポート」など、ソーシャルリスニングを活かせるシーンは幅広い。
(2) 誰でも、効率的にソーシャルリスニングを行うことができるクラウドサービスが拡大している。
(3) しかし、その重要性や有効性については、日本では、まだ十分に理解されていない。
<ジャーナリストの津田大介氏へのインタビューの要点>
(1) 流通する情報量は多く、他人にとって有益な情報がやり取りされているのが、日本のSNSの特徴である。
⇒同じ文字数で、日本語は英語の3倍の情報量を伝えられることが可能
⇒自身の知っている情報をシェアすることが好きなのが、SNS上における日本人の情報発信の特徴
(2) Twitterをはじめとする、SNS上の口コミ情報を調べることは、非常に効率的な情報収集の方法である。
(3) SNS上の情報を利用する際は、情報発信者の属性を調べるなど、分析を行なうことがポイントになる。
■1. 会社員にSNS利用に関する調査を実施、その仕事との関係とは!?
今回、ソーシャルリスニングについて調べるにあたり、ソーシャルメディア、特に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用について、会社員500名に調査を行いました。本調査では、SNS利用者の広がりや、会社員の仕事におけるSNS利用の現状が、明らかになりました。
[調査概要]
調査名:「仕事におけるソーシャルメディアの利用に関する調査」
調査対象:25歳~39歳の男女 500名(性別・年代別に均等割り付け)
※20代後半男性:83名、30代前半男性:84名、30代後半男性:83名
20代後半女性:84名、30代前半女性:83名、30代後半女性:83名
調査期間:2013年4月24日(水)~2013年4月26日(金)
調査方法:インターネット調査
調査実施機関:楽天リサーチ株式会社
◆ 広がる利用者、会社員の2人に1人が「週に1回以上、SNSを閲覧」
はじめに、会社員の人たちのソーシャルメディアの利用状況について調べました。ソーシャルメディアの内、特に注目が高いのは、FacebookやTwitterなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。そこで、これらのSNSについて、各サービスのアカウントを持っているかどうか、質問をしました。すると、「Facebook」(51%)、「mixi」(50%)、「Twitter」(43%)が、アカウント所有率の高かった上位3サービスという結果になりました。また、1サービスでもSNSのアカウントを持っているという人は、74%に上ります。
しかし、アカウント所有者の全員がSNSを利用しているという訳ではありません。アカウントを持っていても、利用していないという人もいます。そこで、1週間に1度はこれらのSNSを閲覧しているというアクティブなユーザーがどれだけいるのかを調べました。その結果、SNSアカウント所有者の75%、全体の55%が、いずれかのSNSに対して、「1週間に1回以上閲覧している」と回答。25歳~39歳の会社員の内、2人に1人は、少なくとも1週間に1回以上はSNSを閲覧していることが分かりました。
http://www.atpress.ne.jp/releases/35723/1_1.jpg
◆会社員の7割が「仕事中にSNSを閲覧」も、有効に利用できている人は半分以下
それでは、会社員にとって、SNSはどういった役割を持っているのでしょうか。もちろん、プライベートのみでSNSを利用しているという人もいるでしょう。一方で、仕事にSNSを役立てているという人は、どれほどいるのでしょうか。前段において、「SNSを1週間1回以上利用している」と答えた55%の人を対象に調査を行いました。まず、「仕事中に、これらのSNSを閲覧することがありますか?」と聞いたところ、69%が「ある」と答えました。会社員の7割は、仕事中にもSNSをチェックしているようです。
http://www.atpress.ne.jp/releases/35723/2_2.jpg
一方で、「SNS上の情報が仕事に活かされた経験がある」という人は28%と、およそ3割。具体的に、どのように仕事に活かすことができたのかについても聞くと、「自社の商品に関するお客様の声を聞くことができた。(クリエイティブ系・31歳女性)」、「ソーシャルメディアを活用してイベントの告知をしている。(企画系・28歳男性)」といった意見が多く見られました。情報収集や情報発信に、SNSを活かすという人が多いようです。その他にも、「次の仕事につながる関係ができた。(営業系・33歳男性)」、「IT技術のグループを立ち上げ、ディスカッションを行った。(技術系・27歳男性)」など、社外の人との人脈構築に関する意見や、「職場のコミュニケーションがとりやすくなった。(事務系・37歳男性)」といった社内コミュニケーションの円滑化に関する意見があげられました。SNSが仕事に活かされる場面は多岐に渡ります。とはいえ、仕事中にSNSを利用している人が、およそ7割に上るのに対して、SNSを仕事に活かせているという人はおよそ3割。その割合は半分以下です。情報収集・発信から社内外の人間関係の構築・円滑化と、SNSが活躍する場面は様々で、かつ、多くの人にとって必要な内容であることを考えると、今後、仕事においてSNSを活かしたいという人は、増加していくのではないかと予測されます。
■2. 全世界3,000企業以上が採用のクラウドサービス、その担当者に取材を実施
