第15回「働く人の電話相談室」結果報告 コロナ禍で女性、正社員の相談件数が大幅に増加 働き盛りの世代の相談割合増加も顕著
働く人の心の問題解決を支援する「産業カウンセラー」を養成する一般社団法人 日本産業カウンセラー協会(代表理事:田中 節子)では、世界自殺予防デーにあわせ、2021年9月10日(金)、から3日間、全国22か所で「働く人の電話相談室」を開設、産業カウンセラー資格を有する専門家が各地で相談にあたりました。
今年で15回目を迎えた「働く人の電話相談室」には、昨年から続く新型コロナウイルスの影響について、多くの相談が寄せられました。期間中に寄せられた延べ288名、456件(※相談者からの主訴を最大3つまで選択する方式として集計)の相談から、その相談内容を集計し、その結果をまとめましたのでご報告いたします。
コロナ禍の影響は、職場環境を含め多岐に及んでおり、全相談件数の約3割を占め、そのうち「職場の悩み」「キャリアに関する悩み」が過半数を占めています。また、相談を寄せた属性のうち、「正規社員」の方からの相談が件数、全体割合とも増加し、職場環境の変化やコロナ禍の影響を示唆する結果となっています。今回は女性からの相談が7割近く、30代から50代の働き盛り層の相談割合が大きく増加しているのも特徴といえます。項目別では「職場の人間関係」が大きく増加する一方、ハラスメント全体は昨年に比べ割合、件数とも減少し、働き方改革が進み、テレワークが広がるなかで対人関係の変化が影響していると思われます。
<第15回「働く人の電話相談室」の結果 主なポイント>
・女性、働き盛りの割合が増加、新型コロナウイルスの影響は全体の約3割
・正規社員の相談が大幅増、コロナ禍での職場環境の変化を反映か
・職場の人間関係の悩みが増加もハラスメント全体は減少、対人環境変化が影響か
■女性、働き盛りの割合が増加、新型コロナウイルスの影響は全体の約3割
昨年に続き、新型コロナウイルスとテレワークの普及状況を鑑み、相談に関する内容のなかに新型コロナウイルスやテレワークがどう影響したのかについて、設問を設けました。寄せられた相談の26.3%が新型コロナウイルスの影響を受けたと回答し、昨年に比べ増加。テレワークについては4.2%が影響を受けたと回答しており、こちらも昨年に比べ倍増しています。
新型コロナウイルスの影響を受けたと回答した人の相談内容では、昨年最も相談の多かった「職場の悩み」は今年も引き続き最多(37.5%)でしたが、「キャリアに関する悩み」(17.5%)が減少する一方で、「自分自身に関する悩み」「家族に関する悩み」「生活上の悩み」など多岐にわたり影響が及んでいることがわかります。
<新型コロナウイルス・テレワークの影響について>
<新型コロナウイルスの影響を受けた悩みの内訳>
■正規社員からの相談件数が大幅増
相談者の属性割合は正規社員が昨年に比べ件数、割合とも大幅に増加しています。相談に寄せられた声には「収入が減った」、「転職が不安」、など職場環境の変化や、コロナ禍など社会環境の影響などが心の悩みへ直結している現状が伺えます。またテレワークの影響も増加しており、定着してきたテレワークに伴い「コミュニケーションがしにくい」「仕事の達成感がない」など職場環境の変化に働く側の心が追いつかない現状も顕著となっています。
<相談者の属性割合と昨年比較>
■女性、30代から50代の働き盛りの相談割合が大きく増加
女性からの相談割合が7割近くまで増加、30代から50代の働き盛りの相談割合も増加しています。また、正規社員の男女とも「職場の悩み」の割合が最も高いなか、女性は6割を占め、その項目として「職場の人間関係」が半数をしめています。コロナ禍で女性雇用への影響が大きいともいわれており、そうした社会背景を反映していると考えられます。
<男女別相談者の割合>
<男女正規社員の悩み内訳>
<年代別相談者の割合>
■職場の人間関係の悩みが拡大もハラスメント全体は減少、対人環境変化が影響か
寄せられた相談内容分類では「職場の悩み」37.3%、「キャリアに関する悩み」14.9%、「家族に関する悩み」11.6%が上位をしめています。また昨年2番目に多かった「メンタル不調・病気の悩み」が件数、割合とも4割近く減少しています。しかしテレワークに関する悩みをみると「職場の悩み」が大半を占めており、職場環境の違いにより相談内容に差異がでていると思われます。
「職場の悩み」では「職場の人間関係」とする回答が全体の約5割を数え、昨年以上に対人関係に神経を使う人たちが多いことと、「キャリアの悩み」では「働き方」が昨年の倍近い伸びを示しており、また「自分自身」に関する項目では「生き方」が5割増加しています。ハラスメントについてはパワハラが昨年より7%減少しているなど、コロナ禍等社会環境の変化が対人関係を含め影響を与えていることがうかがえます。
<「悩み」の項目別相談比率>
<「職場の悩み」の内訳割合と昨年比較>
<「キャリアに関する悩み」の内訳割合と昨年比較>
<「自分自身」の内訳割合と昨年比較>
【2021年度「働く人の電話相談室」実施概要】
● 実施日時 2021年9月10日(金)~12日(日)午前10時~午後10時
● 実施場所 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会各支部22拠点
● 実施方法 フリーダイヤルによる電話受付
● 集計総数 延べ 288名、456件
● 集計方法 相談内容をA~Hまで8つのカテゴリーに分類、それぞれのカテゴリー内に最大11個の項目を設定し、相談者からの主訴を1つから最大3つまでを選択する方式として集計した。また、カテゴリーA『職場の悩み』のうち、(1)職場の人間関係、(2)セクハラ、(3)パワハラ、(4)その他のハラスメント、の4項目については、悩みの対象が誰なのか「1 男性」「2 女性」、相談者との関係性「1 上司(役員含め)」「2 部下」「3 同僚」「4 非正規社員」「5 その他・不明」と細分化し、項目の選択から悩みの内容を類推できるようにした。
【日本産業カウンセラー協会について】
日本産業カウンセラー協会は、1960年に創立、1970年に社団法人として認可され、60年を超える歴史と実績があります。主な事業としては産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの育成、企業・団体向けの研修や相談、個人向けの電話相談活動など多岐にわたります。
所在地: 〒105-0004 東京都港区新橋6-17-17 御成門センタービル6階
会長 : 田中 節子
プレスリリース添付資料
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- 調査・報告
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