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能登半島地震の甚大な被害を踏まえ、 災害被災者公的救済制度研究会が緊急提言を公表

災害被災者公的救済制度研究会(座長・角松 生史(神戸大学大学院法学研究科教授))は、能登半島地震の甚大な被害を踏まえて、以下のような緊急提言を2月9日付で公表しましたので、お知らせします。



■能登半島地震の甚大な被害を踏まえた、住宅・生業・コミュニティの復旧・復興に向けた緊急提言


2024年2月9日 災害被災者公的救済制度研究会


2024年1月1日に発生した2024年能登半島地震においては、2月6日14時時点で死亡者240名、負傷者1,291名、住宅被害30,538棟(全壊3,125棟、半壊4,067棟、床上浸水6棟、床下浸水19棟、一部破損23,321棟)、道路やライフラインの途絶、といった甚大な被害が報告されている。災害関連死の疑い事例も報告されている。


2021年10月に発足した本研究会は、個人の住居・生活の再建を通じて被災前のコミュニティを復旧・復興し、もって被災者を被災前の生活の原状にできる限り近づけることを公的に可能にする法制度の実現を目指して、研究活動を進めてきた。新たな法制度の構想についてはなお研究途上であるが、現段階の検討を踏まえ、住宅と生業の復旧・復興の観点から、以下の点を緊急に提言する。


第1に、被災者生活再建支援法(以下「支援法」という。)を改正して、支援金の上限を大幅に増額すべきである。本研究会における東日本大震災被災地の釜石市、気仙沼市の実態調査によれば、現行支援金と自己資金のみで住宅が再建できたケースはほとんどなく、自治体による独自施策を加えても再建不能となっている場合が多い。支援金の大幅な増額なくしては、住宅の再建とコミュニティの維持・復興は困難である。現在政府において新たな交付金の追加支給を行うとされているが、今回限りの対応ではなく、法改正により恒久的制度を構築すべきである。


第2に、被災者生活再建支援法人に対する国庫補助の割合を、現状の2分の1から大幅に引き上げるべきである。現行の支援法は、「都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金」による支援を根幹とする考え方を前提としているが、これまで支援金の増額を議論する上で、各都道府県の財政事情がハードルになっていたことは否めない。将来的には上記の考え方の見直しも含めて、国庫負担を増加させる方向での改正が必要である。


第3に、上記の支援金の給付額をできるだけ迅速に確定し、住民の生活の安定と被災地の速やかな復興(支援法1条)に資する、被災者の早期の意思決定を可能にする仕組みが必要である。資金計画を早期に明確にできることが、コミュニティに残り住宅を再建する方向での意思決定のために、何よりも必要な前提である。


第4に、コミュニティ復興のためには、住宅再建支援に加えて、生業支援の重要性も高い。東日本大震災を契機に導入されたグループ施設等復旧支援補助事業(グループ補助金)の仕組みは、工場・設備等の復旧に一定の効果を上げたとされるが、なお問題点も指摘されている。個別事業者への直接支援も含めて、生業支援を通じたコミュニティ復興につながる有効・柔軟な事業者支援の在り方を検討すべきである。



■災害被災者公的救済制度研究会メンバー・連絡先

(法律系)

大脇 成昭 九州大学教授

角松 生史(座長) 神戸大学教授

近藤 卓也 北九州市立大学准教授

ソ・ヌリ 神戸大学研究助手

見上 崇洋 立命館大学名誉教授

楊 雅舒 大阪学院大学講師

松森 美穂(事務局) 弁護士

斎藤 浩(事務局) 弁護士


(都市計画・住宅・土木系)

市古 太郎 東京都立大学教授

塩崎 賢明 神戸大学名誉教授

杉原 五郎 株式会社 地域計画建築研究所相談役

藤井 聡 京都大学教授

マリ・エリザベス 東北大学准教授


(経済・財政系)

平岡 和久 立命館大学教授



■連絡先

大阪市中央区北浜2-5-23 小寺プラザ8階 弁護士法人FAS淀屋橋総合法律事務所

電話:06-6231-3110(代)

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