<自治体向け調査> 女性活躍支援の課題は「職員の人手が足りない」が半数以上
~他自治体の先行事例や職員の発案などにて施策を考案、 「デジタルスキル習得を通じた女性の活躍支援事業」への興味は半数~
WebやICTを活用し、多様な働き方の実現を支援する地域共創事業などを行う株式会社ノヴィータ(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:三好怜子、以下 ノヴィータ、 https://www.novitanet.com/ )は、全国の44自治体に向け、女性活躍支援や、男女共同参画の取り組みについて調査を実施しました。
■本調査の目的
人口減少や高齢化の進展を背景に、男女共同参画社会に向けた機運、一例として経済分野などにおいてダイバーシティ推進や女性活躍推進の重要性が高まっています。
その中で、若い世代や子育て世代が様々な理由から都市部への居住を選ぶことにより、地方自治体において若い居住者が減少していることが地域発展における課題となっています。その選択の根本には「夫は外で働き、妻は家庭を守る」「お茶くみは女性が行う」など性別役割意識が変わらないことによる男女格差や、それに伴う住みづらさが根強くあるのではないかと言われており、最近ではこれらのジェンダーギャップ解消に注目して施策を講じる自治体やその事例が注目されるようになりました。
約20年にわたりデジタルマーケティング関連事業を行っているノヴィータでは、2017年からフルリモートワークを受け入れて働き方改革を行ってきた経験などを活かし、2021年からはデジタルマーケティングのスキルを提供する講座を自治体経由で提供しています。家事や子育て・介護などで就労に制限があっても在宅で働くスキルが身につくため、そのような状況になりやすい各地域の女性を中心に受講いただいており、地域の活性化に貢献しています。
デジタルマーケティングのスキルという専門性にて就労を叶えやすく、かつ在宅での勤務も実現しやすいやり方が「女性デジタル人材の育成」です。これは、男女共同参画社会実現に向けたひとつの解決策として、内閣府男女共同参画局も事例集を発行するほど注目されています(※)。
(※) https://www.gender.go.jp/policy/digital/index.html
この度、ノヴィータ自身が講座提供を行ってきた経験をふまえ、「女性デジタル人材の育成」の事例をさらに増やせるよう背景を探るために、人口5~10万人規模、かつ男女共同参画関連部署のある44自治体を対象に、女性活躍支援に関する調査を行いました。
■調査ハイライト
1. 女性の活躍を支援するための活動を行う自治体は6割以上
2. 地元住民に向けて男女共同参画の視点を深めるイベント等を開催する自治体は半数
3. 「他自治体の先行事例」「職員の発案」を参考にして施策を考案している
4. 参考にしている情報は「内閣府男女共同参画局のサイト」が最も多く8割以上
5. 女性の活躍支援の課題は「職員の人手が足りない」が最多で半数以上
6. 半数が「デジタルスキル習得を通じた女性の活躍支援事業」へ興味を持っているが、事例の認知や効果訴求には課題も
7. 男女共同参画部門と産業労働部門(就業支援・産業振興・経営支援)が共同で事業を行っているケースは1割、情報交換も3割にとどまり連携に課題
■データサマリ
1. 女性の活躍を支援するための活動を行う自治体は6割以上
女性の活躍を支援するための活動を行う自治体は27自治体、61.4%となりました。検討中の自治体も3自治体あり、「女性の活躍に向けて何らかの活動を行ったほうが良い」と前向きに考えている自治体は約7割にのぼることがわかります。
2. 地元住民に向けて男女共同参画の視点を深めるイベント等を開催する自治体は半数
女性の活躍を支援するための事業で、最も多かったのは「地元住民に向けて男女共同参画の視点を深めるイベント等」で22自治体、調査した自治体の半数にのぼりました。また、地元住民(男性)に向けた家事参画・育児のテーマ、地元住民(女性)に向けた働き方の意識のテーマといった、「意識を変える」ための取り組みが続きました。
少数意見では、「女性就労相談の窓口設置」「働く女性を講師として招いた意見交換会の実施」などの活動が寄せられました。
3. 「他自治体の先行事例」「職員の発案」を参考にして施策を考案している