今回実施した、会社員500名への「仕事におけるソーシャルメディアの利用に関する調査」では、SNSを日常的に利用している人のおよそ3割が、情報収集・発信を中心とする幅広い用途で、仕事にSNSを上手く活用しているという実態が明らかになりました。しかし、その一方で、仕事中にSNSを閲覧している会社員は多いものの、その大部分の人はSNSを仕事に活かしきれていないというのが現状です。
こうした現状の理由としては、ソーシャルメディア上の情報の特性が考えられます。誰でも手軽に情報発信をすることが可能なソーシャルメディア。様々な視点からの意見が交わされる一方、情報量は膨大で必要な情報は散在しています。個人レベルでソーシャルメディア上の情報を上手に活用するには、情報収集から選定、分析と、ソーシャルメディアリテラシーをはじめとする高いスキルが要求されます。
そこで、注目すべきマーケティング手法が、「ソーシャルリスニング」です。ソーシャルメディア上の情報を分析することにより、現在のトレンドを把握したり、将来的な流行を予測したりすることを指す、ソーシャルリスニング。戦略策定や意思決定、リスクマネジメントと、幅広く活用することが可能です。近年、このソーシャルリスニングの仕組みをシステム化したサービスの提供が広がりつつあります。こうしたサービスを導入すれば、今までは属人的な要素の強かったソーシャルメディア上の情報の仕事への活用が、誰でも簡単に行うことができるようになります。
そこで、今回トレンド総研では、こうしたソーシャルリスニングのサービスを提供する株式会社セールスフォース・ドットコムに取材を依頼しました。セールスフォース・ドットコム社が展開する「Salesforce Marketing Cloud」は、全世界で3,000社以上に導入されている、統合型ソーシャルマーケティングプラットフォームです。自動的なソーシャルリスニングの実施が可能で、ソーシャルメディア上の4億件以上の会話をリアルタイムで収集し、必要な情報を抽出。様々な企業活動に役立てることができます。この「Salesforce Marketing Cloud」のブランドマネージャーの加藤希尊氏に、お話をうかがいました。
株式会社セールスフォース・ドットコム
ホームページ: https://www.salesforce.com/jp/
◆ 期待のクラウドサービス、システム導入により実現するソーシャルリスニングの真価
Q. ソーシャルリスニングのシステム導入により、どんなことができるようになりますか?
マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、企業活動における幅広い領域において、ソーシャルリスニングはその役割を果たすことが可能です。よく行なわれている利用方法の一例として、「ブランドモニタリング」について説明します。
企業が自社、あるいは、競合企業の社名やサービス名などのワードで、ソーシャルリスニングを行なったとしましょう。これらのワードが、ソーシャルメディア上で、誰に、どのような時、どんな文脈で語られているのか、情報を集めます。その情報を分析すれば、自社ブランドのアピールポイントや改善すべき点が分かるでしょう。差別化など、競合企業に対する戦略の策定も可能です。
セールスフォース・ドットコムが展開する「Salesforce Marketing Cloud」では、こうした情報を簡単に収集することができます。「ポジ・ネガ分析」なども自動的に行なうことができるので、ソーシャルリスニングを行なう手間は非常に小さくなります。また、ソーシャルメディア上の情報量は膨大で、プラットフォームごとに、その手法を使い分けなければなりません。クラウドサービスの導入などにより、上手にシステム化しなければ、本当に効果的なソーシャルリスニングを行なうことは困難です。そのため、多くの企業の場合、システムの導入により、初めてソーシャルリスニングを実施することが可能になると言っても過言ではないでしょう。
◆米国・フォーチュン500選出企業の大半がソーシャルリスニングを実施、今後注目される日本での導入拡大
Q. 企業によるソーシャルリスニングの導入は、どの程度進んでいますか?
世界的に見れば、ソーシャルリスニングは非常に多くの企業に導入されています。例えば、米国フォーチュン誌が選定する、総収入額が大きい企業のランキング、フォーチュン500に選出された企業にフォーカスすれば、その過半数を占める55%が、セールスフォース・ドットコムの「Salesforce Marketing Cloud」を導入している程です。
しかし、それに比べると、日本での導入率は決して高いとは言えないでしょう。多くの企業では、まだソーシャルリスニングの重要性や有効性に気付いていないという印象があります。その一方で、国内でも、ソーシャルリスニングを有効に取り入れて、様々な取り組みを行なっている企業もあります。ソーシャルメディア上での1投稿から商品の抜本的な改善につなげたり、ソーシャルメディア上で顧客との関係を形成し、企業側から能動的なアプローチをしたりと、大きな効果を上げた事例も少なくありません。
日米でのWebサービスのトレンドには、2~3年のラグがあることが一般的です。今後、ソーシャルリスニングに関する注目が高まり、認知を獲得するのにともない、日本でも、ソーシャルリスニングを取り入れる企業が急速に拡大していくと予想しています。
■3. 津田大介氏にインタビュー、ソーシャルメディア活用とソーシャルリスニング
セールスフォース・ドットコム社の加藤氏からうかがった、日米でのソーシャルリスニングの導入率の違い。米国に比べると、日本では、まだまだソーシャルリスニングへの理解は低いそうですが、今後、どのように変わっていくのでしょうか。
