対面授業復活により重要度を増す災害対策本部の 本格的なシミュレーション訓練を「教職学」協働で実施
芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田純)は、震度6強の地震があったという想定で、災害対策本部要員のシミュレーション訓練を大宮キャンパスで2022年9月21日に実施しました。この取り組みは、「教員と職員が大規模災害発生時にキャンパスにおける発災初日の本部運営を体験する」という目的で例年実施され、今回で4回目になります。大学や企業などで通常行われる避難訓練ではなく、病院や保健所などで実施されるレベルの災害対策の本部訓練を、学生によるシナリオ作成のもと教員と職員が協働参加することが大きな特徴です。
■訓練実施の背景
大宮キャンパスには約5,000名の学生が学び、本学で最も学生数が多いキャンパスです。また、約150名の専任教員と約30名の専任職員も勤務しています。首都直下型地震などの大災害が今後起こった場合、教職員が災害対策本部を立ち上げ、本部要員として事態に率先して対応することが求められます。このような背景から、大宮キャンパスでは一般的な「避難訓練」に留まらず、本格的な「災害対策本部要員のシミュレーション訓練」を毎年実施しています。特に今年は本学の授業が原則対面化になったこともあり、本部機能訓練の重要性が高まっています。
■訓練の特徴
本訓練はシステム理工学部 環境システム学科 市川 学 准教授(社会システム科学研究室)が監修し、当日の講師を務めました。ガイダンスの座学パートの後、実践パートでは初動体制の構築や初動対応方針の決定、被害状況の確認と対応、発災2日目に向けた準備など、病院や保健所などが実施するレベルの内容で構成されています。また、災害時のシナリオについては研究室の学生が主体となり、実際にキャンパス内の校舎の事前調査を踏まえて作成されました。
参加した教職員には、交通機関のトラブルなど時間を追うごとにさまざまな情報が与えられ、タイムリーな状況判断が求められるプログラムとなっています。
<主な訓練内容>
初動体制の構築:ICS*1(インシデント・コマンド・システム)とCSCA*2
初動対応方針の決定
災害被害発生とその対応
発生2日目に向けた準備
*1 ICS…災害現場や事件現場などの緊急時における標準化された組織マネジメント手法。
*2 CSCA…大規模災害への体系的アプローチ
C:Command and Control(指揮と連携/ICSを実行することで完了)
S:Safety(キャンパスの安全確保)
C:Communication(情報収集伝達の体制整備)
A:Assessment(収集した情報を評価し初動対応方針の決定)
■市川 学 准教授のコメント
今回の訓練は、災害時に医療チームが実践していることを大学に置き換えて実施しています。実際に災害が起こった際も、訓練で学んだことを実践すれば対応すべき項目を実践しつつ不測の事態にも対応できると思われます。
シミュレーション訓練では、成功することではなく失敗してこそ意味があります。教員・職員の皆さんは積極的に訓練に参加していただき、多くの失敗を経験して、それらをいざという時に生かし、学生や関係者の安全を確保して欲しいと思います。
■今後の予定
今後は、本部棟が竣工したばかりの豊洲キャンパスでも同様のシミュレーション訓練を計画中です。本学はこれからも「学生の安全第一」の考えのもと、教員と職員が協力してキャンパス内の安全確保に努めます。
■環境システム学科 市川 学 准教授 関連動画
【SIT Lab Vol.24】質的手法で精緻化する仮想社会のシミュレーション
芝浦工業大学の先端研究を発信するシリーズ、「SIT Lab」。第24回は「質的手法で精緻化する仮想社会のシミュレーション」環境システム学科 市川 学 准教授です。数値のみのシミュレーションではなく、現実世界を模した架空の町で生きる人によって現象を捉える研究です。社会課題の抱えている本質に迫ります。
■芝浦工業大学とは
工学部/システム理工学部/デザイン工学部/建築学部/大学院理工学研究科
https://www.shibaura-it.ac.jp/
日本屈指の海外学生派遣数を誇るグローバル教育と、多くの学生が参画する産学連携の研究活動が特長の理工系大学です。東京都とさいたま市に2つのキャンパス(豊洲、大宮)、4学部1研究科を有し、約9千人の学生と約300人の専任教員が所属。2024年には工学部が学科制から課程制に移行し、従来の教育の在り方を根本から変えていきます。創立100周年を迎える2027年にはアジア工科系大学トップ10を目指し、教育・研究・社会貢献に取り組んでいます。
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