2024年度上原記念生命科学財団 上原賞受賞者及び各種助成金受領者決定のお知らせ
公益財団法人上原記念生命科学財団(東京都豊島区、理事長:上原明)は、12月13日(金)に開催した理事会において、2024年度上原賞・各種助成金贈呈対象者を決定しましたのでお知らせいたします。
今年度の上原賞は2名、各種助成件数は335件、助成金総額(上原賞副賞を含む)は13億5,075万円となりました。
今年度の上原賞は2名、各種助成件数は335件、助成金総額(上原賞副賞を含む)は13億5,075万円となりました。
上原賞 2名 副賞1件 3,000万円
※掲載は五十音順
○神取 秀樹 氏 名古屋工業大学 大学院工学研究科 特別教授
対象となった研究業績
「光遺伝学的視覚再生の基盤ツールとなるロドプシンの開発研究」
「光遺伝学的視覚再生の基盤ツールとなるロドプシンの開発研究」
○柚﨑 通介 氏 慶應義塾大学 医学部 生理学 教授
対象となった研究業績
「新しいシナプス接着機構の解明と神経機能操作法の開発」
「新しいシナプス接着機構の解明と神経機能操作法の開発」
各種助成金 335件 12億9,075万円
○特定研究助成金 20件 7,000万円
○研究助成金(1件500万円) 85件 4億2,500万円
○研究推進特別奨励金(1件400万円) 10件 4,000万円
○研究奨励金(1件200万円) 100件 2億円
○海外留学助成金 55件 3億450万円
○若手海外留学支援金 36件 2億120万円
○その他
・国際シンポジウム開催助成金 19件 1,900万円
・来日研究生助成金 10件 3,105万円
公益財団法人上原記念生命科学財団は、1985年の設立以来、今年度40年目となります。
2024年度までの生命科学に関する諸分野の研究に対する助成(上原賞含む)は約11,800件、約384億円になります。
○研究助成金(1件500万円) 85件 4億2,500万円
○研究推進特別奨励金(1件400万円) 10件 4,000万円
○研究奨励金(1件200万円) 100件 2億円
○海外留学助成金 55件 3億450万円
○若手海外留学支援金 36件 2億120万円
○その他
・国際シンポジウム開催助成金 19件 1,900万円
・来日研究生助成金 10件 3,105万円
公益財団法人上原記念生命科学財団は、1985年の設立以来、今年度40年目となります。
2024年度までの生命科学に関する諸分野の研究に対する助成(上原賞含む)は約11,800件、約384億円になります。
上原賞受賞者
◆受賞者氏名 : 神取 秀樹(カンドリ ヒデキ)理学博士
◆所属機関および役職: 名古屋工業大学 大学院工学研究科 特別教授
◆生年月日 : 1960年 6⽉ 5⽇⽣
◆略 歴
1984年 3月 京都大学 理学部 (物理学教室)卒業
1989年 3月 京都大学 大学院理学研究科(生物物理学専攻)博士課程修了
1990年 4月 分子科学研究所 博士研究員
1992年 11月 理化学研究所 博士研究員
1993年 12月 京都大学 大学院理学研究科(生物物理学専攻)助手
1999年 1月 京都大学 大学院理学研究科(生物物理学専攻)講師
2001年 11月 名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教授
2003年 12月 名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授
2022年 4月 名古屋工業大学 特別教授(称号付与)
◆受賞対象となった研究業績
「光遺伝学的視覚再生の基盤ツールとなるロドプシンの開発研究」
2005年に始まった光遺伝学は、光応答性タンパク質を動物の脳に発現させることにより動物の行動を光で厳密に制御することを可能にし、脳研究に革新をもたらした。光遺伝学に欠かせないツールであるチャネルロドプシンや光駆動ポンプなど微生物ロドプシンの研究に於いて、最先端の分光学的手法を適用することで、光がどのような反応によってタンパク質に取り込まれ、それがどのように機能に繋がるのかというメカニズムを解明した。さらに、得られた分光データを活用して、光駆動ナトリウムポンプ、内向きプロトンポンプ、新規チャネルロドプシン、酵素ロドプシン、ヘリオロドプシンといった数々の新しいロドプシン機能を発見した。機能の創成については、光駆動プロトンポンプを1アミノ酸の変異によりクロライドポンプへと転換したことを端緒として、光駆動カリウムポンプ、光駆動セシウムポンプやキメラロドプシンの創成を実現した。発見した新規チャネルロドプシンと創成したキメラロドプシンは失明患者の視覚再生ツールとして開発が進められており、社会実装が期待される卓越した研究業績である。
