20歳以上の約1,300万人が過活動膀胱に罹患していることが判明! 尿に関する様々な症状の有病率や生活の質(QOL)への影響を調査
一般社団法人日本排尿機能学会(理事長:高橋 悟 日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野 主任教授)は、下部尿路症状に関する疫学調査(疫学調査実行委員会 委員長:三井 貴彦 山梨大学医学部 泌尿器科学講座 教授)を約20年ぶりに実施し、その結果を2024年に公開いたしました。その結果、約8割の方が尿に関して何らかの症状を訴えているものの、実際の受診率は4.9%にとどまっていることがわかりました。
【調査の背景】
尿に関する様々な症状である下部尿路症状の有病率や生活の質(QOL)への影響に関しては、海外での疫学調査に加えて、2002年に本邦で行われた疫学調査の結果でも明らかとなり、現在でもこのデータが広く引用されています。しかし、その疫学調査から20年以上経過し、本邦が他の先進国と比べても未曾有の超高齢社会を迎えていることもあり、下部尿路症状の有病率、QOLへの影響などを改めて調査する必要があると考えました。
【主な調査結果】
■みんなが一番困っている尿に関する症状は?
一番困っている症状を挙げていただくと、夜間頻尿が男女とも高い傾向にありました。その他男性では尿を出す症状が、女性では尿漏れに関する症状が高かったです。
■男性は「チョイ漏れ」、女性は「力み漏れ」に悩み
排尿が終わった後に、尿で下着を濡らしてしまうといったチョイ漏れ(排尿後尿滴下)。今回の疫学調査では男性の20代-30代で約23%程度と、若年層でもチョイ漏れの経験があることがわかりました。また、くしゃみをしたり、重いものを持ったりした際に、尿が漏れてしまう力み漏れ(腹圧性尿失禁)は女性に多く、高齢者では半分近くの方が腹圧性尿失禁を経験していることがわかりました。
■20歳以上の約1,300万人が過活動膀胱に罹患
急に尿がしたくなって我慢できないといった尿意切迫感を伴って「尿が近い」「トイレに間に合わない」といった症状を呈する過活動膀胱はQOLに大きな影響を与える疾患です。
今回の調査では有病率は加齢とともに上昇し、50歳以降急激に伸びてくることがわかりました。
■今回の調査を通じて
下部尿路症状の全体的な有病率は、年齢とともに上昇し約8割の参加者が何らかの下部尿路症状を訴えていました。
これら下部尿路症状のQOLへの影響ついては、参加者の12.4%が日常生活に影響があると回答しており、その影響は年齢とともに増加していました。その一方で、医療機関への受診率は極めて低かったです。「下部尿路症状は加齢に伴うもので病気ではない」と考えている人が多いという現状についても今回の疫学調査では示されており、今後のさらなる啓発活動が必要であると考えられました。
【調査の詳細】
「下部尿路症状に関する疫学調査(JaCS 2023)」
超高齢社会を迎えた本邦で、尿に関する様々な症状である下部尿路症状の有病率やQOLへの影響に関して、実態を把握することを目的に疫学調査を実施しました。
調査期間 :2023年5月31日-2023年6月5日
調査方法 :調査会社(株式会社マクロミル)の
パネル利用によるインターネット調査
対象者 :全国の20代~90代の男女
※各年代において総務省統計局国勢調査の人口比率に基づき、
男女、年代、地域性を考慮し実施
回収サンプル数:6,210人(男性3,122人、女性3,088人)
【一般社団法人日本排尿機能学会について】
本学会は昭和48年に神経因性膀胱研究会として発足し、平成26年10月には一般社団法人日本排尿機能学会となり、2023年に50周年を迎えました。
会員数は2,048名(令和4年7月末時点)になり、泌尿器科だけでなく神経内科、産婦人科、リハビリ科、看護学科、生理学、薬理学、薬学などの各領域からエキスパートが参加している学際的な学術団体です。
年1回の学術集会の開催、年2回の学会誌の発行、各種ガイドラインの作製、学会自主研究の導入などを中心に活動しています。
【会社概要】
名称 : 一般社団法人日本排尿機能学会
理事長 : 日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野 主任教授 高橋 悟
事務局所在地: 東京都千代田区霞が関1-4-2 大同生命霞が関ビル
(日本コンベンションサービス株式会社 内)
- カテゴリ:
- 調査・報告
- タグ:
- 健康・ヘルスケア その他ライフスタイル 経済(国内)
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