100年前にタイムトラベルさせられる700ページ超“幻灯機”...

100年前にタイムトラベルさせられる700ページ超“幻灯機”スライド 『失われた世界の記憶 ~幻灯機がいざなう世界旅行~』発刊

1870年代~1930年代の大衆娯楽!教材としても機能

創業120余年・京都関連の書籍を主に扱う光村推古書院株式会社(京都市中京区、代表取締役:浅野 泰弘)は、“100年前の世界各国の様子”を写した『失われた世界の記憶 ~Memories of a Lost World~ 幻灯機がいざなう世界旅行』を発刊しました。

表紙
表紙

世界各地の風景や慣習が外の世界に知られる術がなかった前グローバル時代に燦然と登場した「幻灯機」。映画やテレビが当たり前ではなく、そしてもちろん、現代のように気軽に誰でも外国に出かけることができなかった当時、人々を魅了した「幻灯機スライド」が、見る者を過去へのタイムトラベルへと誘います。
700頁超(厚さ6cm、重さ2.2kg)、675点もの幻灯機スライドを一冊に集約した本書は、100年前に“失われた世界”の美しく鮮烈な印象を焼き付け、時代がどんなに流れても変わることのない、人間の生の力強さを伝えてくれます。

※「幻灯機」とは
1870年代から1930年代にかけて、大衆娯楽として絶大な人気を誇った幻灯機ショー。エンターテイメントや教材として、幻灯機が映し出した世界の姿は、当時の人々が足を運ぶなど到底かなわない場所だったからこそ一層、大衆の心を魅了した。
エジプトのカイロからインドのデリー、オーストラリアのアデレードから南アフリカのケープタウンまで、勇猛果敢な写真家たちは世界のすみずみに赴き、現地の民族や文化に向けてシャッターを切った。

URL: http://www.mitsumura-suiko.co.jp/


【書籍概要】
著者である、シャーロット・フィールとジェームス・R・ライアンの巻頭文は、内容が非常によくまとめられているので、引用します。

≪冒頭文より一部抜粋≫
■1.幻灯機で写しだされた未知の国々
『19世紀も終わりに近づいていたころ、教育のツールとして、大衆の心を掴むエンターテイメントとして絶大な支持を受け、人気の絶頂を迎えていた幻灯機ショー。劇場、学校、科学界、そして教会など、幻灯機は様々な場で活躍し、その範囲はイギリスだけに留まらず、当時イギリスが統治下に置いていた植民地をはじめ、ヨーロッパ各地、ひいては北米にまで広がり、バラエティに富んだ幻灯機スライドショーに、観客はひとときの夢を見ていた。情緒豊かなおとぎ話から世の教訓を説く物語、歴史的英雄の武勇伝、そして科学界の新発見を伝える内容まで、テーマは実に多様だった。帝国主義時代の真っただ中、マスコミュニケーションや近代化の礎が築かれていく過程で、人々は遠く離れた未知の世界を知りたいと熱望し、それを満たしてくれたのも幻灯機ショーだった。もっと広い世界を見たい、知らない世界を知りたいという人々の願望こそ、幻灯機スライドの可能性を極限にまで広げたものに他ならない。』

■2.期待どおりの世界観
『本書に掲載した人物を写したスライドの中には、スライドというよりむしろ写真と呼ぶほうがふさわしいようなものも含まれている。実際の生活の様子や人々の様子を捉えたリアリズムよりも、観客の期待に応えることのほうが優先され、まるでおとぎ話の登場人物を演じるかのように、もっともらしく見えるように設定された上で撮影されていたからだ。「農場で働く古風な女性」、「笑う農夫たち」など、まるでイギリスのビクトリア時代中期の風俗画のように、いかにも自然なように見せかけながら、実際は近代化の波に飲まれながら都市で暮らす人々が求める「理想的な田舎の風景」への希求に合わせていたのだった。』

■3.世界を知る教材
『もちろん、とても自然に人々の姿を捉えているスライドもたくさんある。東南アジアの田舎で働く農夫、シチリアで豆を洗い、袋詰めする仕事人、エジプトでタイルを敷く作業人などを写したスライドは、見る者に感情を起こさせるよりむしろ、知識を与えた。(中略)事実、20世紀の初めには、幻灯機は教育の場、特に地理の授業では必須の教材となっており、教室になくてはならない機材として確実な市場を確保していた。』

■4.爆発的な人気を博した日本の風物
『当時、世界で撮影されていた写真の趣向とは少し違った傾向にあったのが日本だ。20世紀初頭、日本を写した写真は西洋で絶大な人気があった。日本人をスタジオで撮影し、美しく色づけまでしたスライドが本書にも多数掲載されている。19世紀のヨーロッパやアメリカで「ジャポニズム」と称された日本文化は一大流行となり、芸者、巫女、侍などの人物のほか、寺院や富士山など、いわゆる典型的な「日本」のイメージが西洋人の間でもてはやされた。中には西洋が求める「オリエンタルな日本」というステレオタイプに合わせすぎているように見えるものもあるが、植民地ではなかったという点で、日本は裏に何の意図もなく、ありのままの姿で捉えられたのだった。他国で撮影された写真との大きな違いは、その内容が、西洋の旅行者たちを旅行に触発させるようなテーマのものではなく、純粋に以前から日本に存在した知識と技術を駆使し、日本文化の魅力を最大限引き出す方法を熟知した日本人写真家によって撮影されたものだったということだ。そのような写真が西洋で爆発的な人気を得たことに何の不思議もない。』

失われた世界の記憶 ~Memories of a Lost World~ 幻灯機がいざなう世界旅行
大型本 :704ページ
値段  :本体価格5,000円+税
言語  :日本語
ISBN-10:483810541X
ISBN-13:978-4838105410
発売日 :2015年12月28日
出版社 :光村推古書院


【「光村推古書院」について】
明治20年、錦絵(木版多色刷絵)の版元として屋号・本田雲錦堂という名称で創業。後、同族・同業の山田芸艸堂と合併し、芸艸堂となる。昭和17年、戦時統合により大雅堂に統合される。昭和22年、本田 寿次郎が独立し、美術出版・推古書院を設立。昭和33年、寿次郎の子、本田 欽三が推古書院を受け継ぎ光村推古書院を設立。美術出版社として、画集・図案集などの出版を手がける。平成4年、組織改編し、現在に至る。創業120年を超える。近年は、美術出版の他、写真集、京都に関するものなどの出版物を多く発行している。

会社名: 光村推古書院株式会社
所在地: 京都市中京区堀川通三条下ル橋浦町217-2
代表者: 代表取締役 浅野 泰弘
創業 : 明治20年(1887年)
URL  : http://www.mitsumura-suiko.co.jp

カテゴリ:
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タグ:
書籍・雑誌 アート・デザイン

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