シャイアー・ジャパン 遺伝性血管性浮腫(HAE)の新規治療薬 「フィラジル(R)皮下注30mgシリンジ」を発売
指定難病HAE患者に朗報 - 日本初、自己注射によって 発作が起こったその場で早期治療を実現
希少疾患や特殊疾患のリーディング・カンパニーである、シャイアー・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:グレン・スノハラ、以下「シャイアー」)は、国が定める指定難病のひとつ(※1)である「遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema、HAE)」の治療薬、選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー「フィラジル(R)皮下注30mgシリンジ」(一般名:イカチバント酢酸塩 以下「フィラジル(R)」)について、2018年11月20日、「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を効能・効果として発売開始したことをお知らせします。
HAE発作は、CIインヒビターの欠損または機能障害によって過剰に産生されたブラジキニンが、その受容体であるB2受容体に結合して血管透過性が亢進し、血管内の水分が血管の外(皮膚の下)に漏れ出すことで引き起こされ、腫れが進行していきます。
「フィラジル(R)」は、HAE発作の原因であるブラジキニンの作用を直接的に阻害する唯一の治療薬です。「フィラジル(R)」は、面倒な投与前の準備が不要で、針を装着した後、ただちに自己注射による皮下投与が可能な日本初の治療薬です。発作が起こったその場での早期治療を実現し、患者さんのQOLを改善することが期待されます。
■HAE-その場で早期治療できる選択肢がないことによる患者さんの様々な負担
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、突然顔や唇、手足、消化器などさまざまな部位に腫れやむくみ、激しい痛みが起きる遺伝性の疾患です(※2、3)。罹患率は5万人に1人の割合で、国内の患者数は推定2,500人(※4)ですが、実際に治療されている患者さんは約450人にとどまるといわれています。浮腫の症状は2~5日間程度で治まることが多い(※5)ものの、慢性的に繰り返します。
HAEの患者さんは身動きができないほどの激しい腹痛に襲われたり、唇や顔がひどく腫れて変形し、別人のように変貌してしまうような発作を起こします。発作が始まると時間の経過とともに、血管内の水分が血管の外(皮膚の下)に漏れ出すことで腫れが進行するため、漏れ始めたら直ちに治療することが重要です。また、顔面の腫れが喉頭におよんだ場合、呼吸困難や窒息を起こす危険もあり(※6)発作時は出来る限り早く治療することが治療ガイドラインでも推奨されています(※7)。
しかしながら、学校や職場で発作が起きた場合、多くの患者さんにとってその場を離れて速やかに医療機関を受診することは容易ではありません。また、夜間に発症した場合には、その場で早期に治療できる選択肢が存在しなかったために翌朝まで自宅で我慢を強いられている患者さんは少なくありません。このように、患者さんは、日常生活において様々な支障があり、大きな負担となっており、「早期治療」は現在の日本におけるHAE治療の最大のアンメットニーズとして認識されています。
■HAE治療に革新をもたらす「フィラジル(R)」
発作の原因であるブラジキニンの作用を直接的に阻害する唯一のHAE治療薬「フィラジル(R)」は、一回の注射で速やかにHAEの発作症状を緩和させる(※8)ことが期待できる優れた効果と安全性プロファイルが国内第III相臨床試験で認められています。
「フィラジル(R)」は、ヨーロッパで2008年に最初の承認を受けた後、既に世界45カ国で承認、販売されており、HAE発作治療の標準薬として、延べ37万人以上(※9)の患者の早期治療に貢献しています。
また「フィラジル(R)」は、針を装着した後、ただちに投与できるように、ブラジキニンの作用を直接的に阻害する有効成分を注射器内に予め充填しており(プレフィルドシリンジ製剤)、煩雑な投与前準備も不要で発作が起こったその場での自己注射による治療が可能です。これにより、学校や仕事場など外出時や夜間などに急な発作が起こった場合でもその都度、病院を受診する必要がありません。その場で治療を行うことができるため、速やかに発作症状を緩和し、患者さんのQOLを改善することが期待されます。
「フィラジル(R)」の国内第III相試験(301試験)の治験責任医師である、広島大学大学院医歯薬保健学研究科 皮膚科学教授 秀 道広先生は「フィラジル(R)」の発売について以下のように述べています。
「遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作は、適切な治療のタイミングを逸すると致死的となりかねません。
HAEの発作時にその場で治療することができるようになり、我が国におけるHAE治療は変革されることと思います。今後、HAE治療に携わる先生方とともに、自己注射による早期治療を実現し、患者さんのQOL改善のために貢献したいと思います」
シャイアー・ジャパンの代表取締役社長のグレン・スノハラは「日本のHAE患者さんが待ち望んでおられた早期治療を実現する新しい治療薬『フィラジル(R)』をお届けできることをうれしく思います。『フィラジル(R)』は、欧米では10年におよびHAE発作治療の標準薬として実績があります。シャイアーはグローバルにおいてHAE治療のリーダーであり、日本においても『フィラジル(R)』によって、より多くの患者さんのアンメットニーズを解決できるよう尽力してまいります」と述べています。
