「個人作家による3Dアニメーション表現を拡張するための研究開...

「個人作家による3Dアニメーション表現を拡張するための研究開発プロジェクトでもある」ピッチアワード受賞は映像作家・橋本 麦 氏の『Light』

新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会は、11月1日(金)~5日(火)の5日間に渡り新千歳空港シアターを中心に「第11回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」を開催しています。
11月2日(土)に行われた、オリジナル作品の支援を募るプレゼンテーション企画「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH 2024」では、映像作家・橋本麦氏のミュージック・ビデオ『Light』がアワードを受賞しました。
『Light』
『Light』

「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH 2024」について

NEW CHITOSE AIRPORT PITCHは、日本で活動するアニメーション作家やプロデューサーが現在制作中またはこれから制作する作品の支援を募るためのピッチ(公開プレゼンテーション)を行うプログラムです。国内有数のゲスト数を誇る映画祭独自の場を活かして制作関係者同士の国際交流を促進するほか、プロフェッショナルであるゲストコメンテーターとの意見交換を通して新たなネットワークとつながる機会の創出を目的とし、今年で4回目を迎えます。
映画祭事務局からは、最大1プロジェクトに製作支援金30万円のアワードが授与されます。今年度は4つのプロジェクトについてのピッチが行われました。

アワード受賞は、橋本麦氏のミュージック・ビデオ『Light』

プレゼンテーションの様子
プレゼンテーションの様子
本年の「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH AWARD」は、橋本 麦 氏のミュージック・ビデオ『Light』が受賞しました。
本作は、2020年に不定形バンド『FEM』名義でリリースされた同名の楽曲のために構想されたミュージック・ビデオで、橋本氏の故郷である北海道の風景と3DCGを融合させた短編映像作品です。
橋本氏は、自身の作品を「北海道出身の僕なりに再解釈したふるさとビデオ」と位置付け、さらに「ミュージック・ビデオであり、路上観察学的ビデオエッセイであり、パラメトリック・アニメーションでもある」と説明しました。

映像制作にあたり、ツールの開発から手掛けたことについて、「ミュージック・ビデオという単体のアニメーション作品ではありますが、個人作家による3Dアニメーション表現を拡張するための研究開発プロジェクトとしても考えてもらえたらなと思います。開発したツールやプラグインは、作品の公開と同時にオープンにしていきたいと思います」と、作品を通じた技術の共有への意向を示しました。
また、ゲストコメンテーターがプロジェクトの完成時期について尋ねると、「このピッチを機に公開制作の気持ちで自分を追い込み、来年の映画祭に応募できるよう進めたい」と、意欲を表明しました。
授賞式の様子(左:橋本麦 氏、右:チーフディレクター小野朋子)
授賞式の様子(左:橋本麦 氏、右:チーフディレクター小野朋子)
アワードを発表した本映画祭チーフディレクターの小野朋子は、「今日登壇してくださった4つのプロジェクトはいずれも本当に素晴らしくて、すごく切実。私も今日アワードを決めさせていただくにあたってものすごく緊張しましたし、責任も大きいなと思いました。作家さんたちの思いを受け止め、頑張ってこの場をいいものにしていきたいと気持ちを新たにしました」と、プロジェクトへの高い評価と自身の意気込みを語りました。

また、橋本氏の作品について「描き方によってはすごく感傷的になりがちなのに、全然感傷的ではない。また、他に類を見たことがないビジュアルの奇妙さで、作家自身が使うテクノロジーによっても、私が生まれたところを面白くしてくれてありがとうという気持ちになります」と評し、その独自性と作品に対する感謝の気持ちを伝えました。

受賞した橋本氏は、「いただいた製作支援金は僕自身が使うというよりは、ミュージック・ビデオという表現を支えてくださっているミュージシャンやミュージックレーベルにお渡ししたいです。そういった音楽シーンに予算が渡ることで、翻って映像文化が効力を持っていったらいいなと思ってます」と、支援金の用途に対する思いを語りました。
橋本 麦 氏
橋本 麦 氏

新千歳空港国際アニメーション映画祭

新千歳空港国際アニメーション映画祭は、北海道と世界を結ぶゲートウェイである新千歳空港ターミナルビル(北海道千歳市)を会場とした、アニメーション専門の国際映画祭です。
第11回目の開催となる今年は、2024年11月1日(金)~5日(火)の5日間で、国内外の話題作など招待作品の上映はもちろん、多様な未来につながるアニメーションの体験を提供する様々なプログラムを展開します。
今年もゲストと観客が密接に交流できる独自の場を活かし、アニメーションの意義を拡張するような新しい価値を生み出す「遊び場」として、エネルギーを持ち帰ることができる文化交流拠点の創造を目指します。

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