知的障害者の「活きる」を考える 第2回シンビオシスフォーラムがオンラインで8月7日開催 ~株式会社土屋が知的障害者の一人暮らしの支援を開始~
株式会社土屋(本社:岡山県井原市、代表取締役:高浜 敏之、在籍人数:1,164人)は、2021年8月7日(土)に土屋総研(所長:吉田 政弘)主催で、「重度訪問介護サービスを使った知的障害者支援の現在と未来について」をテーマとした「第2回シンビオシスフォーラム」を開催します。また、当社で新たに始まりました知的障害者の一人暮らしへの取組みについて、リーダーを務める野呂 一樹のインタビュー形式でお知らせします。
詳細URL: https://bit.ly/press20210730-symbiosis-forum
株式会社土屋・ホームケア土屋は、重度の障害をお持ちの方に対する訪問介護サービスを全国で展開するソーシャルビジネス企業です。アテンダント(介護者)がクライアント(利用者)のお宅で一対一の生活支援や医療的ケアを行い、障害を持つ方が住み慣れた地域や自宅で自分らしく暮らすためのサポートをしています。
【第2回シンビオシスフォーラム 概要】
<日時>
2021年8月7日(土)15時~17時
<場所>
Zoomによるオンライン開催(ご自宅から参加可能です)
<参加費>
無料
<テーマ>
「重度訪問介護サービスを使った知的障害者支援の現在と未来について」
<パネリスト (敬称略)>
山下 健 :大阪府立病院機構 大阪精神医療センター・診療主任
増田 登志子:津市基幹障がい者相談支援センター・センター長
池田 博実 :相談支援専門員
野呂 一樹 :株式会社土屋 知的障害者地域生活推進委員会委員長
<参加申し込みURL>
https://bit.ly/press20210730-symbiosis-forum
今回のシンビオシスフォーラムでは、相談支援の中核的役割を担う基幹相談支援センター、知的障害をお持ちの当事者とそのご家族とともに歩む相談員、医療的側面からバックアップする医師とともに、知的障害をお持ちの方の地域移行について考えていきます。
ぜひご参加ください。
【野呂一樹 インタビュー】
■知的障害者の一人暮らしに向けて
現在、ご家族の高齢化が進む中、家庭での介護は限界を迎えています。特に強度行動障害の方は、グループホームだと暴れたり、他の利用者とそりが合わないなど、介護者側の人手不足も相まって支援が困難です。施設も入所待ちのため、病院と家を行き来し、グループホームを転々とするなど、落ち着いて暮らせないのが現状です。
その中で、重度訪問介護制度を用いた知的障害者の一人暮らしへの取組みが始まりました。しかし、入り口で早速、障壁になったのが「住居」です。
ご家族の高齢化などで、契約手続きができずに住居自体を借りられないクライアントが多くいます。この解決のために、まずは株式会社土屋が大家と賃貸契約を結び、その後土屋とクライアントが契約を結ぶ形で物件を確保しました。そうして、即入居可能な、またはお試し一人暮らしの場として、まずは知的障害のクライアントの多い三重県より支援を始めました。
■最初の入居者
現在、まず1名のクライアントが、物件として借りた三軒長屋の1つに入居し、一人暮らしを始めています。強度行動障害と自閉症をもつ30代の女性、障害区分は6です。生活能力はないものの、声掛けをすれば自分でできることは自分でし、食事の準備など、できないところを手伝う形です。
以前はグループホームに入所していましたが、暴れたり、外に飛び出すなどで退去となったこともあり、引っ越した先の環境に適合できない可能性も当初は考慮していましたが、思ったよりもずっと落ち着いて生活し、食事もしっかり取れています。部屋が広くなったことで、楽しんでいるようです。入居してしばらく経ちますが、今では「ここは私の家」という認識もできています。
支援内容は週7日、夕方から朝方までの同性介護です。日中は生活介護事業所に通っています。
■見えてきた課題
知的障害者の一人暮らしには、地域住民との協力も不可欠です。その点で少し苦労しました。やはり知的障害があると、どうしても地域活動が難しかったりします。例えば、自治会の草抜きでは、管理者が行くなど、安心して一人暮らしができるように当社のフォローが必要です。
実際の支援を通して浮かび上がった今後の課題は、他のサービスとの連携をどうするか、というところです。住居が決まっても、生活介護事業所などから遠すぎると、受け入れていただけないという問題も出てきます。知的障害者の一人暮らしにあたって、地域住民との関わりや、他のサービスとの兼ね合いは難しい問題であり、乗り越えていくべき壁だと思います。
