<中高生の自転車事故実態調査> 高1の5・6月は要注意。高3の約2倍事故が起きている! ~2015年都道府県別の事故件数ランキング~ 専門家が事故の多い都道府県について徹底解説!
中学校ワースト3県は 群馬、埼玉、兵庫 高校ワースト3県は 静岡、埼玉、愛知
自転車の安全利用促進委員会では新生活シーズンに合わせ、通学時(学業時を含む)に発生した全国の中学生・高校生の月別の自転車事故件数及び、都道府県別の自転車事故発生件数について調査いたしましたので、ご報告いたします。今回の調査は、当委員会メンバーでもある三井住友トラスト基礎研究所 研究理事 古倉 宗治氏と、公益財団法人交通事故総合分析センターITARDAから提供を受けた事故データに基づき、2015年に発生した事故について調査・分析致しました。
通学時の事故については、新生活が始まり、慣れない道を運転する利用者が多い4月に事故の発生が多いと思われましたが、実際は5・6月に突出して多いことが分かりました。特に、高校1年生の事故件数が最も多く、中学生でも1年生の事故が多い傾向にあり、通学路に慣れはじめることによる、注意不足が事故の引き金になっている可能性が高いことが分かりました。
また、都道府県別の自転車事故発生件数については、中学生は群馬、埼玉、兵庫が、高校生は静岡、埼玉、愛知がワースト3県という結果になりました。また、事故に遭う確率(人口1万人当たりの自転車事故の件数)では、中高生共に群馬がワースト1となっています。
各調査の詳細につきましては次ページ以降をご覧ください。
【調査トピックス】
高校生の通学時の自転車事故の約半数は高校1年生時に発生している!!
最も注意が必要なのは5・6月。通学路に慣れたこの時期の油断が事故に?
● 高校1年生の5・6月に発生する事故数は他の月と比べると1.4倍。
● 中学生も1年生の5・6月に発生する事故が多いため、あらかじめ通学前に死角などの確認を。
2015年都道府県別事故件数ランキング 事故の多い県の特徴とは?
● 中学生事故発生件数ワースト1位 群馬、2位 埼玉、3位 兵庫
● 高校生事故発生件数ワースト1位 静岡、2位 埼玉、3位 愛知
● 事故に遭う確率が最も高い県は中学高校共に「群馬県」
【自転車事故実態調査】
調査元 : 公益財団法人交通事故総合分析センターITARDA
交通事故と人間、道路交通環境及び車両に関する総合的な
調査 分析研究並びにその成果の提供等を通じて、
交通事故の防止と交通事故による
被害の軽減を図ることにより、安全、円滑かつ
秩序ある交通社会の実現に寄与すること を目的とする団体。
調査時期: 2016年2月
高校生の通学時の自転車事故の約半数は高校1年生時に発生している!!
最も注意が必要なのは5・6月。通学路に慣れたこの時期の油断が事故に?
● 高校1年生の5・6月に発生する事故数は他の月と比べると1.4倍。
● 中学生も1年生の5・6月に発生する事故が多いため、あらかじめ通学前に死角などの確認を。
中学生・高校生の学年別の通学時の自転車事故発生件数について調査しました。その結果、下記のグラフを見て分かるように、5・6月に事故が集中して発生しています。この突出している事故件数の内訳を見ると、自転車通学を新たに始める高校1年生の事故が多くを占めていることが分かります。他の学年の事故件数には、年間通して極端な増減は見られないことから、原因は季節や環境によるものではなく、運転者の気のゆるみ、注意力の低下などの人的要因(ミス)などによるものだと考えられます。
【三井住友トラスト基礎研究所 古倉宗治氏 コメント】
4月は新生活ということで、新しく自転車通勤される方や車通勤される方も増える時期なので交通事故が多く発生すると思われがちですが、実は道に慣れはじめる5・6月こそ注意が必要なのです。特に高校生は、中学生と比較すると長距離の通学になることが多いこともあり、この長い距離を通学しはじめる4月は新しいルートを探しながら緊張して通行します。しかし、この通学ルートも定まると、当初の緊張が少しずつ少なくなる一方で、ルートの危険箇所や交通ルールにはまだ不慣れであるために、事故が多くなっているものと考えられます。同様に中学生も5・6月に発生する事故件数が多いため注意が必要です。自転車事故の発生場所では特に、比較的交通量が少ないと思われる歩道のない裏道交差点での事故の割合が一番高く、中学生の割合が特に高くなっています。この裏道交差点では、車との出合頭事故が中高生共に、約9割と群を抜いて高く、発見の遅れ(認知ミス)を原因とする事故は7割以上となっています。自動車などの他の交通の状況を十分に認知するとともに、信号や一旦停止の遵守、安全確認などルールの徹底が必要でしょう。
自転車事故(中学生・高校生・発生別件数)
https://www.atpress.ne.jp/releases/128748/img_128748_1.jpg
2015年都道府県別事故件数ランキング 事故の多い県の特徴とは?
