壁紙の品番を数秒で識別するAIアプリを産学連携で開発 メディア・企業向け発表会を大阪市で12月15日に開催
同志社大学と共同開発した「自動テクスチャ識別AI」を搭載 数時間かかる作業時間を秒単位に短縮し建設DXに寄与
コマツ株式会社(本社:大阪府東大阪市、代表取締役:小松 智)は、2023年12月15日(金)、同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科 知的機構研究室(教授:奥田 正浩)と連携し開発を続けてきた「自動テクスチャ識別AI」を使ったスマホ用壁紙識別AIアプリ「かべぴた」を発表します。
長年、内装業界では使用資材のメーカーや品番の特定に時間・労力がかかることが課題で、使用資材によっては品番の特定ができないものもありました。このような課題を解消するべく、同志社大学と共同で、テクスチャ(画像の色目や凹凸、模様等)から資材のメーカーや品番を識別する技術を開発してまいりました。この度、第一弾として内装資材の壁紙をスマホで撮影するだけで、メーカー、品番を識別するスマホ用アプリ「かべぴた」を発表いたします。近日中にベータ版を無償リリースし、業界はもちろん、広くユーザー様に御使用いただき、改善点やデバッグを進めていく予定です。
「自動テクスチャ識別AI」は、内外装材や建材だけにとどまらず、様々な識別に今後使用される可能性の高い識別プログラムです。昨年行われた国際会議『2022 IEEE 11th Global Conferece on Consumer Electronics』( https://ieeexplore.ieee.org/document/10014404 )で発表、特許出願中です(【特許出願番号】特願2023-150356)。
■「自動テクスチャ識別AI」とは、識別の未来を変えるプログラム
ChatGPTなどの生成AIが全盛の中、識別AIは地味な印象をぬぐえません。しかし、「自動テクスチャ識別AI」の開発により、識別AIは新たなステージに立ったといっても過言ではありません。
現在、主流のGoogle レンズ等の判別ソフトは、色や形、背景などの様々な要素から、総合的に分析して判別しています。一方、「自動テクスチャ識別AI」は、テクスチャ、つまり、素材部分の局所的(または部分的)な特徴だけで、製品のメーカーや品番を特定することが可能です。
この新たなプログラムを市販の水入りペットボトルの識別で例えましょう。既存の識別プログラムを有したアプリで識別すると、キャップやボトルなどの形状・色、ラベルの色や文字などの要素から、メーカーや商品の特定を行います。「自動テクスチャ識別AI」は、外観全体の要素を含めずにボトルの一部を外部から撮影するだけで、ボトルの微妙な表面の凹凸、ボトルの素材の透過度、水の色味などで、メーカーや商品名の特定が可能となるのです。
既存の識別プログラムと、「自動テクスチャ識別AI」を併用することによって、今まで識別不可能だった様々な課題が解消される可能性もあります。それは製造や医学、工学等、様々な分野に広がっていくでしょう。
■DX化により、2025年問題の解決の一助に
建築業の就業率は減少傾向です。インテリア事業を選ぶ若者は他建設業に比べて多い半面、短い期間で業界を離職する人が後を絶ちません。インテリアという名称のイメージが先行し夢を持って業界の門を叩きますが、業界に入れば、夢描いていた仕事と異なった地味な作業が続きます。大事な仕事ではありますが、建設業界は特にDX化が進まず非効率な作業が多いのです。
私自身もかつて上司に「これは本当に必要な仕事なのですか?」と問いかけたことがあります。「業界はこうだから」「みんなやってきたことだ」返ってくる答えは同じようなものばかりでした。
インテリアの仕事を夢見て就職してきた若者たちが膨大で非効率な雑務で忙殺され、やりたかった仕事の時間は作れず、その影も踏めず志半ばで業界を去る姿を幾度となく見てきました。その姿を常に苦々しく思っておりました。
DXを使い、一つでも時間のかかる作業が減らせれば、と想起したもののひとつが「かべぴた」の原型です。
これまで業界では「施工後、仕様書がなければ、施工済材料のメーカーも品番もわからない。」という問題が発生していました。お客様のご要望で施工済材料を判別する、似た品番を探すためには、重い大きな実物カタログを何冊も持参し、壁を凝視し、近しい品番を割り出す作業が行われていました。たった一つの不明な材料の品番を識別するのに、2、3時間かかることもしばしばある現状です。現地での確認依頼があれば、一つの品番不明材料を識別するのに移動時間をふまえて丸一日を費やす。そんな作業が大量にあるのです。業界全体が改善すべき、と思いながらどうすることもできない。そんな作業の一つでした。
今回リリースする「かべぴた」は、ビッグデータによる学習モデルと参照し、数秒で最も可能性の高い品番を表示してくれます。
長年の業界の課題であった作業を取り払うべく、同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科 知的機構研究室(教授:奥田 正浩)と連携し共同研究の上、今回のローンチに至りました。
■壁紙識別AIアプリ「かべぴた」新商品発表会の開催
同志社大学と共同で、「かべぴた」発表会を開催します。当日は、共同開発者である奥田教授による識別プログラムの解説や、実機によるデモンストレーション展示もございます。
報道関係者の皆様の他、ご興味を持っていただいた企業の方のご参加も可能です。
<日時>
2023年12月15日(金)
商品発表会 15:00~16:30
懇親会 17:00~19:00
<場所>
THE GARDEN ORIENTAL OSAKA(ザ・ガーデンオリエンタル・大阪)
1階 THE BALL ROOM
〒534-0026 大阪府大阪市都島区網島町10-35
https://www.gardenoriental.com/
<アクセス>
京阪京橋駅より 徒歩約11分
JR大阪城北詰駅3番出口より 徒歩約1分
