介護の土屋 リスクマネジメント委員会にてポータルサイト作成 ~介護業界のリスク回避に向けて~
重度の障害をお持ちの方に対する訪問介護サービスを全国で展開し、高齢者向けデイサービスや定期巡回、訪問看護も行うソーシャルビジネス企業・株式会社土屋(本社:岡山県井原市、代表取締役:高浜 敏之、在籍人数:2,646人)は2025年1月、介護における重大な事故等の回避に向け、リスクマネジメント委員会にて「ポータルサイト」を作成しました。
「ポータルサイト」は当委員会専用サイトであり、当社のリスクマネジメントへの取組みを網羅したものでもあります。重大事故の回避に向けたヒヤリハット事例の収集や、緊急時フローチャートの整備、早稲田大学 人間科学部 健康福祉マネジメント論研究室と連携した産学連携プロジェクトなど、介護事業所のリスク回避に向けた様々な対策が集約されています。
今後は「ポータルサイト」を随時更新し、最大限に活用することで、当社内はもちろんのこと、介護業界全体のリスク回避に向けた取組みを行う所存です。
■ポータルサイトの概要
当ポータルサイトは、土屋グループのリスクマネジメントに関するあらゆる情報を集約し、確認できるサイトです。8つの項目に分類され、土屋グループ各事業所担当者から随時情報を収集し、当委員会委員長・澤田 由香および副委員長・渡部 有真により運用・検証・分析されています。
今後は、ポータルサイトの情報を元に、土屋グループ内でのリスク軽減に寄与するとともに、介護のリーディングカンパニーとして、介護業界全体のリスク回避への一助とする方針です。
■ポータルサイトの内容
(1) リスクマネジメント委員会について
〇 当委員会の活動目的、今後の方針など
〇 事故案件を速やかに委員会報告するための「Google Formsを用いた申告フォーム」(以下、Gフォーム)
重大事故が発生した場合、当委員会が即座に事故内容を把握・管理するために設置しています。
(2) ヒヤリハット・事故(現場スタッフ・管理者向け)
〇 毎月1回、土屋グループ各事業所(子会社含む)より、ヒヤリハット・事故報告をGフォームにて収集
2024年8月1日に報告方法を改定し、ヒヤリハットと事故の“住み分け”を図るとともに、双方の定義の見直しを行いました。
ヒヤリハット・事故の報告方法については、現場スタッフから上長に対して報告されるGフォームと、上長が委員会に対して報告するGフォームに分かれ、現場ではヒヤリハットか事故かの判断はせず、報告を受けた上長の判断によりヒヤリハット・事故の分別を行っています。
〇 スプレッドシートを用いた確認
ヒヤリハット・事故を管理するためにスプレッドシートを設け、内容・件数等の把握を行っています。
(3) 事故報告書の格納
本ポータルサイトの作成に当たり、事故報告書の管理を、当委員会が一括して行うこととなりました。
(4) 見守り5か条
重度訪問介護には、支援内容として「見守り」が含まれますが、特に夜間帯は“居眠り”を起因とした事故が起きてしまう可能性があります。当社では現時点で大きな問題は起きていないものの、“たまたま、今のところ起きていない”というに過ぎないことから、見守り支援中の約束事を記した「見守り5か条」を作成し、見守り時のルールを規定しています。
(5) 緊急時お守りブック
当社のクライアントの緊急時における連絡先や対応方法、またそれに際してのクライアントの既往歴やアレルギーの有無等を整理したものです。各クライアント宅に備えるとともに、各事業所でも写しを保管し、緊急時に速やかな対応が取れるようにしています。
(6) 緊急時フローチャート
緊急時の各事業所の対応について、その行動手順などをフローチャートにて分かりやすく示したものです。
(7) 産学連携プロジェクト
当社の顧問であり、早稲田大学 人間科学部 健康福祉マネジメント論研究室教授の松原 由美氏ならびに同研究室の嘉屋崎 顕氏と連携し、事故予防を目的とした調査の一環としてKYT(危険予知トレーニング)を行っています。今後、当プロジェクトにて検証された結果を社外へも発信する方針です。
(8) 要検討事案のヒヤリング
各事業所のヒヤリハット・事故報告の中から、当委員会メンバーにより要検討事案をピックアップし、当該事業所の管理者に対してヒヤリングを行っています。
場合によっては大事故に発展しかねないようなケースや、再発防止対策がしっかり取られていないケースなどを中心に、同様の問題を未然に防止すべく、当該事業所の管理者等と話し合いを進めた上で、追跡調査しています。現在までに、2件のヒヤリングを実施しています。
