経営企画・マーケティング担当者400名に聞く 「高齢者市場攻略に向けた取り組み状況実態調査2024」
高齢者マーケティングへの取り組みは売上向上の鍵であることが明らかに
高齢者の増加という人口動態的変化に対応し、高齢者市場を攻略するためのマーケティング戦略を検討する企業が増えています。株式会社日本能率協会総合研究所(東京都港区、代表取締役社長:譲原 正昭)は、高齢者をターゲットとするマーケティング活動を支援するための専門部署「高齢者マーケティング研究室」を設置し、多様なソリューションを提供しています。その一環として、この度、「高齢者市場攻略に向けた取り組み状況実態調査2024」(第3回調査)を実施しました。この調査は、2019年に第1回調査、2021年に第2回調査を行ない、今回が3回目となります。
( https://www.jmar.biz/senior_lp/report/page.php )
【調査結果のご紹介】
1. 高齢者人口の増大が勤め先企業のビジネスに「何らか影響する」との回答は、90.8%(図1)。
そのうち、60.6%が高齢者に対するマーケティング活動の必要性を認識(図2)。
2. 高齢者マーケティングの必要性を認識している方に、高齢者マーケティングへの取り組み状況を尋ねたところ、「情報収集段階、具体的な検討はこれから」と回答した割合が最も高く、41.8%(図3)。
また、高齢者マーケティングにおいて課題や困難を感じている活動として上位に挙げられたことは、「身体状況や健康状態」「購買行動」「普段の生活行動」といった『実態把握』に関する項目であった(図4)。
3. 実態把握のためには調査の実施が必要になるが、比較的安価で実施しやすいインターネットアンケート調査であっても、高齢者を対象とする調査の実施経験は19.0%(図5)。「高齢者を対象としたインターネットアンケート調査は実態と乖離した結果になる不安がある」と考える方の割合は、37.5%(図6)。
また、インタビュー調査の実施経験は8.5%と少ないが、インタビュー実施の意向がある方は49.9%(図7)。インタビューが実施できていない理由の上位は、「ターゲットにアプローチする手段がない」「インタビューまでの準備をどのように進めればよいかわからない」等が挙げられた(図8)。
4. 高齢者向け商品・サービスの売れ行きが、「好調」と回答した方は39.1%(図9)。その回答者に着目してみると、高齢者をターゲットとしたマーケティング活動の必要性を認識している割合が83.1%と高く(図10)、インターネットアンケート調査やインタビュー調査の実施経験も、好調でない企業に比べて高い(図11、図12)。
【まとめ】
高齢者人口の増加はビジネスに影響を与え、高齢者をターゲットとしたマーケティング活動の必要性も広く認識されていますが、調査が十分に行われていない現状も明らかになりました。インターネット調査は、高齢者を対象とした調査としても比較的利用されていますが、実態と乖離した結果になる不安も大きいようです。また、インタビュー調査は直接消費者の声を聞くことができる有効な調査ですが、実施の段取りが煩雑、かつ、ターゲットにアプローチしづらいという理由で、調査の実施ができているのはごく一部のようです。高齢者マーケティングへの取り組みは困難も多いですが、それを乗り越えた企業は、売上拡大を達成していることが見えてきました。
当社は、60歳から90歳までの15,000人以上の高齢者をモニターとした、自社のアンケートシステムを運用し、多様なマーケティングリサーチを実施しています。3,000超のサンプルを回収する大規模な郵送調査や、年間100件以上のインタビュー調査や訪問調査などを行なっています。また、企業様が抱えるマーケティング課題への支援や、高齢者の生活実態・ニーズ理解のための自主企画調査レポートを提供しており、高齢者マーケティングに関して長年の実績とノウハウがございます。高齢者をターゲットとしたマーケティングの検討や推進において、ご不明点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
【調査概要】
調査名 :高齢者市場攻略に向けた取り組み状況実態調査
調査期間:2024年7月5日~7月19日
調査対象:下記の条件をすべて満たす方を本調査対象とした。
・20~59歳ビジネスパーソン
・正社員
