SENSHIN CLINIC東京未来医療センター総院長 リチャード・ヒデキ・カシンスキー博士の インタビュー記事を『人民日報海外版日本月刊』にて公開
2024年は日本の再生医療とAI健診飛躍の年
『人民日報海外版日本月刊』は、SENSHIN CLINIC東京未来医療センター総院長 リチャード・ヒデキ・カシンスキー博士のインタビュー記事を公開しました。
記事URL: https://peoplemonthly.jp/n14003.html
■先進医療の希望:再生医療の無限の可能性
再生医療は、病に苦しむ世界中の無数の人々に新たな希望をもたらすと考えられている。日本国内で再生医療の基盤を担っているのが「間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)」である。MSCは優れた再生促進能力と免疫調整能力を有することで知られており、その効果に大きな期待が寄せられている。実務面では、MSCは採取の容易さと安全性から利用が年々増加している。特に、標準治療だけでは効果が不十分な難治性疾患に対する治療効果が注目されているが、前途洋々とした再生医療には、同時に様々な倫理的・法的課題も山積である。これらの課題を克服することで、再生医療はさらに多くの患者さんに希望をもたらすだろう。
■日本は再生医療のトップランナー
日本は再生医療分野で世界をリードする国の一つである。2012年に再生医療の研究と産業化が国家戦略として掲げられ、2014年に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が公布された。これにより、日本は再生医療技術を自由診療の範囲で系統的に実臨床に応用した先駆者の一つとなった。これらの措置は、法的・倫理的な枠組みの構築に貢献し、再生医療の健全な発展を支えるだけでなく、中国における再生医療の監督管理の改善にも啓示を与えた。
先日、われわれは再生医療分野で日本の最先端を行くSENSHIN CLINIC東京未来医療センターを訪れ、総院長であるリチャード・ヒデキ・カシンスキー博士に独占インタビューを行った。
■再生医療のパイオニア
―― 現在、多くの国が再生医療の可能性に注目し、この分野の法律や政策の策定に着手しています。日本は再生医療立法の主導者でありパイオニアです。博士は国際舞台で活躍する医師として、日本の再生医療をどう評価されていますか。また、SENSHIN CLINICの国際競争力や強みはどのように反映されていますか。
カシンスキー博士 再生医療は大きな可能性を秘めた分野ですが、同時に多くの課題も抱えています。再生医療の国際競争が激化するなか、各国で再生医療に対する規制を設けていますが、その内容は独自性が高いですね。中国における再生医療研究の進歩は著しく、論文数も世界トップレベルであり、将来的には中国でも医療特区等で先行的に再生医療が様々な形で応用される可能性もあると思います。米国では、近年「幹細胞治療」と称する非合法な治療を行っている医療機関の増加に伴い、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)が注意喚起情報を公表する等の対策に踏み込んでいます。米国の規制が厳しくなる一方で、隣国であるメキシコなどの規制が緩い国で幹細胞治療を求める患者さんもいますが、医療事故や訴訟も多く発生していますので、読者の皆様にはご注意いただきたいと思います。どの国で再生医療を受けるにせよ、現地の医療法規や倫理を遵守することが重要です。日本の再生医療も更なる法改正に向けた議論の余地は当然ありますが、この点日本は体系化された管理と実行メカニズムによって医療の安全性と患者さんの基本的権利が保障されていますので、規制が存在しない(または緩い)国や地域に比べて安心だと思います。
再生医療の大きな魅力の一つとして、従来の治療法では治癒が望めなかった患者さんに新たな希望を与えられる可能性があるところです。内科、外科、救急科をはじめとする、あらゆる医療の専門分野において診療ガイドラインが存在します。しかし、残念なことに診療ガイドラインに推奨されている標準治療だけでは治癒が難しく、さまざまな疾患により精神的・肉体的苦痛に耐え続けなければならない患者さんも一部存在します。
慢性疼痛が良い例だと思います。慢性疼痛で悩んでいる日本人は2,300万人以上いると言われています。薬剤・理学・精神療法等の標準的な治療で症状を緩和する事も可能ですが、一部の患者さんでは改善が見られず、慢性的に疼痛に悩まされ続けます。また欧米では、慢性疼痛の治療にオピオイド鎮痛薬の使用がすでに一般的になっていますが、その結果医療用オピオイドの乱用が深刻な社会問題にもなっています。標準治療では効果を実感出来なかった患者さんでも、再生医療が症状緩和の一役を担った症例は複数報告されており、今後期待されています。SENSHIN CLINICの提供する再生医療は、慢性疼痛をはじめ、その他の難治性疾患を標準治療と組み合わせながら解決を目指します。
