<中高生の自転車通学についての最新動向調査> 自転車通学指導状況に保護者はご不満? 平均的な交通安全指導は年1回程度が約半数。中には未実施校も!! 自転車の義務・推奨項目は自転車保険加入(35.0%)などのソフト面が優勢 BAAマーク(7.3%)など、自転車自体の安全性への意識はまだまだ低め!
自転車の危険運転や整備不良などによる事故が多発していることから、2015年6月には道路交通法が改正され、中学生から対象となる14歳以上の危険運転常習者には罰則が導入されました。登下校だけでなく日常の手軽な移動手段として、生徒が自転車を利用する機会は多く、自転車通学中の中高生が被害者になる事故、また、加害者になる事故について目にする機会が増加しています。そこで、自転車の安全利用促進委員会では、道交法改正以降、自転車通学や自転車の活用実態について、中学校・高校の自転車通学指導者宛のFAXアンケート、当事者である中高生また、保護者に対するアンケート調査をおこなってまいりました。
今回は、指導状況等の各校の取り組みについて、また、それに対しての保護者の考えについてまとめましたので、ご紹介いたします。
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義務・推奨している項目で該当するものはどれですか?
各調査の結果、自転車通学時の義務・推奨項目として、自転車保険の加入(35.0%)やヘルメットの着用(27.7%)などの事故発生状況を想定した項目が重要視されている中、自転車自体の安全性を示すBAAマーク(7.3%)やメンテナンス関連のTSマーク(14.0%)などの自転車事故を起こさないための項目については、まだまだ浸透していないことが明らかとなりました。
また、交通ルールを浸透させるための安全指導・教室については、約半数の学校が「1年に1度」(47.3%)と回答していますが、学校ごとの意識差が大きく表れる形となりました。指導に力を入れている学校では「毎月実施している」(6.7%)に比べ、20校に1校が「年1回以下」(6.7%)と回答しています。
これらを受け、当委員会のメンバーでもある疋田智は「現状について正直に申し上げるなら、中高生が運転する自転車ほど危ない自転車はありません。「ケータイの“ながら運転”」「併走して喋りながら」「無灯火」「2人乗り」など、自転車は車両であるとの意識に欠けた運転が目立ちます。これはクルマの免許を持っていない(だから交通ルールやクルマの挙動が分からない)ということも大きいのですが、それを学校教育で補うのだ、という意識が、生徒側にも学校側にも足りないのだと思います。またクルマとの差異でいえば、自転車には車検がありません。結果、ベタベタのタイヤ、効かないブレーキ、キーキー異音を発する自転車など「それに乗っていると危ないよ」と、一発で分かる自転車をよく見ます。製品欠陥や整備不良がキッカケとなる大きな事故を防ぐために『安全基準を満たした自転車の購入』『定期的なメンテナンス』も必要でしょう。」とコメントしています。
各調査の詳細につきましては以下をご覧ください。
【調査トピックス】
自転車の義務・推奨項目は「自転車保険加入」(35.0%)などのソフト面が優勢。
「BAAマーク」(7.3%)など、自転車自体の安全性への意識はまだまだ低め!
●優先義務・推奨項目は「自転車保険加入」(35.0%)「ヘルメット着用」(27.7%)「ハンドルの形状」(26.3%)
●「両立型スタンド」(16.0%)「リアキャリア」(15.0%)「大きなかご」(8.3%)など中高生ならでは項目も!
自転車通学指導状況に保護者はご不満?
平均的な交通安全指導は年1回程度が約半数。中には未実施校(4.0%)も!!
●「毎月実施」(6.7%)の一方「年1回未満」(2.7%)「未実施」(4.0%)学校も!
●「左側通行の徹底」「スケアードストレート法の導入」ほかで事故が減った学校も!
自転車の義務・推奨項目は「自転車保険加入」(35.0%)などのソフト面が優勢。
「BAAマーク」(7.3%)など、自転車自体の安全性への意識はまだまだ低め!
●優先義務・推奨項目は「自転車保険加入」(35.0%)「ヘルメット着用」(27.7%)「ハンドルの形状」(26.3%)
●「両立型スタンド」(16.0%)「リアキャリア」(15.0%)「大きなかご」(8.3%)など中高生ならでは項目も!