女性の活躍を支援する施策の考案については、「他自治体の先行事例を参考にしている」という回答が23自治体と最も多く、「職員の発案」が20自治体と続きました。
4. 参考にしている情報は「内閣府男女共同参画局のサイト」が最も多く8割以上
情報収集をしている先で最も多かったのが「内閣府男女共同参画局のサイトや情報発信」で37自治体、全体の84.1%となりました。「マスメディア」「総務省のサイトや情報発信」「他の官庁・省庁(内閣府男女共同参画局・総務省以外)」と続いた後、「各自治体の情報発信を定期的に確認」という意見もあり、よりよい活動のために地道な情報収集に努めている様子が伺えます。
5. 女性の活躍支援の課題は「職員の人手が足りない」が最多で半数以上
最も票が集まった課題は「職員の人手が足りず、取り組みの優先度を上げられない」となり、24自治体、全体の54.5%を占めました。次に「予算の確保が難しい」で15自治体、全体の34.1%となりました。
適切な相談先がないこと、先行事例があてはまりそうにないことなどに加え、関係者の意識醸成に関する課題を書いてくださった自治体の方もいました。
6.半数が「デジタルスキル習得を通じた女性の活躍支援事業」へ興味を持っているが、事例の認知や効果訴求には課題も
「デジタルスキル習得を通じた女性の活躍支援事業」に興味があると回答した自治体は24自治体、全体の54.5%となり半数以上となりました。
興味があると回答した自治体に、事業の印象を聞いたところ、事例を聞いたことがある自治体・聞いたことがない自治体が8自治体ずつと同数の票が集まりました。また、デジタルのことがわからないため課題解決策としての効果が測りにくいという意見も票も集めており、この事業で本当に女性活躍の課題が解決するのか、施策への期待が持ちにくい状況が推察されます。
7.男女共同参画部門と産業労働部門(就業支援・産業振興・経営支援)が共同で事業を行っているケースは1割、情報交換も3割にとどまり連携に課題
男女共同参画部門と産業労働部門の連携について、同じ部署だったり、共同で事業を行っていたりするのは6自治体、13.6%でした。一方で、連携がない・検討中の自治体が24自治体、54.5%と過半数を占めました。
■株式会社ノヴィータ代表取締役 三好怜子コメント
各自治体において女性の活躍を支援するための事業は、昨今の社会情勢などからも喫緊の課題となっていますが、自治体においては人手不足や予算不足といったリソース面に大きな課題があることが浮き彫りになりました。この課題は人口規模の大小を問わず、多くの自治体で共通するのではないかと推察します。
男女共同参画、ジェンダーギャップ解消は、目に見える結果につながるまで継続的な施策が求められるものです。国や県などからの補助金制度も活用し、予算確保のうえで取り組まれていますが、労働人口減などもあり、人手や予算の確保が簡単ではない実態を示す結果となっています。取り組みの必要性は感じていても、実行までに壁が多くあり、かつ継続的な施策が求められることでなおのこと取り組みに困難が発生しやすいことが想像されます。
調査結果と、ノヴィータでの経験を踏まえ、以下を提言します。
●提言1:デジタルに対して抵抗感を減らす
デジタルと言うと、馴染みのない方からすると難しく聞こえることが多く、また抵抗感がある場合もあると思います。しかし、日常的にスマートフォンを触ったり、仕事でパソコンを使ったりメールをしたりする延長から取り組めるデジタルマーケティングの業務もあります。
デジタルの活用によって得られる側面は様々で、デジタルとは必ずしもプログラミングのことを指すわけでもありません。ノヴィータは「コミュニケーションの手段」としてのデジタルを強みとしており、フル活用することで、時間や場所を選ばない働き方が近づきます。
●提言2:男女共同参画部門と産業労働部門が連携する
若い居住者が地方から流出する理由のひとつとして、「仕事が見つからない」ことが挙げられます。特に、育児中の女性にとって働きやすい環境が整った仕事や会社となると、時間・場所などが柔軟な働き方、またそれらを当たり前とする社内風土が必要な場合が多く、大都市圏以外ではそのような仕事はなかなか見つからないという声を耳にします。