■“Listen to the patient. He/she is telling you the diagnosis”
SENSHIN CLINICが他の再生医療機関と異なるポイントは、とにかく患者さんとのコミュニケーションや信頼関係を大事にしている点です。この四半世紀、科学の進歩は目覚ましく、それに伴って医療技術も飛躍的に進化しています。しかしそうした医学・技術の目まぐるしい進歩の中で、『診断の質の向上』、『情報共有の迅速化』、『作業効率の向上』といった点でのメリットは確かに実感できている反面、医師との対話時間が不足していると感じている患者様も少なくはありません。患者様との信頼関係を構築するには対話が必要不可欠です。しかし、効率性を重視する現代医療においては、対話の余裕がなく、医療を提供する側と患者様の絆が希薄化しています。19世紀後半に活躍した「近代医学の父」と謳われるウィリアム・オスラー医師が“Listen to the patient. He/she is telling you the diagnosis”という名言を残しています。これは『患者さんの言葉に真摯に耳を傾ければ、おのずと診断に辿りつく』という意味で、医師と患者様のコミュニケーションがいかに重要かを説いたお言葉です。SENSHIN CLINICでは最先端の医療技術をご提供すると同時に「受診される方の声に耳を傾ける」という基本を大切にします。
■EBMに基づいた究極の先進医療
SENSHIN CLINICでは、evidence-based medicine(EBM)、すなわち「科学的根拠に基づく医療」をもとに最先端の医療を提供します。EBMは、最良の「根拠」を思慮深く活用する医療のことで、「最善の根拠」と「医療者の経験」、そして「患者様の価値観」を統合して、患者様にとってより良い医療を目指そうとする概念です。患者様お一人おひとりの様々な健康状態に合わせた心地を、SENSHIN CLINICの先進医療により実現します。個人個人の体質や環境、病態などを調べて、それらに合った検査・治療など、患者さん一人ひとりに最適な先端医療を提供する、究極の「個別化(テイラーメイド)医療モデル」を追求致しました。
■「予防は治療に勝る」
15世紀にネーデルラント出身の哲学者デジデリウス・エラスムス氏が残された名言です。日本をはじめとする先進国では、病気や怪我が起きてから治療するという考え方が未だに主流となっています。SENSHIN CLINICでは、最先端の科学的知見を注いでまとめ上げたプログラムをベースに、極限まで予防医療を追求することで、日常生活が制限されることなく過ごせる健康寿命を延伸することを目的としています。これは、患者様一人ひとりの生活の質を改善させたり、社会全体を活性化させることにもつながると考えられます。
■老化は病
人生100年時代と言われていますが、多くの人はそこまで長生きできるかどうか自信がないと思います。ハーバード大学遺伝学教授、David Sinclair氏の最先端の科学的知見から「老化は治療できる病」であり、現代の科学を駆使することにより健康寿命を延ばす秘訣が解明されつつあります。「病のない、老いなき世界」はそこまで来ていると我々は信じており、新たな知識を常に求め、最新科学で思考力を極限まで研ぎ澄ますことにより、患者さんに最先端のEBMに基づいた治療やサービスを提供することを目指しています。SENSHIN CLINICは既成概念にとらわれず、医療の創造に果敢に挑戦し、近代医学に新たな歴史を刻みたいと考えています。
■日米で活躍する国際医師
―― 博士はアメリカで生まれ、京都大学大学院医学研究科で医学博士号を取得し、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院麻酔科・集中治療科リサーチ・フェローという輝かしい経歴をお持ちです。現在、総院長としてSENSHIN CLINIC東京未来医療センターに勤務するほか、救命救急センターの医師でもあり、スタンフォード大学医学部Stanford SolutionsのDirector兼共同創設者、コンゴ民主共和国の元シニア・メディカル・アドバイザーでもあります。なぜ日本に留学しようと思われたのでしょうか。また、医療の世界に足を踏み入れるきっかけは何だったのでしょうか。
カシンスキー博士 私は高校生の頃より米国連邦捜査局(FBI、Federal Bureau of Investigation)の法務官になる事を夢見てきました。その目標に向けて、米国と世界の架け橋という緊要な責務を担う法務官に求められる様々な知識、そして幅広い分野における経験を積んで参りました。この夢を追う過程で私が出会い、そしてその後の人生に大きな影響を与えたのが法医学と京都大学大学院医学研究科で邂逅した素晴らしい先生方でした。京都大学大学院医学研究科法医学講座において、法医実務に加え、心臓突然死を引き起こすとされる心疾患チャネロパチー(ブルガダ症候群、QT延長症候群など)及び前駆型B細胞リンパ腫におけるゲノムの不安定性について研究を進めていくに従い、医学の持つ無限の可能性に惹かれていきました。やがて、それは医学という学問を更に研いていく必要があり、そうすれば国や地域を問わず、人々の生活を向上させるのに大きく貢献する事ができるのではないかという強い思いへと発展していきました。
