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京セラが通信ベンダー6社と「O-RU Alliance」を設立

5G RANオープン化の普及促進に貢献

技術・開発
2025年2月18日 14:15
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 京セラ株式会社(国:日本、代表取締役社長:谷本 秀夫、以下:京セラ)は、 2025年3月3日(月)に、Alpha Networks Inc.(国:台湾、Chairman/President/CEO:Wen Fang Huang)、HFR, Inc.(国:韓国、CEO:Jong-Min Cheong)、Microelectronics  Technology Inc.(台湾、President and CEO: Eugene Wu)、SOLiD Inc.(国:韓国、Vice Chairman and CEO: Seung Hee Lee )、VVDN Technologies Pvt.  Ltd(国:インド、CEO:Puneet  Agarwal)、WNC (Wistron NeWeb Corporation) (国:台湾、Director,  President and CEO: Jeffrey Gau)(ABC順)の6社と「O-RU Alliance」を設立しますのでお知らせいたします。

 今後、京セラのCU/DUをオープンに開放し、“本アライアンスに参画する通信ベンダー”(以下、参画メンバー)と共に、互換性があり、柔軟な無線アクセスネットワーク(オープンRAN)環境の普及を目指します。今後、順次「O-RU Alliance」の参画メンバーを拡大してまいります。

「O-RU Alliance」の概念図

■アライアンス設立の背景

 現在、通信インフラ市場において普及している5Gの無線ネットワークは主にCU、DUおよびRUで構成されており、それぞれの機器が独立、あるいは一部一体化して設置されています。各機器をつなぐインターフェースは一般に公開されていないため、既設の装置に接続できる機器は同通信ベンダーの機器もしくは一部インターフェースを公開された通信ベンダーの機器しか接続できない状況です。通信オペレーターにとって、1社からCU/DU/RUを調達すると、システム安定性向上のメリットはあるものの、その機器の仕様や性能は通信ベンダー側に委ねられているため、システム構築の自由度が狭まるといったデメリットも抱えています。

 このような状況から、近年、異なる通信ベンダーの機器を相互接続し、ネットワーク構築の自由度を広げる5G RANのオープン化がO-RAN ALLIANCEなどにより推進され、期待が高まっています。しかし、オープン化を進めるにはCU、DU、そしてRUに至る全ての設備を新しくすることが必要な上、既設通信ベンダーとの調整が大がかりなものとなり、通信オペレーターにとって大きな負担となります。

 このたび、京セラが新たに設立する「O-RU Alliance」では、地域、国籍を超えた企業同士が互いに協力し、より自由度の高い無線アクセスネットワークを構築するためのエコシステムを共創します。O-RAN規格に準拠したCU/DU/RUをシステムソリューションとして通信オペレーターに提供することで、オープンRANの普及を促します。これにより、各通信ベンダーの5G基地局事業への参入をしやすくするとともに、通信インフラ市場の活性化を目指していきます。京セラは、「O-RU Alliance」の参画メンバーと共に、通信技術と関連産業の進歩発展を通じ、世界の人々の生活の利便性向上に寄与してまいります。

 

■京セラと「O-RU Alliance」参画メンバーの具体的な取り組み

(1)相互運用テスト(Interoperability Testing :IOT)

京セラが提供するO-RAN規格に準拠するCUおよびDU(以下O-CU、O-DU)を参画メンバーに開放し、相互運用テストを共同で実施します。


(2)ベースバンド部の提供

京セラが参画メンバーにO-RUのO-RANインターフェース処理部のリファレンスデザインを希望するO-RUベンダーに提供することで、参画メンバーはそれを利用することが可能となり、京セラのO-CU/O-DUとの相互接続性が向上します。


(3)参画メンバーの紹介

京セラは参画メンバーを公表し、通信オペレーターに紹介することができるようになります。これにより、参画メンバーは、グローバルな通信オペレーターとのビジネスチャンスを構築でき、通信オペレーターはさまざまな通信ベンダーのO-RUを選定できるため、システム構築の自由度が広がります。

