我が国最大の小中学生による『城郭』研究コンテスト 「第22回城の自由研究コンテスト」受賞者決定
公益財団法人日本城郭協会(理事長:小和田 哲男)は、株式会社ワン・パブリッシング(代表取締役社長:廣瀬 有二)と共催で教育事業の一つとして小学生・中学生を対象とした「第22回城の自由研究コンテスト」を開催しました。加藤 理文当協会理事を審査員長とする審査会にて選定を行い、文部科学大臣賞を各務 日乃さん(東京学芸大学附属世田谷小学校3年/東京都)と中村 潔敬さん(三郷市立彦成中学校3年/埼玉県)、日本城郭協会賞 鵜飼 壮さん(一宮市立萩原小学校6年/愛知県)と足立 晴音(獨協埼玉中学校1年/埼玉県)、ワン・パブリッシング賞 外林 海星さん(多賀城市立多賀城小学校6年/宮城県)と足立 晴音さん(日本城郭協会賞と同時受賞)を選出。以下優秀賞・佳作全体で小学生10名、中学生12名の受賞が決まりました。
表彰式は12月17日、パシフィコ横浜で開催された「お城EXPO2023」会場にて開催されました。
それぞれの作品名・受賞理由は以下の通りです。
■文部科学大臣賞(小学生の部)
<各務 日乃さん(東京学芸大学附属世田谷小学校3年/東京都)>
『ようがいの地にきずかれた世田谷城
西がわだけがなぜ弱い?! 世田谷線おほり説を立てる』
素朴な疑問から仮説を立て、地形図・陰影起伏図・古写真を調べ、さらに現地調査を実施し、ペットボトルを使った現地での実験など、多角的方法で証明しようとしていく過程が非常に素晴らしいと評価した。結論に至るまで解き明かしていく文章も秀逸で、読んでいて引き込まれる程だった。失われた城跡で、これだけの研究が出来るということを知らしめる大変素晴らしい作品である。
■文部科学大臣賞(中学生の部)
<中村 潔敬さん(三郷市立彦成中学校3年/埼玉県)>
『道庭城いざ復元』
曾祖父の「半田村」は元々「道庭村」との仮説を検証するために、明治以降の地形図や発掘調査資料を読み取り、現地調査を経て城の場所を特定することが出来た。道庭城を方形館として復元し、後世に伝えたいとして上手にまとめまで持っていけている。具体的な模型を作ったことも、評価の対象とした。
■日本城郭協会賞(小学生の部)
<鵜飼 壮さん(一宮市立萩原小学校6年/愛知県)>
『これからのお城の生きる道~名古屋城バリアフリー問題から考える
これからのお城のあり方や名古屋城木造再建について~』
極めて難しい課題を、あらゆる角度から徹底的に分析し、松本城など他5城を現地取材することで、より深めることが出来た。現存天守、木造再建天守、RC造の再建天守、石垣だけの城という取材先の選択もすばらしく、木造再建だけでない城全体を考えることでより作品に厚みが加わった。
■日本城郭協会賞/ワン・パブリッシング賞(中学生の部)
<足立 晴音さん(獨協埼玉中学校1年/埼玉県)>
『道庭城の謎は沼にある』
中村さんの作品と甲乙つけがたく、審査員一同熟考を重ねた結果、ダブル受賞と言う特別な評価をした。小学校からの継続調査で、今回も非常に丁寧にそしてしっかりと裏付けを取る調査が出来ている。川と道という地形の違いから、水運と陸運の要衝の重要性に気付き、それを今までの調査で得た膨大な資料と結び付け、さらにそばたか神社と有力氏族との関係にも言及し、結論付けてく過程が素晴らしかった。
■ワン・パブリッシング賞(小学生の部)
<外林 海星さん(多賀城市立多賀城小学校6年/宮城県)>
『枡形進化論』~枡形は古から受け継がれた由緒ある仕掛けだった~
枡形について、弥生時代の吉野ケ里遺跡に始まる囲郭集落まで遡らせ、自分なりの仮説を立て17ヶ所の現地調査を実施し、防御力・攻撃力・びびらせ力・発想力・造りやすさの五項目を定めて比較検討したところが面白かった。マインクラフトを使った模型も効果的で、模造紙のまとめ方も非常に上手で、この二つも評価対象とした。
優秀賞・佳作は以下の通りです。
■小学生の部
優秀賞 猪野 康介(筑波大学附属聴覚特別支援学校小学部2年/千葉県)
初めての自由研究 家康ゆかりの城
優秀賞 長谷川 太一(小野市立大部小学校5年/兵庫県)
池田輝政と姫路城
優秀賞 鈴木 遼太(武蔵野市立千川小学校5年/東京都)
「城地名」はどこにある
優秀賞 中川 瑞祥(朝倉市立杷木小学校6年/福岡県)
秋月城(陣屋)防衛計画論考
佳作 小川 正(横浜市立大鳥小学校3年/神奈川県)
僕だったらどうする!?