【「フィラジル(R)」の日本人における臨床成績と海外エビデンスが示す早期治療の意義】
■「フィラジル(R)」の国内第III 相臨床試験結果(概要)
日本人HAE患者の急性発作に対し、「フィラジル(R)」は自己投与または医療従事者による投与に関わらずその有効性と忍容性が示されました。
<有効性について>
皮膚、腹部、又は喉頭に発作を生じた計8名に「フィラジル(R)」を投与(うち自己投与は3名)。症状緩和までの時間の中央値は1.75時間(95%信頼区間:1.00,2.50)で、全患者で投与後5時間以内に症状が緩和しました。
<安全性について>
7名に注射部位反応が認められ,3名に有害事象(HAE発作 2名,頭痛1名)が認められました。
■「フィラジル(R)」の海外における早期治療について検討した試験結果(概要)
「フィラジル(R)」の臨床的なアウトカムを評価するため、現在も継続中の国際共同プロスペクティブ観察研究IOS(Icatibant Outcome Survey)より、2009年7月から2012年2月までの間に登録された、「フィラジル(R)」を投与した18歳以上のHAE患者 136例について、発作発現から「フィラジル(R)」投与までの時間が、症状が完全消失するまでの発作持続時間に与える影響を検討したところ、発作発現から1時間未満に「フィラジル(R)」を投与した群では、1時間以上経過後に投与した群と比べ、発作持続時間の有意な短縮がみられました。(発作発現から1時間未満に投与した群(n=80発作):発作持続時間の中央値 2.0時間、発作発現から1時間以上経過後に投与した群(n=127発作):発作持続時間の中央値14.0時間、P
「フィラジル(R)」製品写真
■「フィラジル(R)」の製品概要
■シャイアーについて
シャイアーは希少疾患や特殊疾患を持つ患者さんのために尽力する、バイオテクノロジーのグローバルリーダーです。私たちは、ともに立ち向かう人が少ない患者さんたちに向けて、新しい可能性を発見し実現することにより、限界を広げようとしています。絶えず開発の最先端に立ち、多様なパイプラインを保有するシャイアーは新しい思考や新たな希望を次々と提供するイノベーターです。世界100カ国以上の患者さんに製品を提供し、医療機関・関係者と連携しながら、私たちは早期診断を可能にし、治療水準を高め、医薬品へのアクセスを加速させ、患者さんを支え、一緒に道のりを歩んでいくことを目指しています。シャイアーの希少疾患と神経領域疾患(ニューロサイエンス)部門は、免疫性疾患、血液疾患、遺伝性疾患、内科領域疾患、眼科疾患、神経内科領域疾患などの治療領域の幅広いポートフォリオを支えています。
患者さんとともに立ち向かうことが私たちのモチベーションです。これにより、人々の生活を変える機会と責任がもたらされます。
■シャイアー・ジャパン株式会社について
シャイアー・ジャパン株式会社は希少疾患および特殊疾患の治療薬の開発・販売のほか、それら疾患の認知向上に力を入れています。40年以上の実績をもつ血友病治療分野では、血友病A治療薬「アディノベイト(R)静注用」「アディノベイト(R)静注用キット」「アドベイト(R)静注用」、血友病インヒビター治療薬「ファイバ(R)静注用」、血友病B治療薬「リクスビス(R)静注用」と、幅広いラインアップをもち、患者さんに貢献しています。さらに、本態性血小板血症治療薬「アグリリン(R)カプセル」、ゴーシェ病治療薬「ビプリブ(R)点滴静注用」、低並びに無ガンマグロブリン血症治療薬「ガンマガード(R)静注用」、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療薬「インチュニブ(R)錠」を販売しており、2018年11月には、遺伝性血管性浮腫治療薬「フィラジル(R)皮下注30mgシリンジ」を発売しました。なお、「インチュニブ(R)錠」においては、塩野義製薬株式会社が承認を取得しており、プロモーション提携をしています。
■参考文献
1. 厚生労働省 平成27年1月1日施行の指定難病(告示番号65)
(1) 原発性免疫不全症候群に含まれる疾患 (7)-II.遺伝性血管性浮腫(C1インヒビター欠損症)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062437.html
2. Bork, K., et al.:Am. J. Med., 2006, 119 (3), 267
3. Bowen, T., et al.:Allergy. Asthma. Clin. Immunol., 2010, 6 (1), 24
4. 「遺伝性血管性浮腫(HAE)ガイドライン改定2014年版」(一般社団法人日本補体学会HAEガイドライン作成委員会)
5. Agostoni A, Cicardi M. Hereditary and acquired C1-inhibitor deficiency: biological and clinical characteristics in 235 patients. Med 1992;71:206-15
6. Bork, K., et al.:J. Allergy. Clin. Immunol., 2012, 130 (3), 692
7. アレルギー , 2015, 64(9), 1215
8. 秀 道広ら. アレルギー. 2018; 67: 139-47.
9. シャイアー調べ
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