アルツハイマー型認知症などの神経疾患領域において、ヒト生体に近い環境で新薬の評価が可能 創薬支援用iPS細胞由来分化細胞「iCell(R) Microglia(アイセル ミクログリア)」新発売
新薬の研究開発の効率化に大きく貢献
富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)の米国子会社で、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(フジフイルム・セルラー・ダイナミクス、以下FCDI社)は、創薬支援用iPS細胞由来分化細胞「iCell(R) Microglia」を、1月下旬より富士フイルム和光純薬株式会社を通じて発売いたします。
◆詳細はWebページをご覧ください。
⇒ https://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1383.html?link=atp
「iCell(R) Microglia」は、ヒトiPS細胞を、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患の発症に関与することが知られているミクログリア細胞に分化誘導した創薬支援用iPS細胞由来分化細胞です。この細胞を用いることで、ヒト生体における中枢神経系に近い環境で新たな評価方法を構築できるため、新薬の研究開発の効率化に大きく貢献します。
新薬開発では、多額な費用が必要となる臨床試験の前に、効率的かつ高精度に有効性と安全性を確認したいというニーズが高まっています。そのため、無限増殖性とあらゆる細胞に分化する性質を持つヒトiPS細胞を、狙った細胞に分化誘導して新薬開発に活用する動きが世界的に始まっています。また、ヒトiPS細胞をドラッグリポジショニング(*1)に活用することで、新たな適応疾患が発見され、効果を確認する治験を始めた例も出てきています。
現在、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患の多くは、原因を特定できておらず、根本治療薬の創出が非常に困難となっています。このような中、脳や脊髄に存在する免疫細胞で、死んだ神経細胞や脳内に集積したアミロイドβを貪食したり、傷ついた神経細胞の再生を促したりするなどの免疫機能を持つミクログリア細胞は、神経疾患の発症時に、変性した神経細胞の周囲に集積したり、異常活性を起こしたりすることが知られており、神経疾患領域の新薬開発における有望なターゲットとして注目が集まっています。
FCDI社は、2018年1月に、生物学などの自然科学分野で多くの研究成果を有するカリフォルニア大学アーバイン校と、iPS細胞からミクログリア細胞へ分化誘導する技術に関する独占ライセンス契約を締結しました。さらに、同技術と、FCDI社の世界トップのiPS細胞関連技術を活用することで、iPS細胞由来のミクログリア細胞を効率的に安定生産することに成功しました。
本細胞は、神経疾患を対象とした新薬開発に用いることで、ヒト生体における中枢神経系に近い環境で新たな評価方法を構築できるため、新薬の研究開発の効率化に大きく貢献します。また、ドラッグリポジショニングにおいて、神経疾患領域における新たな適応疾患を探索する研究開発期間の短縮に寄与します。
FCDI社は、現在、iPS細胞由来の心筋細胞や肝臓細胞など、約20種類の創薬支援用iPS細胞由来分化細胞を全世界の製薬企業や研究機関、アカデミア向けに販売しています。今後、「iCell(R) Microglia」を加えた幅広いラインアップで、多様な顧客ニーズにこたえるとともに、iPS細胞を用いた新薬開発のさらなる普及に取り組んでいきます。
FCDI社は、加齢黄斑変性や網膜色素変性、パーキンソン病、心疾患、がんを重点領域として自社再生医療製品の開発を進めるとともに、製薬企業やアカデミア向けの創薬支援用iPS細胞由来分化細胞の事業展開も加速させています。今後も、富士フイルムをはじめ、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングや富士フイルム和光純薬、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.などの富士フイルムのグループ会社の技術・ノウハウを活用することで、再生医療の産業化に貢献していきます。
*1 既存の医薬品や候補化合物を、新たな適応疾患をターゲットに開発しなおすこと。ある疾患を対象に、ヒトでの安全性が確認できている既存薬では、迅速な開発に繋がると言われている。
富士フイルムニュースリリース一覧
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