● 中学生事故発生件数ワースト1位 群馬、2位 埼玉、3位 兵庫
● 高校生事故発生件数ワースト1位 静岡、2位 埼玉、3位 愛知
● 事故に遭う確率が最も高い県は中学高校共に「群馬県」
全国の中高生の自転車事故の状況を調べるため、都道府県別の中高生の通学時の事故件数と生徒数をもとにした1万人当たりの事故発生件数を算出しました。その結果、中学生の通学時の総件数では年間192件の群馬県が最も多く、高校生では年間742件の静岡県で事故が最も多いという結果となりました。1万人あたりの事故件数では、中学・高校共に昨年に引き続き群馬県が最も多い数値となり、今後も継続的な自転車事故防止への取り組みが必要と考えられます。
自転車事故の総件数は全体的に減少傾向にあります。自転車の走行環境の整備や自転車安全利用五則の広報啓発に伴う浸透(車道通行の自転車の増加等)の影響、さらに自動車の衝突防止装置など技術的な進歩なども寄与していると考えられます。中高生の事故件数も全体としては減少傾向にあり、上記のようなルール・マナーの浸透の他、自転車の走行環境の整備の際に、自転車通学の多い路線が優先的に整備されることも寄与しているものと思われます。しかし、自転車事故は自動車との事故が多く、ほとんどの場合自転車側が死傷しています。これらの事故を減らすためにも、自転車事故へ焦点を当てた客観的な事故データの分析と、これに基づく有効な対策が必要不可欠といえます。
都道府県別の事故件数ランキング及び、1万人あたりの事故件数(対象期間:2015年1月~12月)
https://www.atpress.ne.jp/releases/128748/img_128748_2.jpg
10位以内にランクインする都道府県の多くが政令指定都市を有しており、交通量が多いために必然的に事故件数も多くなっています。こうした地区では、事故の件数の多さや確率に目を向け、事故の被害者だけでなく加害者になる可能性も高いことを意識することが重要だと考えられます。
当委員会メンバー古倉宗治氏は、自転車通学における事故の総件数の多い都道府県について推測される原因を今回の入手したデータ等から以下のように推定しています。なお、自転車事故のランキングを事故件数の絶対値で比較している関係で、自転車事故やこれに関連するデータは、件数(絶対値)で表示しています。
1. 静岡県(高校生1位、中学生4位)について
静岡県は、東名高速道路など東西交通の大動脈となっている県で、交通事故全体の発生件数は全国第4位と、三大都市圏以外では最大となっています。(1位愛知県、2位大阪府、3位東京都 ※2014年)このような交通環境や、自転車通学者数が多いという背景から、中高生の自転車と自動車との事故が多く発生しています。
●高校生について
自動車との事故件数が全国で最も多く(634件)発生しています。また、自転車事故全体について、原因に挙げられることの多い自転車側に法令違反のある件数が、全国第4位と高水準であることも原因の一つであり、さらに、自転車側に人的要因(ミス)があった件数も全国第3位であり、注意が散漫になってミスを多発し、事故につながることが多いと考えられます。
また、事故発生の場所が自宅から2km以上離れている件数も全国第1位(360件)であり、比較的長い距離の通学が多いことも事故の多い原因になっていると思われます。
●中学生について
高校生と同様に自動車との事故件数が多く、全国第2位(122件)となっています。自転車事故全体ついて、原因と考えられる、自転車側の法令違反は、全国第5位となっており、ルールを守らないで運転する中学生が比較的多いことが分かっており、また、自転車側に人的要因(ミス)があった件数は全国第4位となっており、ミスのある運転も高水準と言えます。また、事故発生の場所が自宅から2km以上離れている件数は全国第3位であり、比較的長い通学距離も事故件数に関連していると思われます。
このように自転車通学において、自転車事故につながるさまざまな数値が全国的に見て高い水準にあることが目立ちます。このような点に留意し、自動車との事故対策に特に重点を置くとともに、この原因となる法令違反や人的要因(ミス)のないよう、中高生にはルールを守った慎重な運転及びこのための広報啓発を重点的に行うことが必要です。
2. 埼玉県(高校生2位、中学生2位)について
埼玉県は東京に隣接して郊外部の団地も多数あるため、駅までの通勤通学時の自転車利用も極めて多い状況にあり、自転車事故件数は全国第4位となっています。これに伴い、中高生の自転車利用も盛んであることが、通学中の事故に大きく影響しています。