Twitterをはじめとするソーシャルメディアに精通する、ジャーナリスト・津田大介氏にソーシャルリスニングについて聞きました。
◆日米でのソーシャルメディアの違いとは?日本でのソーシャルリスニングの有効性
Q. 日米のソーシャルメディアの違いをお教え下さい。また、その違いは、ソーシャルリスニングにどのような影響を与えますか?
日米におけるソーシャルメディアの違いとしては、発信できる情報量の差があげられます。例えば、“情報”というワードをとりあげると、日本語では“情報”で2文字。一方、英語では“information”で11文字です。1投稿に140文字という制約のあるTwitterはもちろん、ソーシャルメディア上では長い文章が敬遠されることを考えると、限られた文字数の中でコミュニケーションをとる必要があります。一般的に、同じ文字数で比較すれば、日本語の情報量は英語の3倍程度に上ります。そのため、日本のTwitter上では、英語圏の国々より多く、多様な情報が流通していると言われます。
また、情報の中身も、日米では大きな違いがあります。Instagramを例にあげれば、日本では、「猫の写真」と「食べ物の写真」ばかりがアップされ、人気を得ているようです。InstagramのCEO、ケヴィン・シストロム氏は、「こうした情報発信の内容は、アメリカ人には理解できないものだ」と言っていました。東京であれば、「美味しいお店がある」という情報がシェアされれば、「ちょっと足を伸ばしてみよう」という話になりますが、広いアメリカでは、そうはいきません。もちろん文化的な違いもあります。多様な食文化を持つ日本では、そもそも食べ物の話をするのも好きなのでしょう。他方、アメリカでは、「女の子の自撮り画像」ばかりがアップされています。総じて、日本人は自身の知っている情報をシェアするのが、アメリカ人は自分のことをアップするのが、好きな傾向にあります。
流通する情報量は多く、他人にとって有益な情報がやり取りされている日本のソーシャルメディア。こうした特徴を考慮すれば、日本におけるソーシャルリスニングの有効性は明らかだと言えるでしょう。
◆ソーシャルリスニングの起点はTwitter、最も効率的な検索ツールの特徴と今後の可能性
Q. その他にもソーシャルリスニングのメリットがあれば、お教え下さい。
ソーシャルリスニングの有効性については、現在のTwitterを見れば明らかです。SEOが発達するにつれ、インターネット上で本当の口コミ情報を集めることが難しくなりました。商品購入の際は、誰もが損をしたくないと思っています。そんな時には、他人が書いた、客観的な情報はやっぱり重要なのだと思います。ECサイトでも、口コミが0件の商品と、1件でもついている商品では、その購入率に大きな違いが生まれます。
現在、最も活発に口コミ情報のやり取りがされているのが、Twitterです。私も商品を購入する際には、Twitterで口コミ情報を探すようになりました。Twitterの検索は、すでに最も効率的な検索ツールだと思っています。ソーシャルリスニングの有効性はこういった点からも明らかです。消費者が参考にする情報なのだから、企業がその情報を収集しない手はないですよね。
ただし、ソーシャルリスニングを行なう際には、気をつけなければならない点もあります。ソーシャルメディア上には、ノイズも多く、悪意を持ったネガティブな動きがある可能性もあります。その際は、冷静に対応することが必要です。単純にどんな情報があるかという点だけでなく、プロフィールやタイムライン、フォロワー数から、その人の属性を分析することが重要です。そうすることで、本当に重要な情報を効率的にピックアップすることができるでしょう。
◆津田大介(つだ だいすけ) -ジャーナリスト/メディア・アクティビスト-
http://www.atpress.ne.jp/releases/35723/3_3.jpg
1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。大阪経済大学客員教授。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。東京工業大学リベラルアーツセンター非常勤講師。
J-WAVE「JAM THE WORLD」ナビゲーター。NHKラジオ第1「すっぴん!」パーソナリティー。テレ朝チャンネル2「ニュースの深層」キャスター。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムを様々な形で実践。ポップカルチャーのニュースサイト「ナタリー」の創業・運営にも携わる。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2013」選出。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。
<主な著書>
『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ) ほか
公式サイト: http://tsuda.ru/
Twitter: https://twitter.com/tsuda (@tsuda)
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担当: 川浦(かわうら)
TEL : 03-5774-8871
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