KPMGジャパン、「KPMGグローバル自動車業界調査2022」と 「第2回日本における消費者調査」の比較分析レポートを発表

~自動車業界のエグゼクティブによる売り手側の見方に対し、 日本の消費者にも調査を行うことで買い手側との相違を検証~

KPMGジャパン(東京都千代田区、共同チェアマン:山田 裕行、知野 雅彦)は、今年2023年で23回目となる「KPMGグローバル自動車業界調査2022」および、「第2回日本における消費者調査」を比較分析したレポートを発表しました。


詳細URL: https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/jp/pdf/2023/jp-Global-Automotive-Executive-Survey-2022.pdf



●グローバルのエグゼクティブは2030年までに日本の新車販売23%(2021年調査では52%)をバッテリー電気自動車(以下、BEV)が占めると予想しているのに対して、BEVを購入したいと回答した日本の消費者は、2021年(11%)とほぼ変わらず12%

●今後、BEVは政府介入がなくても普及すると回答したグローバルのエグゼクティブは82%(日本のエグゼクティブ85%)である一方、日本の消費者では24%/23%(自動車保有者/自動車非保有者)

●グローバルのエグゼクティブ78%(日本のエグゼクティブ71%)は今後新車販売の大半がオンラインになると予想する一方、オンラインで購入したいと回答した日本の消費者は、25%/23%(自動車保有者/自動車非保有者)

●日本の消費者では、価格が高くなってもSDGsに配慮された商品・サービスを選択したいという消費者が1/3以上を占める



本レポートでは、KPMGが日本を含む世界の自動車業界のエグゼクティブを対象に実施したグローバル調査と、KPMGジャパンが日本国内の消費者を対象に実施した調査を比較し、自動車業界の展望を多角的に検証しています。また2回目となる日本の消費者調査においては、前回からの比較に加え、今回新たに自動車非保有者に向けた調査・分析も行いました。


グローバルエグゼクティブ調査は914人のエグゼクティブを対象とし、「パワートレインの未来」、「デジタル消費者」、「脆弱なサプライチェーン」、「新たなテクノロジーと新規参入者」という、自動車業界を揺るがす4つの領域に関して、経営目線での見解を分析しています。また日本における消費者調査は、6,687名(自動車保有者、非保有者総数)を対象とし、グローバルのエグゼクティブの見解との比較を取り入れ、詳細を考察しています。



1. BEVの市場シェア

2021年にグローバルで実施した自動車業界エグゼクティブ向けの調査では、2030年までの新車販売台数のうちBEVが占める割合の予測は国や地域により20%から70%と大きな開きがありました(図1左はその中で日本、中国、米国、西欧、ブラジル及びインドを抜き出しています)。しかし2022年では、バッテリー駆動への転換に伴う課題について、より慎重な見方が広がっているため、2030年までの販売シェアは15%から30%程度と予測されています(図1左)。この調査結果に対し、今後5年以内に自動車を購入するとしたら、エンジン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、バッテリー電気自動車、その他(燃料電池・水素エンジン車など)のいずれを選ぶか、という質問を消費者(自動車所有者)に対して実施したところ、2021年に引き続き2022年もBEVを選択する人の割合は12%に留まるという結果になりました(図1右)。


図1:日本におけるBEVの浸透率(自動車業界エグゼクティブの見解 vs. 日本の消費者の見解)


図1:日本におけるBEVの浸透率


2. BEVの普及に向けた補助金の必要性

BEV化に対する見解の質問として、補助金の必要性について調査を行いました。グローバルでは自動車業界のエグゼクティブの5人中4人以上が、政府の補助金がなくても今後10年間でBEVが広く普及すると考えていますが、日本の消費者は4人中1人と差異が見られます(図2)。これまでの政府の補助金と消費者への認知度向上により、BEVの商品力ならば市場に拡大していくと予想をしている自動車業界のエグゼクティブに対して、日本の消費者は企業努力でBEVの価格は下がってはきているものの、高額な商品であること、充電等のインフラ整備の遅れなどから、今後のさらなる普及には政府の補助金による後押しが必要との考えの違いが表れたものと考えられます。


図2:バッテリー電気自動車の普及に向けた補助金の必要性(自動車業界エグゼクティブの見解 vs. 日本の消費者の見解)


