新たな研究でよみがえる!150年前の欠損した作品 創造広場「アクトランド」にて 復元された作品の展示を令和4年1月22日より開催
創造広場「アクトランド」(所在地:高知県香南市、館長:小笠原 満)では、アクトランド内の展示館「絵金派アートギャラリー」にて令和4年1月22日より、欠損して発見された芝居絵屏風と、想定復元された作品を展示し、この研究の成果を紹介する企画展を開催いたします。
高知大学講師・野角 孝一氏の研究グループは、高知県内の神社で見つかった欠損の激しい絵金派の芝居絵屏風を、欠損部分も含めて想定復元制作いたしました。劣化しつつある作品の保存とは異なり、既に欠損している作品の復元というこの研究は、「地域文化の継承」という大きな課題に対する新たな見地からのアプローチといえます。
<展示概要>
コーナー展「地域文化の伝統と継承 -芝居絵屏風「伽羅先代萩御殿」の想定復元制作-」
開催日時:令和4年1月22日(土)~5月29日(日)
※新型コロナウイルス感染拡大により、期間の変更や中止となる場合がございます。
10:00~18:00(入館締め切り17:30まで)
開催場所:創造広場「アクトランド」 絵金派アートギャラリー
主催 :創造広場「アクトランド」
入館料 :一般 1,000円 高校生以下 500円 小学生未満 無料
協力 :高知大学
<高知大学・野角氏らによる本研究について>
高知大学教育学部講師・野角 孝一氏の研究グループは、高知県内に点在する芝居絵屏風について2011年から調査を行っており、2015年12月に高知県香南市香我美町口西川にある峯八王子宮で、大きく損傷した芝居絵屏風を確認、この屏風が画面の7割が欠失した状態でした。地域の貴重な文化財を次世代に継承すべく、2016年2月より野角氏らはこの屏風の想定復元の制作に取り掛かり、約4年半をかけ完成しました。
制作にあたっては
・芝居絵屏風に描かれている題材の特定
・欠損部分の想定
(絵金研究者からの助言や他の地域が所蔵している作品を参考にしました)
・作品の支持体・本紙・色材の分析及び再現
・現在使用していない素材の代用品の検討
を踏まえて進めました。
<本企画開催の背景>
かつて地域で大切にされていた作品が、記録も取られないまま、もうすでに滅んでいってしまっている現状です。今までは滅んだ作品はそのまま伝える術をなくしてしまっていましたが、本研究を通してこうした作品も地域に伝えていくことができるようになればと考えています。現在絵金派アートギャラリーで開催中の「宵を彩る絵馬提灯の世界-釜淵双級巴-」では、新たに発見された絵金筆の作品を展示していますが、この新発見と、本企画のように滅びた作品に息を吹き込むという、絵金を取り巻く二つの「今」を紹介したく企画しました。
<復元された作品>
■鬼才絵師・絵金、そして「絵金派」とは?
絵師・金蔵(文化9~明治9/1812~1876)を略して絵金と呼ばれています。もとは狩野派絵師でしたが後に失脚して町絵師となり、芝居絵屏風を多数制作するようになります。当時の庶民の娯楽であった歌舞伎や浄瑠璃を題材とし、芝居の修羅の世界を極彩色で彩った芝居絵屏風は、ろうそくの揺れる光に映し出され、うごめくように息づいています。その独特の画風は「おどろおどろ」と表現され、近年の江戸絵画人気により全国的に注目され始めています。
その絵金の弟子や孫弟子たちを「絵金派」と呼んでいます。
絵金や絵金派の作品は、今回作品が発見された峯八王子宮のように、現在でも高知県各地の神社で年に一度の夏祭りに飾られ、土佐の祭礼文化を彩っています。
■創造広場「アクトランド」について
「アクトランド」のアクト(ACT)とは、Art(芸術)・Culture(文化)・Technology(技術)の頭文字を並べたもので、芸術に親しみ、文化を高め、科学技術を発展させる、という想いのもと開設しました。施設内には、坂本龍馬の蝋人形館「龍馬歴史館」や、土佐の鬼才絵師・絵金らの作品を展示した「絵金派アートギャラリー」、自動車黎明期の技術が見られる「世界クラシックカー博物館」などの8つの展示館に加え、日本最小で唯一の人力観覧車など、ユニークな遊具のある無料エリアを併設。豊かな感性と創造性を育むための魅力に満ちた空間となっています。
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