■知的障害者支援のリアル
知的障害者は、ゆっくりですが進歩はしていくんですよね。ここが、ADLが下がらないように介護する身体・難病や認知症介護との基本的な違いだと思います。食後の後片付けなど、健常者が1日で習得できることが1年かかるかもしれませんが、時間をかけて一緒にやっていけば、できるようになっていきます。
そのため、知的障害における介護は、身体・難病の場合と異なり、基本的にアテンダント主導になります。人生経験の豊かな人に合う現場だとは思いますが、親の視点で子どもに接するようなやり方では叱るなど虐待にもつながるので、少し年上の友達感覚、もしくは近所のお兄さんお姉さん感覚で接するのがちょうど良い実感はあります。一緒に歩んでいく、その姿勢が重要です。
ただ、強度行動障害の場合、気を付けるべきは他害のケースです。自分のキャパを超えてしまうなど、我慢ができなくなると、スイッチが入ってしまって暴れたり、ものを倒したり、外へ飛び出したりします。
表情からスイッチが入りそうだと思ったら、一歩手前で意識を逸らすのが必要ですね。テレビに視線を移すとか、面白い話や、かくれんぼなどの子ども遊びをしたりとかです。スイッチが入ってしまったら、飲み物を飲んでもらうとか、別の部屋に行って視界から外れるなどの対処をしながら本人が落ち着くのを待ちます。
知的障害のある方は、答えを教えてくれません。私たちが、それを見つけないといけないのです。試行錯誤しながら、これをするとこうなるなどの経験や事例をみなで積み重ねていくのが大切です。そうしているうちに、気づくとその現場のスペシャリストになっています。
■日中活動の事業所設置への取組み
知的障害のみならず、身体・精神・難病の方の支援の形として、多くの方と同じように、日中は作業や仕事をする、夜は家でゆっくり休むなど、活動の場と休息の場の両輪があるのが理想的だと考えています。
それを踏まえ、現在の介護支援の他に、平日の日中活動の場を作りたいと思っています。生活介護事業所、あるいは就業サポートである就労継続支援施設B型(就B)を今後、株式会社土屋で設置する予定です。
重要なのは段階を踏んだ支援です。今の時点でできる仕事を探すなど、発達途上にある障害者に簡単な仕事をあてがうのではなく、発展をにらんで仕事を選び、その仕事に合うように障害者を導くという考えで、日中活動の場を作っていきたいです。
まずは生活を介護し、生活能力を上げていく場である生活介護事業所からスタートして、レベルを上げてから、働いて給料(工賃)をもらう就Bにつなげていきたいです。就Bではパソコンを打つ作業や、本や雑誌の装丁や出版を考えています。そして就Bで頑張って訓練し、最終的には一般就労につながるように段階を踏んで進めていきたいです。
■地域共生社会の確立を目指して
私はもともと社会福祉協議会に勤めていて、可能ならば障害をもっていても、自分で稼いだお金で、好きなことを、好きな時にできるような暮らしを実現したいと考えてきました。
最終目的地としてあるのが、地域共生社会です。年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが一緒にサービスを受けられるような、地域の集まる場である地域共生社会を作っていきたいです。
現在、株式会社土屋で進めている物件の準備や日中活動の場の設置なども、いずれすべてが地域共生社会につながるものと考えています。
知的障害者が一人暮らしをし、働くことで、生きがいややりがいをもって楽しく生きていける世の中ができると思いますし、そういう機会を提供していきたいと思っています。
【関連URL】
<公式サイト>
https://bit.ly/tsuchiya_press20210730
<公式Twitter>
https://twitter.com/tcy_honsha
<公式YouTubeチャンネル>
https://www.youtube.com/channel/UCboj8uAyr_W7Vw4kT9HS7ng
【会社概要】
会社名 :株式会社土屋
所在地 :岡山県井原市井原町192-2 久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜 敏之
設立 :2020年8月
事業内容 :障害福祉サービス事業及び地域生活支援事業、
介護保険法に基づく居宅サービス事業、
講演会及び講習会等の企画・開催
及び運営事業、研修事業、訪問看護事業
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