●高校生について
高校生は、自動車事故の原因となる自転車側に法令違反のある件数が全国1位(629件)となっています。また、法令違反のうち安全不確認(前方側方)による自転車事故の件数が第2位となっており、注意不足が事故の大きな要素となっていると考えられます。さらに、自転車側に人的要因(ミス)がある件数も全国1位(642件)であり、運転の際の操縦ミスの防止も重要な課題と言えるでしょう。これらの原因による事故防止のため、左側通行の徹底など、事故から身を守る慎重な運転を心掛ける指導が重要であると思われます。
●中学生について
中学生は自動車との事故の件数が全国で3番目に多く、また、自転車事故について自転車側に法令違反のある自転車事故件数が全国1位(134件)と最も多い県となっています。また、法令違反のうち安全不確認(前方側方)の自転車事故が全国2位と多く、ルール遵守が自転車事故の要因になっていると思われます。さらに、このルール違反と大きな関係がある運転の際のミスについても、自転車側に人的要因(ミス)のあった件数が全国2位であることなど、ルール遵守と注意力に課題が大きいと考えられます。
3. 愛知県(高校生3位、中学生5位)について
愛知県は国内で最も自動車の保有台数の多い県(514万台 ※2015年)であり、交通事故の発生件数も全国で最も多い県でもあります。また、名古屋市では道路の区画整理が7割以上進んでいるために、自動車交通が特に発達しています。運転のしやすさがかえって自動車の速度を上げ、自転車事故を含む交通事故を誘発していると考えられます。
●高校生について
愛知県は自動車保有台数が多いこともあり、対自動車の自転車事故件数が、静岡県に次いで2番目に多い県です。さらに、自転車事故の自転車側の法令違反件数も全国第2位であり、このうち安全不確認(前方側方)の自転車事故が全国第1位(338件)で、全国でも群を抜いて違反件数が多いことが分かりました。
●中学生について
中学生の通学時の事故においても、対自動車の自転車事故件数は全国第4位と高く、また、自転車側の法令違反も同じく第4位(104件)で、このうち安全不確認(前方側方)の自転車事故件数が全国1位(64件)となっています。
中高生共に、ルール遵守(特に安全確認)に重点を置く対策が必要だと考えられます。
【参考】最新の自転車事故の動向・実態
古倉宗治氏によるコメントにあるように、中高生の自動車との裏道交差点事故の約9割が「出会い頭」での事故となっており、事故の要因として「発見の遅れ」が要因の3分の2を占めていることがわかります。また、「出会い頭」での事故は年齢が低いほど『裏道交差点』などで高い割合で起きていることも分かっています。車の少ない道でこそ事故が頻発していることを、大人は指導していく必要があるでしょう。(出典:三井住友トラスト基礎研究所 2014年古倉宗治氏講演資料より )
裏道交差点での事故
https://www.atpress.ne.jp/releases/128748/img_128748_3.jpg
古倉宗治(こくら・むねはる) 三井住友トラスト基礎研究所
東京大学法学部卒業。建設省、東京工業大学助教授、一般財団法人民間都市開発推進機構、一般財団法人土地総合研究所等を経て、2008年から株式会社三井住友トラスト基礎研究所 研究理事を勤める。自転車施策の第一人者として、講演会の他、NPO法人自転車政策・計画推進機構を主宰、また、大学で教鞭を取るなど活躍中。
https://www.atpress.ne.jp/releases/128748/img_128748_4.jpg
通学時の事故については、新生活が始まり、慣れない道を運転する利用者が多い4月に事故の発生が多いと思われましたが、実際は5・6月に突出して多いことが分かりました。特に、高校1年生の事故件数が最も多く、中学生でも1年生の事故が多い傾向にあり、通学路に慣れはじめることによる、注意不足が事故の引き金になっている可能性が高いことが分かりました。
また、都道府県別の自転車事故発生件数については、中学生は群馬、埼玉、兵庫が、高校生は静岡、埼玉、愛知がワースト3県という結果になりました。また、事故に遭う確率(人口1万人当たりの自転車事故の件数)では、中高生共に群馬がワースト1となっています。
各調査の詳細につきましては次ページ以降をご覧ください。
【調査トピックス】
高校生の通学時の自転車事故の約半数は高校1年生時に発生している!!
