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【岡山理科大学】日本人研究者の最新研究を網羅した本邦初の恐竜専門書「恐竜学」出版

恐竜学科の千葉講師、高崎助教、辻極教授も執筆

調査・報告
2025年4月9日 11:00
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近く出版される「恐竜学」
近く出版される「恐竜学」
 国内の新進気鋭の恐竜研究者たちの総力を結集した専門書「恐竜学」(A5判502ページ、税込6,380円)が4月25日、東京大学出版会から刊行されます。“純国産”としては初の本格的な恐竜専門書で、分類から成長、雌雄、食性などあらゆる分野を網羅した決定版です。4月に開設した岡山理科大学恐竜学科の最大の特長である生命科学との融合でも、最新研究が盛り込まれています。

 編集は北海道大学総合博物館の小林快次教授が担当し、小林教授はじめ13人の研究者が全23章を執筆。恐竜学科の千葉謙太郎講師は、小林教授とともに第2章の「鳥盤類Ⅰ」と第4章「鳥盤類Ⅲ」、さらに単独で第10章の「成長」と第11章の「雌雄」を、また高崎竜司助教は小林教授と第3章の「鳥盤類Ⅱ」、第15章の「食性」を担当しました。辻極秀次教授は第18章の「タンパク質」を執筆しています。

 なぜ恐竜はあれほど巨大化したのか――。第10章をのぞいてみると、四肢骨の断面にある成長綸の数やサイズから成長曲線を推定することで、大型の種ほど成長速度が非常に速くなることが明らかになっています。骨組織学的手法によって得られる成長データに基づき、成長に伴う解剖学的特徴の変化、巨大化の進化的プロセスなどの研究も、まさに行われているとのことです。

 千葉講師は「一般書では書かないような具体的な話が入っているので、知識が深まるし、気づきが増えると思います。研究者たちが恐竜にどうやって迫ってきたかが分かるはずです」と説明。また、高崎助教は「とにかく最新研究の内容をたくさん詰め込みました。ほんの数年前の常識すら既に書き換わっているので、研究のスピード感も合わせて楽しんでもらえるかと思います」と話しています。
 生命科学分野からのアプローチに挑む辻極教授は「骨化石から抽出したタンパク質のアミノ酸配列が解読できれば、恐竜の生理学的研究の新たな展開が期待されます。この本が若い恐竜研究者たちの“バイブル”になれば」と期待を込めて語っています。
「恐竜学」を執筆した(左から)辻極教授、千葉講師、高崎助教=岡山理科大学恐竜学博物館で
「恐竜学」を執筆した(左から)辻極教授、千葉講師、高崎助教=岡山理科大学恐竜学博物館で