各中学校・高等学校の自転車利用における「義務化・推奨」項目につて、アンケートを実施いたしました。
Q:自転車通学者に対して義務化・推奨化している項目で該当するものはどれですか?(複数回答)
※全国の中学高校教職者向けアンケート n=300
https://www.atpress.ne.jp/releases/84815/img_84815_1.png
調査の結果、昨今耳にする機会の多い自転車の高額賠償問題や自治体の取り組みの影響を受け「自転車保険の加入」(35.0%)や「ヘルメットの着用」(27.7%)などの事故発生状況を想定した項目が重要視されている中、自転車の安全性を担保するBAAマーク(7.3%)やメンテナンス関連のTSマーク(14.0%)などの自転車事故そのものの原因をなくすための項目については、まだまだ浸透していないことが明らかとなりました。
「自転車保険の加入」(35.0%)や「ヘルメットの着用」(27.7%)などで多く「義務化・推奨」実績があることが分かる結果となりました。万が一事故が発生した際の対策としてこれらの項目が重要視されているようです。
特に「自転車保険の加入」(35.0%)については、当時小学校5年生だった少年(11)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁が少年の母親に約9,500万円という高額賠償を命じたケース(2013年)や、男子高校生が対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突し、男性に重大な障害が残ってしまい約9,300万円の賠償責任を負わなければいけなくなってしまったケース(2008年)などの影響を受け、加入が進んでいるようです。また、これらを背景に兵庫県をはじめ自転車保険の加入を義務化している自治体もあります。
万が一事故が発生した際の対策としてこれらの項目が重要視される、自転車安全整備士により、メンテナンス(点検・整備)を受けたことを示す「TSマーク」(14.0%)や、約90項目の検査項目をクリアした自転車のみに貼付される、「BAAマーク」(7.3%)など、自転車自体の安全性を示す項目について低い値となりました。
<自転車の製品欠陥・メンテナンス不備で引き起こされる自転車事故>
https://www.atpress.ne.jp/releases/84815/img_84815_2.png
NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)では2004~2013年で製品欠陥が原因で発生した事故が367件に及ぶという調査結果を発表しています。「強度不足」(106件)「取り付け不備」(58件)「加工不良」(32件)などそもそもの製品欠陥がキッカケとなり、運転中に自転車が壊れ事故化、症状が重症化しているケースも見られます。
これらの大きな欠陥による事故だけでなく、「ブレーキが利かない」「ペダルが回らない」「ハンドルが切れない」などが要因となった事故についても見逃すことができません。ブレーキの状況を1つ取っても、整備の行き届いたものと、そうでないものでは、ブレーキをかけてから停車するまでの距離に大きな差が出るという検証結果もあります(委員会調べ)。自転車購入時により安全性の高い自転車を購入する。また、自転車店でのプロメンテナンスやセルフメンテナンスもこれらの事故を減らすためには必要です。
自転車通学指導状況に保護者はご不満?
平均的な交通安全指導は年1回程度が約半数。中には未実施校(4.0%)も!!
●「毎月実施」(6.7%)の一方「年1回未満」(2.7%)「未実施」(4.0%)学校も!
●「左側通行の徹底」「スケアードストレート法の導入」ほかで事故が減った学校も!
今回の調査では「義務化・推奨」など学校としての考え方だけでなく、実際にどの程度の頻度で自転車通学者たちに対する講習会を実施しているかについても調査してみました。
Q:自転車の交通安全指導・授業をどの程度の頻度で実施していますか?
※全国の中学高校教職者向けアンケート n=300
https://www.atpress.ne.jp/releases/84815/img_84815_3.png
Q:自転車通学に関しての、学校の指導状況に対してどう思いますか?
※中高生の自転車通学をする子供を持つ主婦へのアンケート n=100
https://www.atpress.ne.jp/releases/84815/img_84815_4.png
その結果、「1年に1度」(47.3%)「年1回未満」(2.7%)「未実施」(4.0%)と、交通安全指導・授業に対し、半数以上の学校が年1回以下の実施という実態が明らかとなりました。これに対し、当委員会が9月に中高生の子供を持つ主婦を対象に実施したアンケートでは69.0%が「(自転車の交通安全に対する)教育機会が少ない」と感じているように、学外からはまだまだ十分な教育がなされていないという認識があることが分かりました。その一方、「毎月実施している」交通安全指導に力を入れている学校(6.7%)もあることから、学校ごとの意識差が大きく異なっているようです。
指導方法としては、「毎朝学校近くの交通量が多いところに教員が立ち指導」「朝、放課後の校門や通学路、駅等における立哨指導」など通学路で取り締まりをおこなう学校をはじめ、「左側通行の徹底」「傘差し運転をしないように誓約書の提出」といった道交法に関しての対策が実を結んでいるという声も上がっています。さらに、県をあげて「スケアードストレート法*」の実施を進めている埼玉県の学校や、「自動車教習所とタイアップしての自転車安全講習」といった外部の専門機関を利用した対策も見られるなど安全対策は学校を越え、広がりを見せています。
交通量の多い悪路を通学路として使う中で事故に巻き込まれてしまったケース、見通しの悪い路地で急に曲がってきた車に巻き込まれてしまったケースなど、中高生が被害者になってしまう、いたたまれない事故は後を絶ちません。また、昨今生徒が加害者になってしまうケースも見受けられます。学校へ急ぐ中でついついしてしまう信号無視や、スピードを出した荒い運転など、自身の不注意で人に怪我をさせ、大きな賠償問題につながる事故の発生を防ぐためにも、今後ますますの自転車教育が望まれます。
*スケアードストレート法
事故現場を目の前で再現することで、危機感を抱かせることでそれにつながる危険行為を未然に防ぎ、交通ルールを遵守することの大切さを体感させる教育方法。
【全国の中学高校教職者向けアンケート】
調査方法:FAXリサーチ
回答数 :合計300校
調査時期:2015年11月
【中高生の自転車通学をする子供を持つ主婦へのアンケート】
調査方法:インターネットリサーチ
回答数 :合計100名
調査時期:2015年9月26日(土)~9月27日(日)
「自転車の安全利用促進委員会」
URL: http://jitensha-anzen.com/
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