最も権威のある日本唯一の城郭関連顕彰事業 第3回日本城郭協会大賞 「増山城解説ボランティア曲輪の会」が受賞
公益財団法人日本城郭協会(理事長:小和田哲男)は、小和田理事長を審査員長とする審査会にて第3回日本城郭協会大賞の選定を行い、日本城郭協会大賞に「増山城解説ボランティア曲輪の会」の受賞を決定しました。併せて城郭・城址の維持・整備を自主的に行うボランティア団体等を賞する日本城郭文化振興賞に「山名氏城跡保存会」を、城郭文化の普及に寄与した個人・団体を賞する日本城郭文化特別賞を「余湖浩一氏」に、城郭管理者として特筆すべき成果を挙げた自治体等を顕彰する調査・整備・活用賞を「飛騨市教育委員会」に授与することを決定いたしました。また、坂本城で発見された遺構保存のために尽力された大津市と工事計画の中止を決断された「株式会社三王不動産流通」に審査員特別表彰を行うこととし、本日4月6日(城の日)に発表しました。
それぞれの受賞理由は以下の通りです。
◆「日本城郭協会大賞」 増山城解説ボランティア曲輪の会(富山県砺波市)
増山城解説ボランティア「曲輪の会」は、平成22年(2010)に設立。砺波市民に加えて、富山県内や石川県在住の会員も活躍。次世代に活動を継承する目的で、地元小学生向けのガイドや子・親・祖父母の三世代で行う「三世代草刈り&バーベキュー」を開催するなど、城跡を地域振興の拠点として位置づけ、郷土愛の醸成につながる活動をしている。毎年秋に開催される「増山城戦国祭り」と合わせ、地元を巻き込みながら会員も楽しんで参画する保全活動の一つの形を提示している。
優秀な学芸員のもと、研鑽を積んだボランティアメンバーによる多彩なガイドは来訪者に増山城に関する知識だけでなく感動も与えており、各地で取り組まれている城郭ガイドボランティアの取り組みの嚆矢、好実践例として大賞を授与することとした。
◆「日本城郭文化振興賞」 山名氏城跡保存会(兵庫県豊岡市)
「山名氏城跡保存会」は、山名氏関連の城郭、特に有子山城の定期的な草刈り、山道の維持に努めるほか、広く啓発活動を継続して実施している。
有子山城は急峻な山上にあるが、「山名氏城跡保存会」が定期的に登山道の整備、安全配慮に努め、山上部の草刈りを会員総出で定期的に実施しているため、山上の石垣遺構も見学しやすく、また山麓の旧出石城下町から山上部の石垣をはっきりと視認できるなど、遺跡の維持のみならず景観整備にも大きく貢献していることを評価する。
◆「日本城郭文化特別賞」 余湖浩一氏(城郭研究家)
~余湖くんのホームページの作成・運営~
余湖氏は教職のかたわら、27年間に渡って全国の城郭・城址に足を運び得た情報を、自ら描いた城の鳥観図(余湖図)と写真・文章で構成されたブログ「余湖くんのホームページ」を運営し、無償で城郭愛好家に向けて公開を続けている。
城の情報がほとんどない時代から、1万余の城の情報が掲載される「余湖くんのホームページ」の見どころ、アクセス等の情報を参考にして城巡りをする愛好家は多く、同氏の仕事が現在の城ブームの礎になっていると言っても過言ではない。その仕事量と情熱は想像を絶するものであり、特別賞に値するものと評価する。
◆「調査・整備・活用賞」 飛騨市教育委員会
~姉小路氏城館跡の国指定史跡認定~
姉小路氏城館の緻密な調査により山上居館、畝状空堀群の構築過程、織豊系城郭への改修過程等を解明し、遺跡としての価値を明瞭にした結果、国指定史跡として認定されたことを評価する。
◆「審査員特別表彰」 大津市/株式会社三王不動産流通
~坂本城遺構保存に向けた活動~
株式会社三王不動産流通が、開発のために取得した土地から出土した坂本城の遺構保存のために尽力された大津市と、遺構保存に理解を示し工事計画を中止して将来の国史跡認定取得のために大津市に協力する決断をした株式会社三王不動産流通の行動に感謝して、審査員特別表彰を行うこととした。
◆受賞者の表彰は6月5日に開催予定の日本城郭協会総会にて執り行う予定です。また、年末にパシフィコ横浜で開催される「お城EXPO2024」(主催:日本城郭協会・ムラヤマ・城びと・パシフィコ横浜)にて受賞者による記念講演等を予定しています。
◆第3回日本城郭協会大賞概要
・主催 公益財団法人日本城郭協会
・後援 東京都教育委員会
・協賛 ブックオフコーポレーション株式会社
・審査員 審査員長 小和田哲男(協会理事長・文学博士・静岡大学名誉教授)
副審査員長 三浦正幸(協会評議員・工学博士・広島大学名誉教授)
加藤理文(協会理事・文学博士)
審査員 千田嘉博(協会理事・文学博士・奈良大学教授)
中井均(協会評議員・滋賀県立大学名誉教授)
小和田泰経(協会理事・静岡英和学院大学非常勤講師)
萩原さちこ(協会理事・城郭ライター)
安形哲夫(協会会員・株式会社ジェイテクト前社長)
森忠彦(毎日新聞元編集委員)
宮代栄一(朝日新聞編集委員)
多可政史(読売新聞文化部)
◆公益財団法人日本城郭協会
日本城郭協会は、昭和30年に設立後、昭和42年に文部省の認可を受け、「日本および世界各国の城郭に関する研究、調査、啓蒙を通じて、民族、歴史、風土に関する知識の普及を図り、もって教育、文化の発展に寄与すること」を目的として城郭関連団体で唯一の公益財団法人として活動しています。
主要な事業としては「日本100名城・続日本100名城」の認定とスタンプラリーの運営や「お城EXPO」「日本城郭検定」「城の自由研究コンテスト」の主催などを行っています。
◆日本城郭協会大賞
2022年に公益財団法人移行10周年を記念して城郭文化の振興に貢献した団体・個人を顕彰する制度として創設しました。過去の受賞は以下の通りです。
第1回 2022年4月6日発表
日本城郭協会大賞
・大東市・四條畷市 「国指定史跡につながった飯盛城跡の発掘・調査」
日本城郭文化振興賞
・番場の歴史を知り明日を考える会 「鎌刃城跡の啓発・普及・保存活動」
日本城郭文化特別賞
・春風亭昇太師匠
第2回 2023年4月6日発表
日本城郭協会大賞
・久野城址保存会(静岡県袋井市)
日本城郭文化振興賞
・可児市山城連絡協議会(岐阜県可児市)
日本城郭文化特別賞
・香川元太郎氏(イラストレーター)
・島充氏(模型作家)
調査・整備・活用賞 ※第2回から創設
・福島県白河市 「東日本大震災で被災した石垣を復旧した白河小峰城跡」
・福山城 「福山城の天守外観復元・全国唯一の北側鉄板張りを復元」
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