~山中城の戦いから考える北条氏の守り方を考える~
佳作 加藤 大芽(名古屋市立極楽小学校5年/愛知県)
攻城戦最強の城はどこだ!!! ~平山城の謎に迫る~
佳作 割鞘 凛人(福山市立野々浜小学校5年/広島県)
お城歴一年の僕が調べる 福山城と現存天守の謎
■中学生の部
優秀賞 内田 智也(刈谷市立富士松中学校1年/愛知県)
未来に残す石垣構造
優秀賞 中脇 光翼(掛川市立西中学校2年/静岡県)
古文書から読み説く
掛川城の真の姿III~歴史に隠されたもう一つの掛川城~
優秀賞 伊藤 拓生(駒場東邦中学校3年/東京都)
関東甲信の城-発達の共通点と相違点
佳作 清水 愛心(静岡大学教育学部附属島田中学校1年/静岡県)
「城」が表す時代の変化について
佳作 川上 結輝(岡山県立岡山操山中学校2年/岡山県)
天空の城 備中松山城の謎に迫る
~備前 宇喜多直家・秀家の城との比較を通して~
佳作 佐藤 悠翔(宇都宮大学共同教育学部附属中学校2年/栃木県)
1700年の宇都宮史~北関東最強の宇都宮氏と宇都宮城~
佳作 小林 潤喜・亀山麟太郎・鈴木 駿真
(静岡大学教育学部附属島田中学校2年/静岡県)
鉄砲と『円』の関係~諏訪原城、田中城、真田丸~
佳作 篠宮 颯介(静岡大学教育学部附属島田中学校3年/静岡県)
武田流築城術は本当に武田流?~諏訪原城の要 丸馬出~
◆「城の自由研究コンテスト」開催概要
行事名称:「第22回城の自由研究コンテスト」
主催者 :公益財団法人日本城郭協会/株式会社ワン・パブリッシング
後援 :文部科学省 教育新聞社 読売KODOMO新聞 読売中高生新聞 城びと
協賛 :童友社
目的 :小・中学生の総合的な学習をふまえ、地域のシンボルである
「城」を探訪し、研究・調査・発表する中で
我が国の文化遺産についての理解を深める。
概要 :全国の小学生、中学生から応募された城に関する自由研究の
優秀作品に対し、小学生の部と中学生の部それぞれに
文部科学大臣賞、日本城郭協会賞、ワン・パブリッシング賞、
優秀賞、佳作、団体賞(学校賞)を選出し、これを表彰する。
◆「第22回城の自由研究コンテスト」応募状況
今回の応募状況は33都府県から、211作品となりました。
内訳は小学生の部で個人応募54作品、団体応募11団体13校49作品の計103作品、中学生の部で個人応募20作品、団体応募14団体88作品の計108作品でした。
1次審査、2次審査を経て選出された小学生の部及び中学生の部でそれぞれ10作品に対して、11月に行われた最終審査では、各審査員の採点と評価で最高得点の作品それぞれに文部科学大臣賞、続く高得点の作品に主催者賞である日本城郭協会賞とワン・パブリッシング賞をそれぞれ選出し、その後、優秀賞、佳作を選出しました。なお、団体賞(学校賞)につきましては今年、該当団体はありませんでした。
◆「第22回城の自由研究コンテスト」審査員
加藤 理文(協会理事・協会学術委員会副委員長・文学博士)
諏訪間 順(協会評議員・小田原城天守閣館長)
柳下 則久(青山学院大学客員教授)
萩原 さちこ(協会理事・城郭ライター)
前田 利久(清水国際高等学校校長)
星川 武(株式会社ワン・パブリッシング歴史群像編集長)
◆公益財団法人日本城郭協会
日本城郭協会は、昭和30年に設立後、昭和42年に文部省の認可を受け、「日本および世界各国の城郭に関する研究、調査、啓蒙を通じて、民族、歴史、風土に関する知識の普及を図り、もって教育、文化の発展に寄与すること」を目的として城郭関連団体で唯一の公益財団法人として活動しています。
主要な事業としては「日本100名城・続日本100名城」の認定とスタンプラリーの運営や「お城EXPO」「日本城郭検定」「城の自由研究コンテスト」の主催などを行っています。
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