◆所属機関および役職: 名古屋工業大学 大学院工学研究科 特別教授
◆生年月日 : 1960年 6⽉ 5⽇⽣
◆略 歴
1984年 3月 京都大学 理学部 (物理学教室)卒業
1989年 3月 京都大学 大学院理学研究科(生物物理学専攻)博士課程修了
1990年 4月 分子科学研究所 博士研究員
1992年 11月 理化学研究所 博士研究員
1993年 12月 京都大学 大学院理学研究科(生物物理学専攻)助手
1999年 1月 京都大学 大学院理学研究科(生物物理学専攻)講師
2001年 11月 名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教授
2003年 12月 名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授
2022年 4月 名古屋工業大学 特別教授(称号付与)
◆受賞対象となった研究業績
「光遺伝学的視覚再生の基盤ツールとなるロドプシンの開発研究」
2005年に始まった光遺伝学は、光応答性タンパク質を動物の脳に発現させることにより動物の行動を光で厳密に制御することを可能にし、脳研究に革新をもたらした。光遺伝学に欠かせないツールであるチャネルロドプシンや光駆動ポンプなど微生物ロドプシンの研究に於いて、最先端の分光学的手法を適用することで、光がどのような反応によってタンパク質に取り込まれ、それがどのように機能に繋がるのかというメカニズムを解明した。さらに、得られた分光データを活用して、光駆動ナトリウムポンプ、内向きプロトンポンプ、新規チャネルロドプシン、酵素ロドプシン、ヘリオロドプシンといった数々の新しいロドプシン機能を発見した。機能の創成については、光駆動プロトンポンプを1アミノ酸の変異によりクロライドポンプへと転換したことを端緒として、光駆動カリウムポンプ、光駆動セシウムポンプやキメラロドプシンの創成を実現した。発見した新規チャネルロドプシンと創成したキメラロドプシンは失明患者の視覚再生ツールとして開発が進められており、社会実装が期待される卓越した研究業績である。
上原賞受賞者
◆受賞者氏名 : 柚﨑 通介(ユザキ ミチスケ)医学博士
◆所属機関および役職: 慶應義塾大学 医学部 生理学 教授
◆生年月日 :1959年10月6日
◆略 歴
1985年 3月 自治医科大学医学部卒業
1985年 4月 大阪急性期・総合医療センター・大阪府健康医療部
1989年 4月 自治医科大学大学院 博士課程入学(香川靖雄教授)
1991年 4月 自然科学研究機構基礎生物学研究所 内地留学(御子柴克彦教授)
1992年 4月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
1993年 9月 米国Roche分子生物学研究所 博士研究員 HFSP Long-term Fellow
1995年 12月 米国St. Jude Childrenʼs Research Hospital 助教授
2002年 11月 米国St. Jude Childrenʼs Research Hospital 准教授
2003年 4月 慶應義塾大学 教授(医学部・生理学)
2010年 4月 文部科学省・脳科学研究戦略推進プログラム プログラムオフィサー
2016年 4月 AMED・脳科学研究戦略推進プログラム プログラムスーパーバイザー
2020年 1月 日本神経科学学会会長(~2023年12月)
2021年 10月 慶應義塾大学大学院 医学研究科委員長(~2023年9月)
2022年 10月 慶應義塾大学WPI-Bio2Q 拠点長特別補佐
2023年 10月 日本学術会議会員 神経科学分科会委員長・研究評価分科会幹事
◆受賞対象となった研究業績
「新しいシナプス接着機構の解明と神経機能操作法の開発」