図2:バッテリー電気自動車の普及に向けた補助金の必要性


3. 消費行動のデジタル化に対する見解

グローバルで実施した自動車業界エグゼクティブ向けの調査では、78%のエグゼクティブが2030年までに新車購入の大半はデジタル上で完結すると答えました(日本のエグゼクティブは71%)。これに対してオンラインで車を購入したいと答えた日本の消費者は25%にすぎませんでした(図3)。エグゼクティブが販売のDXを推進し、オンライン販売の拡大に大きな期待をかける一方で、日本の消費者の現時点での受容度はまだ低く、不安・懸念を取り除く取組みが必要であると考えられます。


図3:自動車購入のオンライン化(自動車業界エグゼクティブの見解 vs. 日本の消費者の見解)


図3:自動車購入のオンライン化


4. SDGsを意識した消費

近年さまざまなメディアにおいて、サステナビリティ、ESGおよびSDGsの話題を見聞きしない日はありません。そこでSDGsを意識した消費に関する質問を、2022年に新しく日本の消費者向けに追加しました。その結果、価格が高くなってもSDGsに配慮されている方が良いとの回答は36%/33%(自動車保有者/非保有者)、逆にSDGsに配慮されていなくても価格が安い方が良いとの回答は64%/67%(自動車保有者/非保有者)となりました。価格が高くなってもSDGsに配慮された商品・サービスを選択したいという消費者が現時点でも1/3以上いることは、今後の日本でのサステナビリティを含めた商品・サービス市場の拡大を予想させます。


図4:SDGsを意識した消費(全年代)


図4:SDGsを意識した消費(全年代)


図5:SDGsを意識した消費(年代別)


図5:SDGsを意識した消費(年代別)


レポートの全文については、こちらをご参照ください。

https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/jp/pdf/2023/jp-Global-Automotive-Executive-Survey-2022.pdf



■調査方法

<グローバルエグゼクティブ調査>

名称  :KPMGグローバル自動車業界調査2022

     英名 Global Automotive Executive Survey 2022(GAES 2022)

調査期間:2022年10月

調査対象:世界30カ国の自動車業界および周辺業界のエグゼクティブ 914人

     ※CEO 207人、Cレベルエグゼクティブ209名、

      部門・部署責任者293人、マネージャー205人を含む

     ※調査対象の15%が自動車メーカー、15%がティア1サプライヤー、

      16%が情報通信技術会社

調査方法:インターネットによるアンケート調査

対象地域:米国(28%)、中国(17%)、ヨーロッパ(29%)、インド、

     日本、韓国、オーストラリア、タイ、インドネシア、カナダ、

     ラテンアメリカ、南アフリカ、サウジアラビア

対象企業:2021年の年間売上が、100億ドル以上の企業が3%、

     10億ドルから100億ドルの企業が36%、

     10億ドル未満の企業が61%


※グローバル調査に関するプレスリリースの抄訳版はこちら

https://kpmg.com/jp/ja/home/media/press-releases/2023/01/global-automotive-executive-survey-2022.html


<日本の消費者調査>

名称  :第2回日本における消費者調査

調査期間:2022年11月

調査対象:18歳から64歳までの消費者 6,687名(自動車保有者、非保有者総数)

     サーベイにあたっては、地域や性別による偏りが生じないよう、

     総務省統計局 日本の統計2022における地域別の

     15歳から64歳までの消費者の人口構成比をもとに

     6,687名のサンプルを抽出しています。

調査方法:インターネットによるアンケート調査

対象地域:日本国内



■KPMGジャパンについて

KPMGジャパンは、KPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームの総称であり、監査、税務、アドバイザリーの3つの分野にわたる9つのプロフェッショナルファームによって構成されています。クライアントが抱える経営課題に対して、各分野のプロフェッショナルが専門的知識やスキルを活かして連携し、またKPMGのグローバルネットワークも活用しながら、価値あるサービスを提供しています。

日本におけるメンバーファームは以下のとおりです。

有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人、KPMGコンサルティング株式会社、株式会社KPMG FAS、KPMGあずさサステナビリティ株式会社、KPMGヘルスケアジャパン株式会社、KPMG社会保険労務士法人、株式会社KPMG Ignition Tokyo、株式会社 KPMGアドバイザリーライトハウス

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