・勤め先の会社規模(正規職員人数)300人以上
・勤め先企業が一般消費者向け商品・サービスを提供している
・勤め先企業での所属部門が「経営企画、マーケティング、
商品開発、営業企画」のいずれかに該当する
回答者数:400名
調査方法:インターネット調査
<参考:過去調査の調査期間>
第1回調査 2019年6月28日~7月4日
第2回調査 2021年6月12日~6月25日
調査対象、回答者数、調査方法は第3回調査と同様
【調査結果 1】高齢者マーケティングの必要性に対する認識
高齢者人口の増大が勤め先企業のビジネスに「強く影響する」「影響する」と答えた方は合計で68.3%。「多少影響すると思われるが、それほど大きな影響はない」の約2割を合算すると、90.8%が「何らか影響する」と認識している。この割合は、2021年調査・2019年調査いずれも9割を超えており、依然として、高い割合となっている。
何らか影響すると答えた方のうち、60.6%が高齢者に対するマーケティング活動の必要性を認識している。2021年調査・2019年調査いずれでも6割前後と、必要性を認識している傾向は変わっていない。
【調査結果 2】高齢者マーケティングの取り組み状況・課題
高齢者マーケティングの必要性を認識している方に、高齢者マーケティングへの取り組み状況を尋ねたところ、「情報収集段階、具体的な検討はこれから」が最も多く41.8%、次いで「検討が進行しているが、具体的な活動はこれから」が22.7%と続く。なお、「具体的な活動が進行している」は16.4%。
高齢者マーケティングにおいて課題や困難を感じる活動は、「身体状況や健康状態」「購買行動」「普段の生活行動」といった事実の確認(実態把握)に関する項目が上位に挙げられた。なお、「身体状況や健康状態」「購買行動」の割合は、前回の2021年では減少したが、今回は2019年を超えるという動きが見られた。
【調査結果 3】高齢者を対象とした調査の取り組み状況
高齢者を対象としたインターネットアンケート調査について、実施した経験がある方は19.0%。
高齢者を対象としたインターネットアンケート調査について、実態と乖離した結果になる不安がある、と考える方は37.5%。
高齢者を対象としたインタビュー調査について、「インタビューの実施経験あり」は8.5%。「インタビュー実施の希望はあるが未実施」は49.9%。
インタビュー未実施の理由は、「ターゲットにアプローチする手段がない」「インタビューまでの準備をどのように進めればよいかわからない」「インタビューを実施するための時間やコストがわからない」「インタビューの仕方がわからない」「インタビューの結果をどう分析するかわからない」がいずれも約3割。
【調査結果 4】高齢者向け商品・サービスの売れ行きが好調な企業の特徴
高齢者をターゲットとした商品・サービスの売れ行き状況を尋ねたところ、「売上拡大」「売れ行きは良い」と答えた方は合計で39.1%。「好調」「低迷」「高齢者向け商品・サービスは現状存在しない」の3区分に分けて分析したところ、売れ行きが「好調」である企業は「低迷」「高齢者向け商品・サービスは現状存在しない」企業に比べて以下の様な特徴があることが明らかになった。
高齢者に対するマーケティング活動の必要性を認識している割合が83.1%と、他区分に比べて高い。
高齢者を対象としたインターネットアンケート調査の実施率は30.3%と、他区分に比べて高い。
高齢者を対象としたインタビュー調査の「実施経験あり」は14.1%、「実施希望があるが未実施」は63.4%と、いずれの割合も他区分に比べて高い。
【お問い合せ先】
株式会社日本能率協会総合研究所
経営・マーケティング研究部 高齢者マーケティング研究室
〒105-0011 東京都港区芝公園3-1-22
担当 : 池田・稲富
TEL : 03-3578-7607
FAX : 03-3578-7614
Email: info@jmar.biz
※本件引用の際は、お手数ですが、上記あてに掲載紙をご送付ください。
日本能率協会総合研究所では、高齢者マーケティングに関する様々なリサーチソリューションをご提供しております。ご興味・ご関心をお持ちの方は、下記のURLより内容をご確認のうえ、お気軽にご相談ください。
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