最も注意が必要なのは5・6月。通学路に慣れたこの時期の油断が事故に?
● 高校1年生の5・6月に発生する事故数は他の月と比べると1.4倍。
● 中学生も1年生の5・6月に発生する事故が多いため、あらかじめ通学前に死角などの確認を。
2015年都道府県別事故件数ランキング 事故の多い県の特徴とは?
● 中学生事故発生件数ワースト1位 群馬、2位 埼玉、3位 兵庫
● 高校生事故発生件数ワースト1位 静岡、2位 埼玉、3位 愛知
● 事故に遭う確率が最も高い県は中学高校共に「群馬県」
【自転車事故実態調査】
調査元 : 公益財団法人交通事故総合分析センターITARDA
交通事故と人間、道路交通環境及び車両に関する総合的な
調査 分析研究並びにその成果の提供等を通じて、
交通事故の防止と交通事故による
被害の軽減を図ることにより、安全、円滑かつ
秩序ある交通社会の実現に寄与すること を目的とする団体。
調査時期: 2016年2月
高校生の通学時の自転車事故の約半数は高校1年生時に発生している!!
最も注意が必要なのは5・6月。通学路に慣れたこの時期の油断が事故に?
● 高校1年生の5・6月に発生する事故数は他の月と比べると1.4倍。
● 中学生も1年生の5・6月に発生する事故が多いため、あらかじめ通学前に死角などの確認を。
中学生・高校生の学年別の通学時の自転車事故発生件数について調査しました。その結果、下記のグラフを見て分かるように、5・6月に事故が集中して発生しています。この突出している事故件数の内訳を見ると、自転車通学を新たに始める高校1年生の事故が多くを占めていることが分かります。他の学年の事故件数には、年間通して極端な増減は見られないことから、原因は季節や環境によるものではなく、運転者の気のゆるみ、注意力の低下などの人的要因(ミス)などによるものだと考えられます。
【三井住友トラスト基礎研究所 古倉宗治氏 コメント】
4月は新生活ということで、新しく自転車通勤される方や車通勤される方も増える時期なので交通事故が多く発生すると思われがちですが、実は道に慣れはじめる5・6月こそ注意が必要なのです。特に高校生は、中学生と比較すると長距離の通学になることが多いこともあり、この長い距離を通学しはじめる4月は新しいルートを探しながら緊張して通行します。しかし、この通学ルートも定まると、当初の緊張が少しずつ少なくなる一方で、ルートの危険箇所や交通ルールにはまだ不慣れであるために、事故が多くなっているものと考えられます。同様に中学生も5・6月に発生する事故件数が多いため注意が必要です。自転車事故の発生場所では特に、比較的交通量が少ないと思われる歩道のない裏道交差点での事故の割合が一番高く、中学生の割合が特に高くなっています。この裏道交差点では、車との出合頭事故が中高生共に、約9割と群を抜いて高く、発見の遅れ(認知ミス)を原因とする事故は7割以上となっています。自動車などの他の交通の状況を十分に認知するとともに、信号や一旦停止の遵守、安全確認などルールの徹底が必要でしょう。
自転車事故(中学生・高校生・発生別件数)
https://www.atpress.ne.jp/releases/128748/img_128748_1.jpg
2015年都道府県別事故件数ランキング 事故の多い県の特徴とは?
