中小企業の福利厚生制度の実態調査を実施 慶弔見舞金制度を運用している企業が最多、 退職金制度も70%を超える結果に
株式会社エフアンドエムでは、エフアンドエムクラブ会員企業に対し、企業の福利厚生に関する実態調査を行いました。
■1.調査背景
企業は、多数の求人から選ばれる会社となるために様々な工夫をしています。そのひとつに会社の福利厚生の充実があります。大企業ではユニークな福利厚生制度を運用し、他社との差別化を図っているケースも多くなっていますが、中小企業ではどうであるかを調査しました。
■2.調査概要
調査期間 :2016年4月1日~5月31日
調査対象 :エフアンドエムクラブ会員企業
※エフアンドエム会員企業とは、
エフアンドエムから中小企業向け
管理部門支援サービスの提供を受けている企業
有効回答数:666社
調査エリア:全国
<実態調査概要>
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(注)首都圏東京都、=神奈川県、千葉県、埼玉県
■3.調査結果
<表1:各種福利厚生制度の運用企業割合>
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調査の結果、各種福利厚生制度のうち、『慶弔見舞金制度』を運用している企業の割合が72.4%と最も高い結果となりました。
慶弔見舞金制度とは、従業員やその家族の慶弔事について、お祝金やお見舞金を贈る制度で、その内容は企業の規程によって決められています。慶弔見舞金は法的な支払い義務があるものではなく、企業が自由に決めることができるため、運用しやすい福利厚生制度のひとつです。当社が9月に発表した中小企業の慶弔休暇制度導入の実態調査において、本人の結婚や妻の出産、親族の死亡等について慶弔休暇を導入している企業は9割を超える結果となったことから、慶弔休暇制度と慶弔見舞金制度を併せて運用している企業が多いと考えられます。
また、調査結果では、慶弔見舞金制度の導入同様、退職金制度を運用している企業も70%を超えました。退職金制度を導入するメリットのひとつには、『従業員が長く働いてくれること』が挙げられます。一方で、退職金制度も7割を超える企業が導入しているため、退職金制度があることが他社との差別化につながるとは考えにくい結果となりました。
現状での導入が1%に満たない結果となった『託児施設・ベビーシッター補助』は、今後注目すべき福利厚生制度です。2016年6月2日に閣議決定されたアベノミクスの第二ステージ『ニッポン一億総活躍プラン』のひとつに、子育て支援の充実が掲げられています。「保育の受け皿確保」とありますが、政策だけでは改善できない課題も多々予想されます。そこで、企業が独自に託児施設の運営やベビーシッター補助を行う福利厚生制度を設けていくことが、選ばれる企業になるためには有効ではないかと考えられます。
企業の託児所施設等の運営は、国も後押ししています。内閣府では、多様な働き方に対応した保育サービス等を行う企業をサポートするため、『企業主導型保育助成事業』をスタートしました。第一次募集では、311施設からの申請があり、そのうち、150件・約76億円の助成を決定しました。助成事業はあるものの、企業主導で保育施設を運営していくことは助成金以上のコストが必要のため、国には継続的なサポートが期待されます。
■4.総評
近年では、ワークライフバランスが意識されるようになってきており、『働きやすい会社』が求められる傾向にあります。福利厚生は、求職者が企業と自分との相性を判断する1つの判断材料となります。とはいえ、無理をして社員寮や社宅、食堂などの施設を整備し、高いコストをかけることだけが福利厚生ではありません。中小企業が目指すべき福利厚生は、子どもがいても安心して働けるように一時保育施設の斡旋をしたり、介護相談窓口の利用機会を設けるなど、『従業員と従業員の家族のことを想った良心的なシステム』の運用であると言えます。
企業と従業員が対話を繰り返し、従業員のニーズに合わせた福利厚生を整備することで、働きやすく、人が集まりやすい魅力ある企業を作ることを目指していくことが望まれます。
従業員が心身ともに充実した状態で意欲と能力を十分に発揮できるよう、福利厚生を整備する企業が1社でも多くなることを期待いたします。
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