私はアメリカで4人兄弟の三男として生まれましたが、2歳半の時に父親ががんで亡くなり、母親が女手一つで4人の子供を育てました。幼少期は正直貧乏でしたが、幾多の困難を弱音一つ吐く事なく乗り越えていく母親のたくましい背中を見て育ちました。「刻石流水」の精神を鍛えられて育った我々兄弟は、社会に貢献し恩返しをする職務にそれぞれ就くことを目指しました。その後かけがえのない恩師や友人と出会い、そして指導教官や母親や兄のサポートもあり、私は最終的に救急医療、予防・再生医学、そして国際医療の道を歩むことにしました。
■超低線量CTと人工知能を駆使し、瞬時に病気をスクリーニング
―― 現在、どのような研究に取り組んでおられますか。その研究が医療分野に果たす役割とは何でしょうか。
カシンスキー博士 人工知能(AI)の進歩により、予防医学は新たな時代に突入しました。AI技術は、膨大な量の医療データを分析し、瞬時に病気の早期発見や予防に役立ちます。この革新的なアプローチは、健康管理の効率性と精度を大幅に向上させると考えられます。
AIを駆使した医用画像診断支援システム(Computer Aided Diagnosis/Detection , CAD)は、従来の検査では見逃されがちな微細な異常も、高精度のAIアルゴリズムによって検出可能です。例えば、乳がんのCADによる画像解析は、医師が見逃す可能性のある初期の腫瘍も発見し、乳がん患者さんの生存率を大幅に向上させることが期待されます。
■放射線被ばくの問題と解決
CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)等の被ばく線量の高い検査は、患者さんにもたらされる便益(benefit)が放射線被ばくのリスクを上回る場合のみ活用されるべきであり、放射線を用いた検査の大原則です。CADの精度がいくら優秀でも、健常者に対してむやみに被ばく線量の高いCTを行うべきではありません。そのため、一般的に健康診断やスクリーニング検査の第一選択はレントゲン検査です。レントゲン検査は迅速かつ被ばく量も少なく、とても使いやすいのが特徴です。一方で、CTは高感度を誇りますが、放射線量が多く、費用も高いという課題があります。いずれの検査法にも善し悪しがありますが、良いところだけ生かしたのが、近年開発された超低線量CT(ULDCT)です。ULDCTは、放射線量を大幅(約97%)に削減することが可能で、患者さんの放射線被ばくリスクを極限まで低減しながら、高精度な画像診断を実現します。ULDCTを最新のCADと組み合わせることで、微細な病変も正確に検出する能力を誇る、新時代の検査法が誕生します。
■「がんになっても、がんでは死なせない」
―― このシステムは画期的な研究成果と言えます。日本にはすでに導入されているのでしょうか。また、中国人も利用することはできますか。
カシンスキー博士 効率的に多くの疾病を検出できるこのシステムは、現代の医療現場に時間の短縮と医療費の軽減をもたらします。将来的には医療資源が乏しい地域での医師不足の解決にも寄与し、救急医療の現場でも活かされることが期待されます。
この最新のAI検診システムは、まだ日本に導入できていませんが、SENSHIN CLINICは2024年内に東京にAI健診センターを開設する計画で、同システムの開発元の企業さんと共に日本と世界の予防医学に革新をもたらしたいと考えています。SENSHIN CLINICの健診センターでは、僅か2時間という短時間で、10種類の癌と10種類の生活習慣病・慢性疾患を32種類の検査セットで、複数の病気の早期発見を可能とします。もちろん中国を始め、世界各国からのお客様もウェルカムです。迅速かつ低コストで健康管理ができるため、価値ある健康投資になるでしょう。我々の目標は、がんになっても、がんで命を落とすことのない未来を創ることです。
■取材後記
インタビューの最後に、リチャード・ヒデキ・カシンスキー博士は、再生医療治療を希望するすべての患者に向けて「車や家を選ぶ感覚以上に、受けられる医療サービスは慎重に選択すべきです。複数のクリニックに当たり、信頼できる医師を見つけることが重要です」と真心からのアドバイスを贈った。彼の経歴と今回の取材から、彼が医療の研究に取り組む原点が、すべての人々が健康を享受できる世界を実現することにあると知った。
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