● 中学生事故発生件数ワースト1位 群馬、2位 埼玉、3位 兵庫
● 高校生事故発生件数ワースト1位 静岡、2位 埼玉、3位 愛知
● 事故に遭う確率が最も高い県は中学高校共に「群馬県」
全国の中高生の自転車事故の状況を調べるため、都道府県別の中高生の通学時の事故件数と生徒数をもとにした1万人当たりの事故発生件数を算出しました。その結果、中学生の通学時の総件数では年間192件の群馬県が最も多く、高校生では年間742件の静岡県で事故が最も多いという結果となりました。1万人あたりの事故件数では、中学・高校共に昨年に引き続き群馬県が最も多い数値となり、今後も継続的な自転車事故防止への取り組みが必要と考えられます。
自転車事故の総件数は全体的に減少傾向にあります。自転車の走行環境の整備や自転車安全利用五則の広報啓発に伴う浸透(車道通行の自転車の増加等)の影響、さらに自動車の衝突防止装置など技術的な進歩なども寄与していると考えられます。中高生の事故件数も全体としては減少傾向にあり、上記のようなルール・マナーの浸透の他、自転車の走行環境の整備の際に、自転車通学の多い路線が優先的に整備されることも寄与しているものと思われます。しかし、自転車事故は自動車との事故が多く、ほとんどの場合自転車側が死傷しています。これらの事故を減らすためにも、自転車事故へ焦点を当てた客観的な事故データの分析と、これに基づく有効な対策が必要不可欠といえます。
都道府県別の事故件数ランキング及び、1万人あたりの事故件数(対象期間:2015年1月~12月)
https://www.atpress.ne.jp/releases/128748/img_128748_2.jpg
10位以内にランクインする都道府県の多くが政令指定都市を有しており、交通量が多いために必然的に事故件数も多くなっています。こうした地区では、事故の件数の多さや確率に目を向け、事故の被害者だけでなく加害者になる可能性も高いことを意識することが重要だと考えられます。
当委員会メンバー古倉宗治氏は、自転車通学における事故の総件数の多い都道府県について推測される原因を今回の入手したデータ等から以下のように推定しています。なお、自転車事故のランキングを事故件数の絶対値で比較している関係で、自転車事故やこれに関連するデータは、件数(絶対値)で表示しています。
1. 静岡県(高校生1位、中学生4位)について
静岡県は、東名高速道路など東西交通の大動脈となっている県で、交通事故全体の発生件数は全国第4位と、三大都市圏以外では最大となっています。(1位愛知県、2位大阪府、3位東京都 ※2014年)このような交通環境や、自転車通学者数が多いという背景から、中高生の自転車と自動車との事故が多く発生しています。
●高校生について
自動車との事故件数が全国で最も多く(634件)発生しています。また、自転車事故全体について、原因に挙げられることの多い自転車側に法令違反のある件数が、全国第4位と高水準であることも原因の一つであり、さらに、自転車側に人的要因(ミス)があった件数も全国第3位であり、注意が散漫になってミスを多発し、事故につながることが多いと考えられます。
また、事故発生の場所が自宅から2km以上離れている件数も全国第1位(360件)であり、比較的長い距離の通学が多いことも事故の多い原因になっていると思われます。
●中学生について
高校生と同様に自動車との事故件数が多く、全国第2位(122件)となっています。自転車事故全体ついて、原因と考えられる、自転車側の法令違反は、全国第5位となっており、ルールを守らないで運転する中学生が比較的多いことが分かっており、また、自転車側に人的要因(ミス)があった件数は全国第4位となっており、ミスのある運転も高水準と言えます。また、事故発生の場所が自宅から2km以上離れている件数は全国第3位であり、比較的長い通学距離も事故件数に関連していると思われます。
このように自転車通学において、自転車事故につながるさまざまな数値が全国的に見て高い水準にあることが目立ちます。このような点に留意し、自動車との事故対策に特に重点を置くとともに、この原因となる法令違反や人的要因(ミス)のないよう、中高生にはルールを守った慎重な運転及びこのための広報啓発を重点的に行うことが必要です。
2. 埼玉県(高校生2位、中学生2位)について