会社名
事業内容
京セラ株式会社
(日本)
情報通信、自動車関連、環境・エネルギー、医療・ヘルスケアの四つの分野を中心に素材から部品、デバイス、機器、さらにはサービスやネットワーク事業に至るまで、多岐にわたる製品をグローバルに展開。
Alpha Networks Inc.
(台湾)  
ネットワークおよび通信機器の設計・製造を行っており、ルーター・スイッチ・WLAN製品・ブロードバンドアクセスデバイスなどの主要製品を展開。また、OEM/ODMサービスを通じてグローバルブランドを支援し、世界中で高品質で信頼性のあるネットワークおよび通信機器のソリューションを提供。
HFR, Inc.
(韓国)
5G展開に不可欠な光伝送システムやモバイルフロントホールソリューションなどの製品を提供。これらのソリューションはセルラーカバレッジシステムやモバイルネットワークなどで使用され通信事業者のネットワーク効率とパフォーマンスを向上。
Microelectronics Technology Inc.(台湾)
VSATシステム、マイクロ波通信デバイス、RFモジュール、5G RUなどの通信機器の設計および製造を行う。これらのソリューションは、衛星通信、ブロードバンド、ワイヤレスネットワークの展開を支援し、通信インフラ構築の強化に向けてグローバルに貢献。
SOLiD Inc.
(韓国)
無線ソリューションに特化した通信インフラを提供。主な製品は、分散アンテナシステム(DAS)や光伝送ソリューションおよび、モバイルネットワークの展開における相互運用性と柔軟性を強化するために設計されたO-RAN対応の無線ユニット(RU)など。先進技術を用いて通信業界の進化するニーズに応える革新的なソリューションに注力。
VVDN Technologies Pvt. Ltd
(インド)
5G通信ソリューションを専門とする製品エンジニアリングおよび電子部品を製造。また、OpenRAN向けのRUの設計、開発、テスト、および製造をエンドツーエンドで提供し、サブ6 GHzおよびミリ波の両方の通信をサポート。さらに、ハードウェア、RF、FPGA設計、信号処理、熱最適化における専門知識を持ち、高性能で拡張可能なソリューションを展開している。SMT、PCB組立、完全製品の製造を含む世界クラスの生産能力により、通信機器のシームレスな生産を可能とし、世界中の通信事業者、システムインテグレーター、OEMにサービスを提供。
WNC (Wistron NeWeb Corporation)
    (台湾)  
Wi-Fi(R)ルーター、モバイル通信デバイス、IoTソリューションなどのワイヤレス通信製品およびソリューションを製造。これらの製品は、個人、企業、公共部門の通信インフラに使用されており、5GとIoT技術の進化に注力しグローバルな顧客にサービスを提供。

[用語解説]

RAN(Radio Access Network)とは、無線アクセスネットワークのこと

CU(Central  Unit)とは、無線アクセスネットワークにおいて、コアネットワークに近い部分でデータ処理や制御機能を集中管理するもの

DU(Distributed  Unit)とは、無線アクセスネットワークにおいて、CUと連携して無線信号の処理やリアルタイム性が要求される処理を行うもの

RU(Radio  Unit)とは、無線アクセスネットワークにおいて、無線信号の送受信を行い、基地局の一部としてアンテナと直接接続される物理的な無線通信のインターフェース

O-RU(Open  Radio Unit)とは、異なる通信ベンダーの機器やソフトウエアを組み合わせて利用できるようにすることを目指す、O-RAN規格に準拠したRU

O-RAN  ALLIANCEとは、通信事業者や機器メーカー、ソフトウエア開発企業が参加する無線アクセスネットワークのオープン化とインテリジェント化を推進する国際的な業界団体。相互運用性や柔軟性の向上、5Gや次世代ネットワークの効率的な構築を目指す

O-RAN規格とは、無線アクセスネットワークのオープン化と相互運用性を促進するためにO-RAN  ALLIANCEによって策定された共通仕様。各社がこの規格に準拠することで、異なるメーカーの機器間でも柔軟かつ効率的な連携が可能となる


※Wi-Fi(R)は、Wi-Fi Alliance(R)の登録商標です。

※O-RAN ALLIANCE、O-RANの名称とそのロゴは、O-RAN  ALLIANCE e.V.の商標または登録商標です。

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O-RU Alliance概念図