柔軟な働き方が可能なデジタルマーケティングスキルを得たとしても、デジタルマーケティングの環境がありかつ柔軟な働き方を受け入れる会社がないと就職にはつながらず、地域活性にもつながりにくくなります。スキル育成と受入企業の増加はセットで考えることが望ましく、男女共同参画部門と産業労働部門の連携は、施策の効果を高める鍵となります。
自治体内のこれら2部門の連携に加え、商工会議所と連携した地域について、実際の就職等にもつながる好事例が多いため、あわせて提言します。
●提言3:事例を積極的に発信する
この度の調査では「職員の人手が足りない」という本音もありながら、女性の活躍を支援するための活動を行う自治体は6割以上となり、限られたリソースであっても取り組みに努めていることがわかりました。
若い居住者の増加ほか地域の活性化を願い、何をやれば効果が高まるのかわからない中、手法を探していらっしゃる自治体の方は多数います。特に育児中の女性の働きやすさに近づくひとつとして「女性デジタル人材の育成」ソリューションを提供していますが、このアプローチ自体を知らない、効果がわからないという意見もありましたので、まさに事例を発信し、効果が出やすいひとつの選択肢として知っていただくところからだと考えます。
また、ノヴィータが講座を提供している地域においては、提言2のように男女共同参画部門と産業労働部門の連携が密にされている事例を見ることが多く、より効果を高めているものと予想されます。これらについて民間企業の目線でも、成功事例を発信できたらと思います。
今後も、ノヴィータ自身がフルリモートワークを受け入れて働き方改革を行った経験をふまえ、地方自治体などを通じた「女性デジタル人材の育成」の講座提供をはじめ、柔軟な働き方の事例や選択肢を世の中にさらに増やせるよう取り組んでまいります。
■調査概要
調査名 :女性活躍支援についての調査
調査対象 :人口5~10万人規模、かつ男女共同参画関連部署のある自治体
調査期間 :2024年10月29日~12月5日
調査方法 :インターネット調査
調査主体 :株式会社ノヴィータ
有効回答数:44
■当調査結果の利用について
*本調査の情報を引用いただく際は、【調査主体:株式会社ノヴィータ】と明記の上、以下のリンクも貼付してください。
*本調査レポートの百分率表示は四捨五入で端数処理を行っており、合計しても100%とならない場合があります。
■ノヴィータが自治体を通じて提供する「デジタルマーケティング講座」概要
パソコンやスマートフォンを使って商品やサービスなどを紹介し、売上を増やす「デジタルマーケティング」について、基礎(学び方)から実践までのスキルを身につけるセミナーです。子育てや介護等の理由により就労に制限のある方、特に子育て中の女性の方へ、働く選択肢を提供することができるようになります。
リモートワークの実績とスキル提供・就労支援の地域循環型モデルを目指し、「地元による地元のための」デジタル人材育成支援として数年間連続で開催するというビジョンで実施しているため、都市部のノウハウとして単発開催にて実施する講座とは異なり、設計も工夫。また、当講座を通じて各自治体内のコミュニティを育む効果、講座運営に携わる次世代の人材育成の効果、デジタルマーケティング人材の定着を通じた地元企業の活性化の効果などもあり、様々な自治体から多数のお問い合わせをいただいております。
https://www.novitanet.com/service/regional-co-creation.html
■株式会社ノヴィータについて
社名 : 株式会社ノヴィータ(英文名:NOVITA, Inc.)
代表者 : 代表取締役 三好怜子
設立 : 2006年2月3日
本社所在地 : 〒151-0061 東京都渋谷区初台1-51-1
初台センタービル510
事業内容 : Web制作・運用事業、人材支援事業、
メディア運営支援事業、事業継続支援事業、
地域共創事業
有料職業紹介事業許可: 13-ユ-306314
労働者派遣事業許可 : 派13-307432
URL : https://www.novitanet.com/
BLOG : https://blog.novitanet.com/
※各社の会社名、製品名、サービス名は各社の商標または登録商標です。
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