■委員長・澤田 由香のコメント
この度のポータルサイト作成に当たり、まずは現場スタッフ・管理者がヒヤリハット・事故案件をスムーズに報告できることを第一義としました。現場では日々の業務をこなしながら情報の収集・集約・作成・報告をしなければならないため、“使いやすさ”や“報告・確認のしやすさ”を重視しました。
もちろん、これまでも報告体制はありましたが、ヒヤリハットを報告すること自体に抵抗感のあるスタッフも少なくなく、ヒヤリハットを毎回作成し報告することが“文化”として当社に根付いていなかったことがあります。その抵抗感をなくすべく、一から少しずつ形作りをするところから始め、お守りブックや見守り5か条、勉強会の実施などを経て、ようやくここまで来たという実感があります。
ポータルサイトを作成したことにより、土屋グループで起こった各種のヒヤリハット・事故報告を見ることができます。これは社の透明性にもつながりますし、なにより各種案件に土屋グループ全体が“アクセスできる”ことが一番肝心だと思っています。そうすることで事故の未然防止にもつながるため、当ポータルサイトは当社の財産だと考えています。
今後は、同様の事故を未然に回避する“予防策の作成”が大きな目的になってきます。ヒヤリハット事例でも、一歩間違えれば大きな事故につながり、最悪の場合は命に関わることにもなりますし、賠償問題に発展する可能性もあります。それらを回避し、利用者ならびにスタッフが安心して生活・就労するためにも、当ポータルサイトのブラッシュアップを随時図っていく方針です。
ヒヤリハットは事故の未然防止への重要な鍵であり、ヒヤリハットを報告することは決して罰せられることではなく、むしろ感謝されるべき事柄です。当委員会としては、引き続きそれらを周知していくことでスタッフの心理的安全性を高めるとともに、情報開示により社内の透明性を図り、土屋グループ全体のリスクマネジメントの意識向上に努めていきたいと思っております。
■副委員長・渡部 有真のコメント
今回、ポータルサイトを作成するに至った大きなきっかけをご紹介させていただきます。まずは、当委員会に関する情報発信の要となる当委員会メンバーが、当委員会において、実際にどのような活動を行い、そこにはいったいどのようなルールが存在するのかという点を明確化していく必要があること、これが一因となっています。さらに、同メンバーが、関係各所に対し、共通認識をもち、同じ方向を向いて伝達・周知することが肝要であり、地盤整備をすることで、ひいては業務効率化を促すのではないかと考えました。加えて、これまで当委員会が作成してきたありとあらゆる仕組みやデータ・システム情報が点在していたことで、いわば“情報迷子”になってしまう可能性が非常に高く、情報検索の入口から、時間的コストを費やさざるを得ないことが、当委員会の大きな改善点でもありました。近年は、私が管理者をしていた頃よりも、格段と運営管理業務が増加し複雑化しています。それは裏を返せば、リスクに対する危機意識の向上とも言えます。そんな今こそ、業務一つ一つに掛ける時間的コストをできる限り削減する施策も必要だと考え、ポータルサイトの作成に至りました。
また、同サイトを作成したことでまた一つ収穫がありました。それは、子会社を含む当社の業務の効率化は改善の余地がたくさんあることです。ヒヤリハットや事故報告一つをとって見ても、まだまだアナログな方法を駆使し、業務の効率化が図れていない部署も少なくありません。全てがデジタル化されることが望ましいとは言い切れませんが、業務負担の改善・業務効率化は、間違いなく自身のリスクヘッジにもなる、そんな思いを信じてやみません。当社が働きやすい会社だ、と全社員が言える会社を目指し、“今、当委員会にできること”を遂行します。
【関連URL】
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【会社概要】
会社名 :株式会社土屋
所在地 :岡山県井原市井原町192-2 久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜 敏之
設立 :2020年8月
事業内容 :障害福祉サービス事業及び地域生活支援事業、
介護保険法に基づく居宅サービス事業、
講演会及び講習会等の企画・開催及び運営事業、研修事業、
訪問看護事業