<駐車場>
専用駐車場29台 近隣パーキング119台
<申込方法>
FAX もしくは 下記専用フォームに登録
■代表挨拶 コマツ株式会社 代表取締役 小松 智
25年以上業界に携わり、経営者となり5年を経て、お陰様で事業は拡大しておりますが、常に業界の未来を危惧しており、これまで様々な取り組みや発信を続けておりました。
温め続けた企画書を持ち6年前、各所にお伺いに参りましたが、今の技術では無理。リソースが割けない。等、あらゆる機関に断られ続けてきました。
4年前、同志社大学 理工学部の奥田研究室にご協力いただき、最初の一歩を踏み出すことができ、開発プロジェクトはスタートしました。
開発も佳境の中、2022年12月、私は大動脈解離スタンフォードA型を発症し、救急で病院に運びこまれ心肺停止、22時間に及ぶ手術で心臓の一部、大動脈4本と心臓弁一つを人工に置き換え一命をとりとめました。2023年1月、身体障害者1級の認定をうけました。
中小企業で経営者が倒れ社内、現場を離れる。経営者が大動脈解離で身障者認定、という事態は社内でも混乱を極め、先行きの不安から大量の離職者もでました。しかし、私を信じて残ってくれたスタッフと共に、業界のため、新しい扉を開ける好機を神様にいただけたと感じております。
業界の悲願でありながら達成できぬ、業界人、誰もが描いていた夢が、今、たくさんの仲間と共に現実として発表できます。
中小企業でもこれだけできる。身体障害者でもこれだけできる。という可能性を「かべぴた」というアプリを通じてご紹介していただければ。と願っております。
■共同研究者挨拶 同志社大学 理工学部 インテリジェント情報工学科 奥田 正浩教授
この度、我々の開発チームとコマツ株式会社が心血を注いで作り上げたこの技術が実用化されることに大きな喜びを感じております。
本アプリケーションは、建築資材の識別を実現したものであり、ディープラーニングを応用した最先端の技術により、局所的な模様を認識し、高い精度で品番を識別することが可能です。これまで熟練の専門家でさえ識別に苦労するような壁紙も容易に特定することができるという、実用性の高い成果といえます。
壁紙のように差異が少ない対象物の識別は、元来技術的にハードルが高く、最初に実物サンプルが送られてきた際には実現不可能とさえ思いました。しかしながら、コマツ株式会社の情熱と資材に対する深い知識、そして我々の技術と地道な実験の繰り返しが功を奏し、現在の形に結実しました。
今回のアプリケーションは、壁紙の識別に特化したものでありますが、そのコア技術は微細な模様の差異を高精度に識別するAIモデルです。微細模様の識別が求められるフィールドは多様であり、そのインパクトは建築資材業界以外においても広範囲にわたり、新たな価値を生む可能性に満ちています。
産学連携による異分野DXは難しい挑戦であり、成功例は意外と多くはありません。しかし、今回のプロジェクトにおいてはそのような困難を乗り越え、意義ある成果を得ることが出来ました。
この成功は単なる技術的な発展を超えて、産学連携によるDXのモデルケースとなり得ると自負しております。このプロジェクトが一過性のものでなく、持続的なイノベーションへと繋がることを心より願い、また一人の研究者として、技術的な限界を押し広げ、新たな可能性を探求する使命に燃えています。
■担当者コメント
<コマツ株式会社 EC事業部 アプリ開発担当 平野 智脩揮 コメント>
入社後このプロジェクトの担当として、約2年の間、業界の知識を付けながら【かべぴた】開発に向けて取り組んで参りました。各メーカー担当さんの苦労話や、内装資材のEC販売の観点から、課題解決のツール、新たな訴求方法のひとつとして、このアプリの必要性を切々と感じる中、無事リリースすることができ心からうれしく思っております。
今後さらなる進化が可能なこのアプリが多くの方に使用され、サービス向上を目指し共に進化していきたいと考えております。
<同志社大学 大学院 理工学研究科 情報工学専攻 豊永 晴斗 コメント>
知的機構研究室に配属されてから、画像認識や機械学習について学んできました。壁紙画像から型番を識別するという課題に対しては、とても似た模様が多いので、はじめは上手くいくかどうか全くわかりませんでした。壁紙画像を分析し、さまざまな試行錯誤を重ね、最終的には機械学習の技術を用いて型番を特定することができるようになりました。そしてこの度、研究として取り組んできたことが、アプリとしてリリースされるに至り、とてもうれしく思います。
■コマツ株式会社について
1976年、東大阪市で、繊維施工を専門とする会社として創業。1978年、株式会社として設立。2023年で創業から47年となります。時流にのり、1987年からゴルフ場やゴルフ練習場への卸や工事なども手掛けております。ゴルフ事業は後に株式会社サンタックへ独立、2000年にコマツ株式会社にスポーツ事業部として吸収合併。
スポーツ事業部が手掛ける商品の中には、ゴルフカートシートカバー、ショットマット、スタンスマットなど、オリジナル商品も多く、プロスポーツ企業から、一般の方まで広くご愛顧賜っております。
インテリア事業は、専門工事業者として、住友林業株式会社など大手ハウスメーカー数社から、ご用命いただいているほどの関係性を構築させていただいております。
最近では、ネット販売事業、SDGsに向けた古材販売事業を展開しております。
社名 : コマツ株式会社
本社所在地: 大阪府東大阪市川俣1-15-14 コマツビル
代表取締役: 小松 智
事業内容 : インテリア、スポーツ、専門工事業、卸業
設立 : 1978年11月8日
資本金 : 金壱千萬円
業者登録 : 建築工事業 大阪府知事許可(般-4)第53020号
機械工具商 大阪府公安委員会許可 第62222R045302号
HP : https://komatsu-coltd.co.jp/
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