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日本型雇用の遅れた常識を勅使川原真衣が問う 『学歴社会は誰のため』、3月18日発売

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2025年3月17日 10:00
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株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、PHP新書『学歴社会は誰のため』(勅使川原真衣著/税込1,155円)を2025年3月18日に発売します。3月1日から採用広報活動が解禁となり、2026年卒の就職活動が本格化する中でくすぶり続けている問題が、採用における「学歴不問」の有名無実化です。本書では、組織開発専門家の勅使川原氏が、日本の学歴社会の構造を解き明かし、「学歴=能力」とする固定観念に疑問を投げかけます。企業の評価基準や雇用のあり方を見直し、学歴に依存しない社会の実現を目指します。

■「学歴不問」が定着しない国、日本

日本で学歴論争が絶えないのは、日本型雇用における職務要件の不明確さに起因しており、学歴を「仕事を頑張れるかの指標」として捉える傾向があるためです。そのため、「学歴不問」と言われながらも、企業の採用活動では特定の大学の出身者が優遇される学歴フィルターが存在します。著者の勅使川原氏は、教育社会学と組織開発の視点から、高学歴者が必ずしも有能とは限らないにもかかわらず、「良い大学に入れる=努力できる=優秀」という評価軸が社会に根付いている現状を明らかにします。さらに、現在の企業の採用基準や教育のあり方についても、一石を投じる内容となっています。

■学歴論争を超え、社会のあり方を問う

本書は、その概念から背景までを丹念に紐解いた、学歴社会の考察です。他者を押しのける「競争」ではなく、共に新たな価値を創る「共創」を目指し、人材評価のあり方を、教育的視点からだけでなく労働現場からの多角的な視点で提言します。

【学歴社会を脱するための3つの提言】

●仕事の実態を重視する評価軸を確立する
日本の雇用形態(メンバーシップ型雇用)を背景とした学歴偏重の人材評価を見直す。
「個人の能力」ではなく「組み合わせ(チームワークや相性)」を重視した評価基準を再構築する。

●「公平」ではなく「公正」な社会の実現
「教育機会の平等」だけでなく、「学歴偏重による結果の不平等」を是正するために、学校制度や学業成績の評価基準を問い直す。 そのために学歴を前提としない職業選択やキャリアパスを推進し、多様な背景の人々が活躍できる公正な雇用環境を目指す。

●能力よりも相性や組み合わせを重視
企業や職場における「仕事の実態」を精査し、個人の能力に頼らない「組織として共創する」点を考えた評価・育成方針を採用する。個の持ち味や相性を活かした「協働のあり方」を重視し、多様な人材が生かされる環境を整備する。

■著者プロフィール

著者近影
著者近影
勅使川原真衣(てしがわら・まい)
組織開発専門家。1982年、横浜市生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。外資コンサルティングファーム勤務を経て2017年、組織開発を専門とする「おのみず株式会社」を設立。企業をはじめ病院、学校などの組織開発を支援。二児の母。2020年から乳がん闘病中。著書に『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社、紀伊國屋じんぶん大賞2024・8位)、『働くということ』(集英社新書、新書大賞2025・5位)、『格差の“格”ってなんですか?』(朝日新聞出版)など。

■書誌情報

『学歴社会は誰のため』書影
『学歴社会は誰のため』書影
タイトル:学歴社会は誰のため
著者:勅使川原真衣
判型・製本:新書判並製
ページ数:248ページ
定価:1,155円(税込)
発売日:2025年3月18日
ISBN:978-4-569- 85881-4
レーベル:PHP新書
発売元:株式会社PHP研究所