京セラ株式会社(社長:谷本 秀夫)は、社会貢献活動の一環で開設している京セラ美術館(京セラ本社ビル1階)において、本年6月9日(金)から7月9日(日)までの約1ヵ月間、2017年特別展「リン/テン ファインセラミックスと芸術の交感」を開催します。
本展では、「やきもの」で表現活動を行う若手作家・上田順平氏によって制作された当社のファインセラミックスを使用した作品を中心に、約20点の新作を公開する予定です。
ファインセラミックスは、自動車やスマートフォン等の部品として幅広く用いられていますが、芸術の観点では、素材としての魅力はあるものの、加工の難しさなどから、現在までほとんど扱われておりません。
今回、上田氏からファインセラミックスを使用して、新たなジャンルのやきもの作品に挑戦したいとの申し出があり、当社としてもファインセラミックスの魅力や、芸術分野での新しい可能性について、広く発信していきたいとの思いから本展が実現しました。
特別展のタイトルとなっている「リン/テン」は、臨界、輪郭、隣接などの「リン」、反転、展開、接点などの「テン」という個別の意味に加え、「輪転(輪廻)」という意味も込められています。シンプルなようで複雑、無機質なようで生命力あふれる作品によって生みだされる非日常的な世界を、ご体感いただける展示内容となっています。
シロ/モン <ファインセラミックス>
ファインセラミックスによる四角形の板を、鏡や窓、絵画に
見立てて空間に配置し、現実世界に空白・余白を表現。
ホウ/イ <レンガ生土>
人が手のひらで水をすくった動作から、文明や利器が生まれ
発展したとする物事の成り立ちを表現。
■特別展概要
特別展名 | 京セラ美術館 2017年特別展 「リン/テン ―ファインセラミックスと芸術の交感―」 |
会 場 | 京セラ株式会社 本社ビル1階 京セラ美術館 (住所:京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地) |
会 期 | 2017年6月9日(金)~7月9日(日)の約1ヵ月間 (会期中は毎日開館) |
開館時間 | 午前10時~午後5時 (入館は閉館の30分前まで) |
入 館 料 | 無料 |
出 展 品 | ファインセラミックスを用いた陶芸作品を中心とした新作約20点 |
主 催 | 京セラ株式会社 |
後 援 | 京都市、京都商工会議所、京都新聞、日本経済新聞社京都支社、 KBS京都 |
協 力 | Imura art gallery、都窯業株式会社、カネ利陶料有限会社、 宝塚大学 |
■展示内容
上田氏は、水をすくう動作から生まれた掌のなかの水面に四角形をみたことから、原初から現在までの人の営為をつなぐ手がかりとして四角形という図形に着目。レンガや土器に始まる人類の技術や文明の進歩の頂点として、ファインセラミックスを位置づけ、有史以前からの人の営みと、物質・時間との関係性を象徴的に表現します。
最先端技術の進化を支えるファインセラミックス。機能性の追求によって生まれた「いろ、かたち」を独立させて可視化することで、ファインセラミックスに鑑賞という用途を加え、「やきもの」による芸術表現に一石を投じます。
シカク/ラセン <磁器>
物質や人には、螺旋構造という共通性がある一方、人が生み出す形
には四角形が数多く存在する。螺旋と螺旋の関わりを四角形で表現。
■上田順平氏について
京都を拠点に、「やきもの」が背負う文化や歴史、「うつわ」という概念、「機能と用」に対しての問いから、それらの関係に着目した作品を制作。2010年には、現代美術における若手作家の登竜門と言われる「五島記念文化賞美術新人賞」を受賞。同年より五島記念文化財団の研究員としてメキシコで制作活動を行う。メキシコの風土や現代文化、古代文明などに触れ、文明・技術と芸術との接点を模索。帰国後初となる本展において、文化の違いを越える新たな作品約20点を公開。
[略歴]
1978 年 大阪府堺市生まれ
2003 年 大阪芸術大学美術学部工芸学科陶芸コース卒業
2005 年 京都市立芸術大学大学院修士課程美術研究科陶磁器専攻修了
2010 年 五島記念文化財団研修員としてメキシコにて滞在制作
現 在 宝塚大学 専任講師
[主な受賞歴]
2006 年 京都府美術工芸新鋭選抜 2006 新しい波 工芸部門・最優秀賞
2008 年 第11回岡本太郎現代芸術大賞展 岡本敏子賞
2010 年 五島記念文化賞 美術新人賞
2013 年 第31回京都府文化賞 奨励賞