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京セラ、通信インフラ事業参入に向けて AIを活用した5G仮想化基地局を開発

技術・開発
2025年2月18日 14:15
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 京セラ株式会社(代表取締役社長:谷本 秀夫、以下:京セラ)は、AIを活用した5G仮想化基地局の開発を、商用化に向けて本格的に開始しますのでお知らせします。

 現在、世界規模で急速にDXが進展していますが、それを支える通信インフラとして、5Gモバイルネットワークの普及が拡大しています。京セラは、国内外で培ってきた独自の通信技術と仮想化技術を用いることで、NVIDIA GH200 Grace Hopper(TM) Superchipを活用した汎用サーバー上に基地局機能を実現します。また、新たにAIを活用し、基地局の高性能化、低消費電力化、保守・運用の効率化を可能とします。京セラの5G仮想化基地局を世界中の顧客に最適なソリューションとして提供することで、5G通信システムの普及と発展に貢献し、より快適で便利な社会の実現を目指します。今後、さらなる技術革新と市場開拓を進めることで、人々の豊かな社会に貢献します。

システムコンセプトイメージ


■京セラの開発する5G仮想化基地局の特長

(1)AIベースの基地局機能

AIを活用することで、トラフィックの混雑分散や、最適な周波数割り当てを動的に行い、通信の高速化や通信品質の改善を実現します。また、AIがトラフィックを監視し、基地局を構成する機器の使用電力を制御することで低消費電力化にも貢献。さらに、AIが運用や保守に必要な各種設定を自動的に制御・最適化することにより、効率的なネットワーク管理が可能となります。


(2)デュアル・コネクティビティ機能

当社がこれまでに培ってきたアンテナ技術により、Sub6帯とミリ波帯の異なる二つの周波数帯に対応したO-RAN規格準拠のCU/DU/RU(O-CU/O-DU/O-RU)を開発。異なる周波数帯のトラフィックデータを汎用アクセラレーテッド コンピューティングサーバー上のソフトウエアで同時制御することで、トラフィックの急激な増加に対応します。さらに、今後新たな次世代周波数帯が割り当てられた際も、ソフトウエアアップグレードで対応が可能です。

 

3)基地局シェアリング機能

一つの基地局(CU/DUまたはO-RU)を複数の通信オペレーターで共有化し、通信データを処理することが可能となります。基地局の設置数を減らすことで通信オペレーターの設備投資や電気料金の削減につながり、5G無線ネットワークのカバーエリアの効率的な拡大に貢献します。

 

(4)カバーエリアの広域化と消費電力の低減

京セラがこれまで培ってきたソフトウエアの実装技術により、40キロ以上のフロントホールの長距離化を実現できるため、カバーエリアの広域化が可能となります。さらに、一つのサーバーにCU/DUを高集約化することで、消費電力を低減します。








無線ネットワーク比較イメージ

■「MWC Barcelona 2025」出展について

 京セラは、5G仮想化基地局を、2025年3月3日(月)~6日(木)にスペイン・バルセロナで開催される世界最大級の通信技術関連展示会「Mobile World Congress Barcelona 2025」に出展いたします。

会期
2025年3月3日(月)~6日(木)
公式サイト
https://www.mwcbarcelona.com/  
会場
Fira Gran Via(スペイン・バルセロナ)
京セラブース
Hall5 5E12



[用語解説]

RAN(Radio Access Network)とは、無線アクセスネットワークのこと

CU(Central  Unit)とは、無線アクセスネットワークにおいて、コアネットワークに近い部分でデータ処理や制御機能を集中管理するもの

DU(Distributed  Unit)とは、無線アクセスネットワークにおいて、CUと連携して無線信号の処理やリアルタイム性が要求される処理を行うもの

RU(Radio  Unit)とは、無線アクセスネットワークにおいて、無線信号の送受信を行い、基地局の一部としてアンテナと直接接続される物理的な無線通信のインターフェース

O-RU(Open  Radio Unit)とは、異なる通信ベンダーの機器やソフトウエアを組み合わせて利用できるようにすることを目指す、O-RAN規格に準拠したRU

O-RAN  ALLIANCEとは、通信事業者や機器メーカー、ソフトウエア開発企業が参加する無線アクセスネットワークのオープン化とインテリジェント化を推進する国際的な業界団体。相互運用性や柔軟性の向上、5Gや次世代ネットワークの効率的な構築を目指す

O-RAN規格とは、無線アクセスネットワークのオープン化と相互運用性を促進するためにO-RAN  ALLIANCEによって策定された共通仕様。各社がこの規格に準拠することで、異なるメーカーの機器間でも柔軟かつ効率的な連携が可能となる

sub6帯とは、5G通信における周波数帯の一つで、6GHz以下の周波数帯


※O-RAN ALLIANCE、O-RANの名称とそのロゴは、O-RAN ALLIANCE e.V.の商標または登録商標です。