音楽劇『君よ生きて』に出演中のミュージカル俳優、 青木結矢(32)が同性愛をカミングアウト後の心境を語る ~同性婚の全米合法化を日本の同性愛者はどう捉えているのか~
現在、全国公演中の戦後70年記念音楽劇『君よ生きて』(企画制作/龍平カンパニー 脚色・演出/望月龍平)に出演中の俳優、青木結矢(32)が、同性愛者であることをカミングアウトしたその後の心境を語った。
同性婚の全米合法化を受けてSNSのプロフィール画像をレインボーカラー(※)にする人が現れるなど、セクシャルマイノリティの人々を囲む状況が変化しつつあることを、当時者はどう捉えているのかを伺った。
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稽古中の様子1
※レインボーカラーはLGBTコミュニティの多様性の象徴としてLGBTの権利パレードの一種ゲイ・パレードでしばしば見られる。
■カミングアウト後の心境と周囲からの反応
青木は6月に自身が同性愛者であることをカミングアウト。現在の心境と周囲からの反応をこう語る。
「去年からずっとカミングアウトしたかったので、とてもすっきりしました。隠すものがなくなり、正直に生きられている気がします。友達からは昔より明るくなったねとよく言われます。周囲からは、勇気をもらったというメッセージをいっぱい頂きました。否定的な意見もあると覚悟は決めていたんですが、まだ好意的なメッセージしか頂いてないですね。それにも驚いています。」
それにしてもなぜ、舞台が全国公演中の時期にカミングアウトしたのだろうか?
「『君よ生きて』で僕が演じている清治役は、とても男気溢れる役で、カミングアウトしても印象は変わらないと証明したかったんです。だから役者としてこういう役をやっている時こそが、まさにカミングアウトのタイミングだなと感じたのです。」
■同性婚が全米で合法化するも、対応が遅れる日本
青木が出演中の音楽劇『君よ生きて』の全国ツアーが始まったのは6月26日。奇しくもこの日、米国の全州において「同性婚は合法」との連邦最高裁の判決が下された日だった。
「このニュースには僕を含め、世界中のLGBT(同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー)の人たちが大いに励まされたと思います。僕もそうですが、同性愛者たちだって周囲から認められて幸せな結婚をしたいのです。大切な関係を法的に認めてくれたら何より幸せです。日本ではようやく東京の渋谷区でパートナーズ制度が始まりましたが、これは結婚で得られる権利のごく一部が認められるだけで、同性婚にはまだほど遠い。それでもこういう制度が始まっただけでも大きな進歩です。また今年、自民党民主党などの議員さんからなる『LGBTに関する課題を考える議員連盟』が発足したり、同性婚への賛同署名を求める運動も始まっています。
この先、他府県にもまずパートナーズ制度が広がり、その後、同性婚の合法化へとつながってくれることを期待したいですね。」
同性婚の合法化は単に同性愛者たちの結婚願望に応えるだけでなく、多くの命を救うことにもつながると青木は指摘する。
「同性愛者は自殺リスクも高く、異性愛者の4倍とも言われます。芸能界などでは、おネエタレントさんが増えたし、BL(ボーイズラブ)マンガや小説が女子の間で流行り、ゲイに好奇心を持つ人は増えたと思います。でも一般社会では、LGBTの人たちへの偏見はまだまだあって、決して生きやすいとは言えません。同性婚の合法化により、どんな人も幸せに生きられる世の中にすることがいちばん大切なことではないでしょうか。」
■同性愛者は次代へ「命」をいかに繋げることができるのか
先人たちから渡された「命」というバトンをどう次代へとつなげるか、これは青木が出演中の音楽劇『君よ生きて』が伝えようとしているメッセージでもある。
「この作品の舞台は、大戦後に起こったシベリア抑留体験とその引揚げの拠点となった舞鶴、そして現代です。先人たちが過酷な環境の中で生き抜いた命をいま、僕たちは受け取っている。この作品に出て初めて、その命の大切さに気づき、同時にカミングアウトすることでまずは自分に誇りを持って生きようと決めたんです。
同性結婚を認めたら少子化が進むという意見もあるかもしれません。しかし、法整備が進めば養子縁組や代理出産など、僕たちにも次代へと命のバトンを渡していく方法はきっとあるはずだと考えています。」
近年では、ビジネス、環境、文化、宗教、人種などのさまざまな分野で「多様性」という言葉が重視されている。青木によれば、「セクシャリティにおいてもまったく同じ」だと言う。
「セクシャリティにおいて、異性愛者はその一部であり、同性愛も等しく一部です。少数派であるにせよ、そういう生き方を選択している人たちがいるのです。せっかく先祖から繋いでもらったこの命を、もっと自分に誇りを持って正直に生きていきたい、みんなそう思っているはずです。そのために今後、僕にできることがあれば、どんどん活動をして、多くの同じ悩みを持つ人たちを励ましていきたいですね。」
■青木結矢◎プロフィール
1998年関西テレビ「学校の怪談G」で俳優デビュー。舞台では2003年ミュージカル「レ・ミゼラブル」で初舞台。その後「オーファンズ」「ミス・サイゴン」「The Musical AIDA宝塚歌劇 王家に捧ぐ歌より」ミュージカル「文七元結」「twelve」など。9月にはMusical PUBに出演し、初のオカマ役を演じる。
音楽劇『君よ生きて~先人たちが繋いだ命のバトン~』(演出・脚色/望月龍平)は7月から8月にかけて名古屋、広島、千葉、八王子、横浜などで公演する。
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