日本企業進出激増ミャンマーにおけるビジネスパーソンの メンタルヘルス環境 最新調査結果を報告 (5月12日・東京ビッグサイトTFTビルにて)
海外赴任者の調査研究をおこなう関西福祉大学 勝田吉彰研究室(所在地:兵庫県赤穂市、代表:勝田 吉彰 教授)は、「最後のフロンティア」と囃される途上国への進出拡大にあたり必要となる健康管理・メンタルヘルス支援を追究しており、なかでも特に急激に環境変化する国のモデルとしてミャンマーに駐在するビジネスパーソンを取巻くメンタルヘルス環境について継続的に調査研究をおこなっています。2017年5月12日には、東京ビッグサイトTFTビルにて開催される第90回日本産業衛生学会で、日本企業の進出が激増するミャンマーでの継続的調査についての最新事情を報告します。(科研費研究 15K09877)
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ミャンマーメンタルヘルス協会と協働
*代表の勝田(教授)は元外務省医務官としてセネガル・フランス・スーダン・中国にて計12年間在勤し、海外在留邦人の健康問題やメンタルヘルスを研究テーマにしております。
■調査結果概要
ミャンマーは2011年の民主化後に新たに企業進出が増加中の国ですが、その駐在者はインフラ関連・現地人の扱い・感染症など多彩なストレス要因にさらされていることが判明、内訳は2014-16年にかけて変化しています。インフラ関連が持続して高水準ながら、その中では通信インフラ関連のストレスが緩和を見せる一方で交通インフラ由来のストレスが大幅増。また、将来のアルコール問題発生のリスクが見通せる結果となりました。
今後さらに駐在層が拡大すると、感染症や物資の入手難がストレス要因として認識されるようになり、ストレス解消手段は多様化しつつあるもアルコール関連が多いため、将来の関連問題発生が懸念されます。
■調査結果のポイント
(1) ミャンマー駐在者のストレス要因はインフラ関連が多いが(通信インフラ・生活インフラ・交通インフラ)、その割合は変化
(2) 「感染症の存在」と「物資の入手難」がストレス要因として増加
(3) 現地人(ミャンマー人)との付き合い方についてノウハウ定着傾向か
(4) ストレス解消手段からアルコール問題の発生余地がうかがえる
■調査結果のポイント
(1) ミャンマー駐在者のストレス要因はインフラ関連が多いが(通信インフラ・生活インフラ・交通インフラ)、その割合は変化
ストレスを感じる要因としてインフラの不備によるものが継続して高水準を保っています。しかしその内容は、通信インフラに由来するものが減少した一方で、近年過酷さを増す渋滞や公共交通機関の整備が追い付かない点から、交通インフラに由来するストレスが増加しています。
(2)「感染症の存在」と「物資の入手難」がストレス要因として増加
市街中心地における大量の野良犬闊歩に可視化される狂犬病、今年前半で1万例超えのデング熱、ジカ熱がストレス要因として認識されていますが、実際には他に消化器感染症(赤痢アメーバ・ジアルジア)や寄生虫疾患(顎口虫など)が問題化しています。
(3) 現地人(ミャンマー人)との付き合い方はノウハウ定着傾向か
経済発展とともに変化するミャンマー人気質。突然家賃の倍増を要求され交渉余地なく退去を余儀なくされるなど、従来の書籍に書かれている「純朴で親日なミャンマー人」と異なるイメージに当惑するケースが見られていました。さらに、アルコールが入るとともに部下のミャンマー人どうしが投石を始めた、受傷に至る喧嘩になった等の成書に記載されていない事象に戸惑う割合が2014年時点では高かったのに対し、2016年では現地人気質に関する情報が共有されるようになり、現地人由来のストレスは減少してきています。
(4) ストレス解消手段からアルコール問題の発生余地がうかがえる
余暇の過ごし方は、飲酒(複数で飲み)>飲酒(ひとり酒)とアルコール関連が高率となりました。これは本研究者が前職時代、スーダン・セネガル・中国で目撃したのと同様現象で、将来のアルコール依存症等メンタル問題や健康問題発生が懸念されます。これは現地外国人向け医療機関の受診状況からも推測されるところです。
2014年から15年にかけて「インターネット」「国外旅行」の割合が減少したものの、いずれも16年に再び増加に転じました。これは他国勤務を経験したベテランの一人駐在中心で一旦ストレス解消手段を獲得したものの、16年にかけて駐在初心者層が増加し、再び、普段はネット中心、休暇は「とにかくミャンマーという場から出てストレス解消を図る」パターンが増えていると思われます。
■考察
チャイナ・プラス・ワンの潮流に乗り官民あげての進出ブームにあるミャンマーで、日本人ビジネスパーソンを取り巻く環境には、これまで国内で報道されてこなかったストレス要因があります。これまで進出が僅少であった国へ駐在員や出張者を送り出す日本企業にとって、認識し、支援すべき課題も浮き出ており、啓発が望まれます。
なお、当研究室では今後5年間にわたり継続的調査をおこない、将来予想される質的変化について継続的に論文・学会発表と並行して一般社会への情報発信に取り組んでゆきます。
また、学術調査以外に現地で得た情報や感覚をブログにて随時発信しておりますのであわせてご参照ください。
ミャンマーよもやま情報局( http://www.myanmarinfo.jp/ )
■調査概要
調査方法 :アンケート調査および聞き取り調査
調査期間 :2014~16年(学術論文として掲載 日本渡航医学会誌)
回答者の属性:日本企業駐在員・外国企業駐在員・自営業者
学術論文 :ミャンマー在留邦人を取り巻くメンタルヘルス環境
~2015年の現状~
日本渡航医学会誌 9(1):28-33 2015(査読付)
■開催概要[代表 勝田(教授)発表日]
開催名 :日本産業衛生学会学術総会
開催日時:2017年5月12日 10~17時(コアタイム 15~16時)
開催場所:東京ビッグサイトTNTビル 西館2階ポスターB会場
■研究室概要
研究室 :関西福祉大学 勝田吉彰研究室
代表者 :勝田 吉彰 教授/社会福祉学研究科長
(外務省医務官OB、スーダン・セネガル・フランス・中国に在勤)
所在地 :〒678-0255 兵庫県赤穂市新田380-3
研究領域:渡航医学(国境を越える感染症・医療事情)
多文化間精神医学(国境を越えるメンタルヘルス)
URL :ミャンマーよもやま情報局
( http://www.myanmarinfo.jp/ )
新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~
( http://blog.goo.ne.jp/tabibito12 )
■本リリースに関するお問い合わせ先
関西福祉大学 勝田吉彰研究室
Tel : 0791-46-2525
Fax : 0791-46-2526
E-Mail: katsuda@tkk.att.ne.jp
(本件のほか、海外の病気一般についてご照会をお受けします)
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