埼玉県は東京に隣接して郊外部の団地も多数あるため、駅までの通勤通学時の自転車利用も極めて多い状況にあり、自転車事故件数は全国第4位となっています。これに伴い、中高生の自転車利用も盛んであることが、通学中の事故に大きく影響しています。
●高校生について
高校生は、自動車事故の原因となる自転車側に法令違反のある件数が全国1位(629件)となっています。また、法令違反のうち安全不確認(前方側方)による自転車事故の件数が第2位となっており、注意不足が事故の大きな要素となっていると考えられます。さらに、自転車側に人的要因(ミス)がある件数も全国1位(642件)であり、運転の際の操縦ミスの防止も重要な課題と言えるでしょう。これらの原因による事故防止のため、左側通行の徹底など、事故から身を守る慎重な運転を心掛ける指導が重要であると思われます。
●中学生について
中学生は自動車との事故の件数が全国で3番目に多く、また、自転車事故について自転車側に法令違反のある自転車事故件数が全国1位(134件)と最も多い県となっています。また、法令違反のうち安全不確認(前方側方)の自転車事故が全国2位と多く、ルール遵守が自転車事故の要因になっていると思われます。さらに、このルール違反と大きな関係がある運転の際のミスについても、自転車側に人的要因(ミス)のあった件数が全国2位であることなど、ルール遵守と注意力に課題が大きいと考えられます。
3. 愛知県(高校生3位、中学生5位)について
愛知県は国内で最も自動車の保有台数の多い県(514万台 ※2015年)であり、交通事故の発生件数も全国で最も多い県でもあります。また、名古屋市では道路の区画整理が7割以上進んでいるために、自動車交通が特に発達しています。運転のしやすさがかえって自動車の速度を上げ、自転車事故を含む交通事故を誘発していると考えられます。
●高校生について
愛知県は自動車保有台数が多いこともあり、対自動車の自転車事故件数が、静岡県に次いで2番目に多い県です。さらに、自転車事故の自転車側の法令違反件数も全国第2位であり、このうち安全不確認(前方側方)の自転車事故が全国第1位(338件)で、全国でも群を抜いて違反件数が多いことが分かりました。
●中学生について
中学生の通学時の事故においても、対自動車の自転車事故件数は全国第4位と高く、また、自転車側の法令違反も同じく第4位(104件)で、このうち安全不確認(前方側方)の自転車事故件数が全国1位(64件)となっています。
中高生共に、ルール遵守(特に安全確認)に重点を置く対策が必要だと考えられます。
【参考】最新の自転車事故の動向・実態
古倉宗治氏によるコメントにあるように、中高生の自動車との裏道交差点事故の約9割が「出会い頭」での事故となっており、事故の要因として「発見の遅れ」が要因の3分の2を占めていることがわかります。また、「出会い頭」での事故は年齢が低いほど『裏道交差点』などで高い割合で起きていることも分かっています。車の少ない道でこそ事故が頻発していることを、大人は指導していく必要があるでしょう。(出典:三井住友トラスト基礎研究所 2014年古倉宗治氏講演資料より )
裏道交差点での事故
https://www.atpress.ne.jp/releases/128748/img_128748_3.jpg
古倉宗治(こくら・むねはる) 三井住友トラスト基礎研究所
東京大学法学部卒業。建設省、東京工業大学助教授、一般財団法人民間都市開発推進機構、一般財団法人土地総合研究所等を経て、2008年から株式会社三井住友トラスト基礎研究所 研究理事を勤める。自転車施策の第一人者として、講演会の他、NPO法人自転車政策・計画推進機構を主宰、また、大学で教鞭を取るなど活躍中。
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プレスリリース添付資料
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- 調査・報告
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- その他乗り物 その他ライフスタイル 社会(国内)
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