第17回「働く人の電話相談室」「働く人のSNS相談室」結果報告 SNS相談で40代の相談割合が増加 働き盛りの世代の相談割合増加が今年も顕著
働く人の心の問題解決を支援する「産業カウンセラー」を養成する一般社団法人 日本産業カウンセラー協会(会長:田中 節子)では、世界自殺予防デーにあわせて2023年9月10日(日)に全国14の拠点で「働く人の電話相談室」を開設しました。また、東京と関西の2カ所にあるSNS相談室にて「働く人のSNS相談室」を開設し、産業カウンセラー資格を有する専門家が各地で電話とSNSを活用した相談にあたりました。今回寄せられた延べ162名、259件(※相談者からの主訴を最大3つまで選択する方式として集計)の相談からその相談内容を集計し、結果をまとめましたのでご報告いたします。
新型コロナウイルス感染症は2023年5月8日より5類に移行し、社会の混乱は一定の収束を迎え、少しずつコロナ禍以前のような日常に戻りつつあります。新型コロナやテレワークの影響が直接的な要因となる相談の割合は昨年と同レベルであったものの、今年は家族に関する悩みが減少し、職場の悩みやキャリアに関する悩みが増加したことから、コロナ禍の3年間で働く場の環境が変化した様子が垣間見えました。また、今年で2回目となったSNSによる相談は、40代からの相談が突出して多いという結果になりました。
なお、これまでは9月10日前後の3日間を実施日としてきましたが、今年度は1日のみの開催としました。そのため今年度の報告は実数での前年比較ではなく、比率での比較としています。
<第17回「働く人の電話相談室」「働く人のSNS相談室」の結果 主なポイント>
・SNS相談においては40代からの相談が多い傾向
・コロナ禍後の職場・キャリアへの悩みが多く、労働環境・条件やパワハラの相談が増加
・悩みの相談相手は上司・同僚や知人が減り、公的機関が増加
■悩みの内容や相談先の変化は新型コロナの影響か
新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことを受けて、電車はラッシュが増加し、人々は再び職場に戻ってきました。しかし昨年から続く戦争の影響や、金融政策に伴う大幅な円安からの物価の上昇などで、人々の生活は先行きに不透明感が漂っています。
今年度の相談は自分自身や家族といった内的な悩みよりも、働く環境や労働条件に関係する相談が目立ちました。また、相談をする相手としては上司・同僚や知人が減り、公的機関や弁護士等専門家へ相談するという人が増えるという結果になりました。新型コロナの影響でいったん停滞を余儀なくされた社会全体の活動は、徐々に戻りつつありますが、今後、働く場にはどのような影響が新たに生まれていくのか、注視が必要です。
■新型コロナの影響は横ばい
新型コロナやテレワークついての言及があった相談は、一昨年と比較すると昨年、今年ともに減っており、影響は和らいできていることがうかがえます。
<コロナ、テレワークの影響について>
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■相談者の割合は変化なし
相談者の属性割合は昨年と大きな変化はありませんでした。
<相談者の属性割合と昨年比較>
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■SNS相談の利用者は40代が中心
SNS相談は今年で2年目となりました。昨年と比較して男女ともに40代の利用が突出して多かったこと、60代以上の利用が無かったことから、働くミドル世代に相談が大きく偏る傾向が見えました。
<男女別・年代別割合の昨年比較>
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■全体では徐々に40代の働き盛りへ相談割合がシフト
相談全体の男女比は女性が6割~7割弱で推移しています。年代別ではこの4年間の推移で比較すると、以前は50代がもっとも多かったものの、徐々に40代へシフトして今年はついに逆転しました。
<男女別相談者の割合>
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<年代別相談者の割合>
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■職場で労働条件や待遇の悩みが増加
悩みの項目としては「職場の悩み」(47.1%)、「キャリアに関する悩み」(17.4%)が合わせて8.7%増となり、「自分自身の悩み」(11.6%)、「家族に関する悩み」(5.4%)が合わせて9.3%減となって、自分や家族のことより仕事での悩みにシフトし働く環境の中での悩みを抱える人が多いという結果となっています。
項目別で最も割合が高かった「職場の悩み」の項目では「パワハラ」が2.1%増、「労働条件・待遇」が3.6%増となりました。
<悩みの項目別割合と昨年比較>
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<「職場の悩み」項目別相談比率>
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■相談の対象は職場から公的機関へ
悩みの相談相手については、「同僚」「上司」「仕事上の知人」といった仕事関係の人は4.3%減少し、「知人・友人」も4.8%減少しています。
一方で「公的機関」(17.1%)への相談は昨年より7.4%増加しています。
<「相談相手」項目別相談比率>
単位:%
【2023年度「働く人の電話相談室」実施概要】
●実施日時:2023年9月10日(日)午前10時~午後10時
●実施場所:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会9支部14拠点
●実施方法:フリーダイヤルによる電話およびSNSによる受付
●集計総数:延べ 162名(電話128名、SNS34名)、259件(電話197件、SNS62件)
●集計方法:相談内容をA~Hまで8つのカテゴリーに分類、
それぞれのカテゴリー内に最大11個の項目を設定し、
相談者からの主訴を1つから最大3つまでを選択する方式として
集計した。また、カテゴリーA『職場の悩み』のうち、
(1)職場の人間関係、(2)セクハラ、(3)パワハラ、
(4)その他のハラスメント、の4項目については、
悩みの対象が誰なのか「1 男性」「2 女性」、相談者との関係性
「1 上司(役員含め)」「2 部下」「3 同僚」「4 非正規社員」
「5 その他・不明」と細分化し、項目の選択から悩みの内容を
類推できるようにした。
【日本産業カウンセラー協会について】
日本産業カウンセラー協会は、1960年に創立、1970年に社団法人として認可され、60年を超える歴史と実績があります。主な事業としては産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの育成、企業・団体向けの研修や相談、個人向けの電話相談活動など多岐にわたります。
所在地: 〒105-0004 東京都港区新橋6-17-17 御成門センタービル6階
会長 : 田中 節子
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