脳を構成する神経回路では、神経細胞のつなぎ目である「シナプス」を介して情報が伝達される。うつ病、統合失調症、自閉スペクトラム症、認知症などの精神疾患や発達症の多くは、シナプスの機能や構造の異常に起因する「シナプス症」であることが近年提唱されている。しかし、その分子機構については未解明な点が多い。そこで神経回路がより単純である小脳をモデルとして、記憶・学習の基礎過程であるシナプス可塑性(LTP/LTD)を担う分子機構の解明を進め、その成果を海馬や大脳など他の脳部位にも適用できる一般原理として発展させた。これらの知見に基づき、in vivoにて可逆的にLTDを操作できる光遺伝学ツールを開発し、小脳の特定シナプスでのLTDと運動学習との因果関係を実証した。またシナプス形成分子Cbln1の発見を契機として、補体C1qファミリーに属する新しいシナプス形成分子群を世界に先駆けて発見し、その動作原理を確立した。また、これらの分子群の機能と構造に基づき、興奮性シナプスを誘導する人工シナプスコネクター(CPTX)を開発し、アルツハイマー病や脊髄損傷モデルマウスへの投与により、学習・記録機能や運動機能が著しく改善することを示した。シナプス修復を目指した新しい治療戦略としての発展が期待される独創的な研究業績である。
<参考資料>【いままでの上原賞受賞者一覧】(敬称略、所属・役職は受賞時)
◆所属機関および役職: 慶應義塾大学 医学部 生理学 教授
◆生年月日 :1959年10月6日
◆略 歴
1985年 3月 自治医科大学医学部卒業
1985年 4月 大阪急性期・総合医療センター・大阪府健康医療部
1989年 4月 自治医科大学大学院 博士課程入学(香川靖雄教授)
1991年 4月 自然科学研究機構基礎生物学研究所 内地留学(御子柴克彦教授)
1992年 4月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
1993年 9月 米国Roche分子生物学研究所 博士研究員 HFSP Long-term Fellow
1995年 12月 米国St. Jude Childrenʼs Research Hospital 助教授
2002年 11月 米国St. Jude Childrenʼs Research Hospital 准教授
2003年 4月 慶應義塾大学 教授(医学部・生理学)
2010年 4月 文部科学省・脳科学研究戦略推進プログラム プログラムオフィサー
2016年 4月 AMED・脳科学研究戦略推進プログラム プログラムスーパーバイザー
2020年 1月 日本神経科学学会会長(~2023年12月)
2021年 10月 慶應義塾大学大学院 医学研究科委員長(~2023年9月)
2022年 10月 慶應義塾大学WPI-Bio2Q 拠点長特別補佐
2023年 10月 日本学術会議会員 神経科学分科会委員長・研究評価分科会幹事
◆受賞対象となった研究業績
「新しいシナプス接着機構の解明と神経機能操作法の開発」
脳を構成する神経回路では、神経細胞のつなぎ目である「シナプス」を介して情報が伝達される。うつ病、統合失調症、自閉スペクトラム症、認知症などの精神疾患や発達症の多くは、シナプスの機能や構造の異常に起因する「シナプス症」であることが近年提唱されている。しかし、その分子機構については未解明な点が多い。そこで神経回路がより単純である小脳をモデルとして、記憶・学習の基礎過程であるシナプス可塑性(LTP/LTD)を担う分子機構の解明を進め、その成果を海馬や大脳など他の脳部位にも適用できる一般原理として発展させた。これらの知見に基づき、in vivoにて可逆的にLTDを操作できる光遺伝学ツールを開発し、小脳の特定シナプスでのLTDと運動学習との因果関係を実証した。またシナプス形成分子Cbln1の発見を契機として、補体C1qファミリーに属する新しいシナプス形成分子群を世界に先駆けて発見し、その動作原理を確立した。また、これらの分子群の機能と構造に基づき、興奮性シナプスを誘導する人工シナプスコネクター(CPTX)を開発し、アルツハイマー病や脊髄損傷モデルマウスへの投与により、学習・記録機能や運動機能が著しく改善することを示した。シナプス修復を目指した新しい治療戦略としての発展が期待される独創的な研究業績である。
<参考資料>【いままでの上原賞受賞者一覧】(敬称略、所属・役職は受賞時)
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