AIが働き方と労働市場をどのように変えるのか、 マイクロソフトと LinkedInが最新レポートを公開
マイクロソフトと LinkedIn は、日本を含む 31 カ国 31,000 人を対象とした調査や、LinkedIn の利用動向などのデータを基に、AI が働き方や労働市場にどのような影響を与えているのかを明らかにするレポート、2024 Work Trend Index を公開しました。
*本レポートの詳細はこちら( https://news.microsoft.com/ja-jp/features/240509-ai-at-work-is-here-now-comes-the-hard-part/ )を参照ください。
*日本を含む市場別データはこちら( https://news.microsoft.com/wp-content/uploads/prod/sites/47/2024/05/JP_GlobalData.pdf )を参照ください。
本レポートから、下記の3つの傾向が明らかになりました。
1. 従業員は職場での AI 活用を望んでおり、企業が準備するのを待とうとはしない
現在、ナレッジワーカーの 75% が仕事で AI を使用していますが、その効果はすでに現れています。ユーザーは AI が役立つこととして、時間の節約 (90%)、最も重要な仕事への集中 (85%)、より創造的になれる (84%)、より仕事を楽しむことができる (83%) を挙げています。ほとんどのリーダーは AI が不可欠であることに同意していますが、すぐに ROI を示さなければならないというプレッシャーから、迅速に動くことが難しくなっています。リーダーの 79% は、競争力を維持するために自社への AI 導入が不可欠であることに同意していますが、59% が AI の生産性向上の定量化に懸念を抱いています。
経営層からの指導や許可が無いことから、従業員は自分たちでAIを使い始めています。AI ユーザーの 78% が自分の AI ツールを職場に持ち込んでいます (BYOAI)。 BYOAI を推進するもう 1つの要素は、仕事が従業員の能力を上回るスピードで増えていることです。 68% の人が仕事のペースや量に負担を感じ、46% の人が燃え尽き感に悩まされていると答えています。また、メールの過負荷状態も継続しており、メールの 85% が 15 秒以内に読まれ、典型的なケースでは 1 通のメールを送信するごとに約 4 通のメールを読まなければなりません。
2. AI は従業員の目標設定を高め、キャリアの上限を打ち破る
AI は労働市場にも影響を与え始めています。企業はすでに AI技術者の獲得に乗り出しており、AI 技術者の採用は過去 8 年間で 323% 増加しています。今、企業は、ChatGPT や Copilot のような生成 AI ツールを使用するスキル、つまり AI 適性を持つ非技術系人材に目を向けています。
・リーダーの 66% が AI スキルの無い人材は採用しないと回答しています。
・リーダーの 71% が、AI スキルを持たない経験豊富な候補者よりも、AI スキルを持つ経験の浅い候補者を採用したいと回答しています。
・若年の求職者は新たな強みを手にするかもしれません。リーダーの 77% が、AI によって若い人材により大きな責任を与えられるようになると回答しています。
3. AI パワーユーザーの台頭と彼らが明らかにする未来
今回の調査により、AI をほとんど利用しない懐疑的なユーザー、AI を幅広く利用するパワーユーザー、その中間である初心者と中級者という 4 タイプの AI ユーザーの存在が明らかになりました。
パワーユーザーとは、AI を使い慣れている、あるいは、非常に使いこなしており、少なくとも週に数回は仕事で AI を使用し、1 日に 30 分以上の時間を節約しているユーザーのことです。パワーユーザーは、AI を活用することで、膨大な仕事量を管理しやすくなり (92%)、創造性が高まり (92%)、最も重要な仕事に集中できるようになり (93%)、モチベーションが上がり (91%)、仕事が楽しくなった (91%) と回答しています。また、パワーユーザーは仕事のやり方を根本的に変えています。彼らが AI を利用するのは、会議を欠席した際の遅れを取り戻すため (+56%)、情報を分析するため (+51%)、ビジュアルコンテンツをデザインするため (+49%)、顧客と対話するため (+49%)、ブレーンストーミングや問題解決のため (+37%)などです。すでに個人の作業の枠を超え、AI を活用してビジネスプロセスやワークフローを再設計するケースも 66% 多くなっています。
■Copilot に関する調査: AI はどのように労働時間を再編成しているのか
マイクロソフトが複数業種の 60 人の Copilot ユーザーを対象に、6 カ月間にわたるランダム化比較試験 (RCT) を実施した結果、AI が職場の労働形態を根本的に変えたことが示されました。
メール: 全体として、Copilot のユーザーでは、個々のメールを読む回数が 11% 減り、メールのやり取りに費やす時間が 4% 減少しています。最も効果があったユーザーでは、メールを読む時間が 25% から 45% 短縮しました。
会議: 会議に費やす時間が増えた企業もあれば、減った企業もあります。一つの仮説は、AI が、情報の蓄積として、そして、創作活動への近道として会議の価値を高め、ブレーンストーミングから容易に文書の初稿が得られるようになったというものです。効率性が高まったことで会議の回数が減る企業もあれば、価値が上がったことで会議の回数が増える企業もあるということです。AI の能力が進歩するにつれて、研究者はこの効果が続くと予想しています。すなわち、会議の時間を短縮できるとともに、会議の価値を高めることができます。
文書: 全体として、Copilot のユーザーでは Word、Excel、PowerPoint での文書編集量が 10% 増加しています。最も大きな影響を受けた企業は、20% 増加しています。これは、人々が節約した時間を、情報の作成や消費といった価値の高い作業に再利用していることを示唆しているのかもしれません。
■進むべき道
従業員の AI に対する熱意をビジネスの変革につなげることが、リーダーにとっての将来の機会となります。その方法は組織によって異なりますが、ここでは一般的な始め方を紹介します。
・ビジネス上の課題を識別し、AI を適用する: あらゆる機能で効率化が可能ですが、重要なのは、プロセスを選び、AI を適用することです。たとえば、カスタマーサービスから始め、電話対応時間の改善にフォーカスするなどです。
・トップダウンとボトムアップの両方のアプローチ: 実験から変革に至るには、CEO から若手の従業員に至るまで、組織のあらゆるレベルでの関与が必要です。AI でチームを活性化させるために、ビジネスラインのリーダーを参加させることが、ビジネス上の利益につながります。
・研修の重視: AI のパワーユーザーは、独学で学んでいるわけではありません。彼らは、一般的なタスクと、自分の役割や機能に合わせた使い方の両方について、継続的なトレーニングを受けています。LinkedIn Learning ( https://www.linkedin.com/business/talent/blog/learning-and-development/new-framework-for-ai-upskilling?_l=en_US )はスキルアップに最適な場所です。 また、Copilot Scenario Library ( https://adoption.microsoft.com/en-us/copilot-scenario-library/ )は特定の職務や機能のユースケースを提供します。
本レポートの詳細はこちら( https://news.microsoft.com/ja-jp/features/240509-ai-at-work-is-here-now-comes-the-hard-part/ )を参照ください。また、Copilot for Microsoft 365の新たなイノベーションはこちら( https://news.microsoft.com/ja-jp/2024/05/09/240509-microsoft-and-linkedin-release-the-2024-work-trend-index-on-the-state-of-ai-at-work/ )をご参照ください。
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