人事制度を問題なく運用できている企業はわずか2割 ~制度の寿命認識とは異なる現実の運用実態~
株式会社トランストラクチャ(本社:東京都千代田区、代表取締役 シニアパートナー:林 明文)は、2014年2月14日~27日に、上場および未上場企業の人事担当者を対象に「人事制度に関する調査」を実施いたしました。
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人事制度の寿命は?
調査結果詳細
http://www.transtructure.com/news/news20140307.html
■調査結果概要
今回の調査結果から、現行の人事制度が事業環境・経営方針と適合した内容になっている企業は4割にとどまり、「適切な処遇への反映ができていない」などの課題を抱えていることがわかりました。また、人事制度の運用面では、問題なく運用できている企業はさらに少ない2割にとどまります。
■調査結果のポイント
(1) 10年以上同一の人事制度で運用している企業が3割近い
(2) 人事制度の寿命は「3~5年未満」「5~7年未満」「7~10年未満」が拮抗
(3) 人事制度と経営方針が適合している企業は4割のみ
(4) 人事制度が問題なく運用されている企業はわずか2割
■調査結果のポイント解説
(1) 10年以上同一の人事制度で運用している企業が3割近い
現行の人事制度を何年前から運用しているのかを尋ねたところ、全体では「3年未満」が29%、「3~5年未満」が18%、「5~7年未満」が16%、「7~10年未満」が9%、「10年以上」が28%という結果になりました。人事制度を頻繁に変えることは混乱を招くことにもなりますが、企業を取り巻く環境や経営戦略が大きく変化したならば、それに適合するように人事制度も見直していくべきです。グローバル化、少子高齢化、為替の変動、ダイバーシティの推進、ITの目覚ましい進歩等、企業を取り巻く環境は大きく変化しており、「10年以上」も同一の人事制度で運用できる企業はまずないと思われます。
企業規模別にみてみると、大手企業(1,001名以上)では「3年未満」が40%に達しているのをはじめ、「7年未満」の企業が7割を占めるのに対して、中堅企業(301~1,000名)では「3年未満」は13%にとどまり、逆に「10年以上」が41%にも達しています。中堅企業における人事制度のあり方は、早急に大きな見直しが必要なようです。
(2) 人事制度の寿命は「3~5年未満」「5~7年未満」「7~10年未満」が拮抗
現行の人事制度はさておき、そもそも人事制度の寿命は何年ぐらいと認識されているのでしょうか。全体では、「3年未満」が8%なのに対して、「3~5年未満」が29%、「5~7年未満」が26%、「7~10年未満」が27%と拮抗する結果となりました。現実には3割近い企業が「10年以上」も同一の人事制度で運用していますが、寿命を「10年以上」とする企業は9%しかなく、寿命は過ぎていることを認識しながらも同一の人事制度で運用している企業が少なくないことがわかります。
企業規模別にみると、大手企業では「10年以上」との回答は1社もありませんでした。「3年未満」とする企業も2%しかなく、「5~7年未満」が40%で最多でした。「7年未満」とする企業の割合は8割近くにもなり、大手企業では人事制度の見直しが中堅・中小企業よりも頻繁に行われているようです。
http://www.atpress.ne.jp/releases/44035/img_44035_1.jpg
(3) 人事制度と経営方針が適合している企業は4割のみ
現行の人事制度が現在の事業環境・経営方針と適合した内容になっているかどうかを尋ねたところ、
「適合している」ときっぱりと断定できる企業は39%にとどまり、「やや適合していない」48%、「適合していない」13%と、6割以上の企業で事業環境・経営方針との「ズレ」を認識していることがわかりました。
企業規模別にみると、人事制度の見直しの頻度が高い大手企業では49%が「適合している」としているのに対して、中堅企業で「適合している」とする企業は26%にとどまっています。現行の人事制度にズレを認識しながらも、見直しをすることなく長期間にわたり同一の人事制度で運用している姿が浮かび上がってきます。経営戦略に適合するように人事制度の見直しを行うことは、決して容易なことではありません。社内だけで完結しようとするのではなく、他社事例を豊富に持つ外部の専門機関の支援を受けながら見直しを行うことも検討すべきでしょう。
ズレの理由では、「適切な処遇への反映ができない」「それぞれの仕事・役割に応じた賃金になっていない」「職種・等級の構造や定義が実態と合わなくなっている」をあげる企業が多く、いずれも5割を超えています。次いで、「評価項目が実態とあっていない」とする企業が3分の1あります。
(4) 人事制度が問題なく運用されている企業はわずか2割
現在の人事制度が問題なく運用できているかを尋ねたところ、「問題なく運用されている」とする企業は21%しかなく、「一部課題がある」が69%、「大きく課題がある」が10%と、大半の企業が運用には何らかの課題を感じているようです。
経営方針との適合度では高い割合を示していた大手企業ですが、運用面では「問題なく運用されている」とする企業は19%しかなく、多くの企業が何らかの課題を抱えています。課題の理由で多かったのは、企業規模を問わず「人材育成に活かしていない」「人材配置に活かしていない」「人事評価の品質が低い」の3つ。特に「人材育成に活かしていない」については中堅企業の78%、中小企業の60%が課題としてあげるほど深刻な状況にあるようです。人材育成や配置にどう活かしていくのか、運用面までを考えた制度設計が求められています。
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■調査概要
調査主体 :株式会社トランストラクチャ
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2014年2月14日~27日
調査対象 :上場および未上場企業の人事担当者
有効回答社数:153社
回答企業の属性(規模):1,001名以上 28.1%、301~1,000名 30.1%、300名以下 41.8%
回答企業の属性(業種):メーカー 46.4%、非メーカー 53.6%
■会社概要
商号 : 株式会社トランストラクチャ
代表者 : 代表取締役 シニアパートナー 林 明文
所在地 : 〒102-0083 東京都千代田区麹町5-4 KY麹町ビル
設立 : 2002年5月
事業内容: 組織・人事コンサルティング、教育研修
資本金 : 8,000万円
URL : http://www.transtructure.com/
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