六本木アートナイト2024にて巨大ミューラルを描いた 辰巳寧...

六本木アートナイト2024にて巨大ミューラルを描いた 辰巳寧々個展「Seal Me on Your Heart」11月22日よりMEDEL GALLERY SHUにて開催!

MEDEL GALLERY SHUにて11月22日より12月4日まで開催

Sealed Heart
Sealed Heart

OVERVIEW

MEDEL GALLERY SHUでは、11月22日より12月4日まで辰巳寧々の個展「Seal Me on Your Heart」を開催いたします。

辰巳寧々は、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、ソルボンヌ大学大学院でビジネスを学び、そして2024年には東京藝術大学大学院 油画専攻を修了した異色の画家です。弊ギャラリーにおいて、辰巳寧々の初めての個展を開催いたします。
近年、事実(ファクト)と私たちが思い込んでいるもの(フェイク)の差異が広がっていると言われています。アートはその状況に対して、見つめているものを考えさせると同時に、人間の感情や時代の雰囲気といった見えない領域を探求し、自己表現の場でもあります。辰巳の、大胆な筆致や色彩は、事実と主観が交差するこの領域で、自由に表現されています。
辰巳寧々の作品には、関係性の複雑さから生まれるドラマが多く登場し、古典文学や芸術からの引用も用いられています。古典芸術の引用を通じて、その普遍性や’変われない’人間の本質を炙り出し、愛や生というテーマに光を当てます。辰巳寧々の作品は長い歴史の中で語られ続けてきた普遍的な問いに向き合いながら、現代の視点を共存させています。
「われを汝の心におきて印のごとくせよ……其は愛は強くして死のごとくなればなり」(「雅歌」第八章六節)

「Seal」とは、刻印するというような強い意味を持つ言葉である。強く押印するほどに心に刻みつける愛とは何だろうか?

オスカー・ワイルドはこの雅歌の言葉を引用して多くの作品を書いている。
「愛は智恵にまさるもの、富より貴く……炎もそれを焼き尽くすことはできない、水もそれを押し流すことはできない、水もそれを冷やすことはできない」
オスカー・ワイルド、「漁師とその魂」

この「漁師とその魂」では、人魚に恋をした漁師が人魚と愛し合うために彼自身の「魂」を切り離すが、結局、愛していた人魚を失う。この言葉は、漁師が死んだ人魚を抱きしめながら魂に言った言葉である。


現代において、多くの人々は他者を惹きつけるためにSNSを駆使して「過剰」なまでの日常を演出する。毎日スマホには誰かの新しい煌びやかな日常が現れ、表面的な美しさが強調される。しかしその同じ端末に事故や戦争のニュースがそれらと同等に掲載され、どんどん流れては消えていく。

「華麗なるギャッツビー」において、フィッツジェラルドも物質主義と愛を描いている。デイジーに人生の全てをかけるギャッツビーの生き方は、人生の真の「価値」について考えさせる。結局、ギャッツビーにとって富とはデイジーとの愛を得、彼女を惹きつけるための手段でしかなかった。
しかし、結局彼は富によって彼女を結ばれることはできない。


日常の外側で起きる破滅的なニュースがあたかも他世界の出来事であるかのように、私達は生活をどのように彩るか、自分の価値をどう高めるか、「楽園」に住むことに夢中になる。
まるでデイジーの殺人の責めに殉じたギャッツビーの死が忘れられ、デイジーが新しい人生を歩んでいくように。

しかし、例えばギャッツビーやレ・ミゼラブルが名作として何度も鑑賞されるように、私達は眠っている感情に気付いており、時にその目に見えない価値を求める気持ちがあるのではないだろうか。


私の作品は日常的なシーンに「過剰な」表現を混ぜつつ、絵画としてあたかもそのまま現実の光景を描いたかのように描くことで、葛藤する現代人の精神的な姿をよりリアルに残すこと目指している。また、薄い紙に描くことで、デジタルや移り変わる漫画のコマ、フィルムに慣れた我々の世界の捉え方を表現したいと思っている。SNS上で我々は他人の人生の場面、言葉、映像をどんどんスライドして見ていき、すぐにその多くを忘れてしまう。

オスカー・ワイルドが強調するのは目に見えない、「愛」というものの価値である。
自分自身の全ての宝石を困窮する人々に捧げ、最後は心臓が鉛となって割れる「幸福の王子」。王子を愛し宝石を運んだために死ぬ燕。彼らにとっては、物質的幸福よりも愛が何よりも優れた価値であった。

王子は燕にこう話す。「皆はわたしを幸福な王子様と呼んでいたが、確かにわたしは幸福だった、もし快楽が幸福であるならね。そしてわたしが死ぬと、皆がわたしをこんな高いところに据えたので、この街の醜さや惨めさが、わたしにもよく見えるようになった。わたしの心は鉛で作られているのに、あれを見ると泣かずにはいられないのだよ」
オスカー・ワイルド「幸福の王子」

物質主義的な価値観が蔓延しているように見える現代において、私たちが真に見出す「幸福」とは何だろうか。鑑賞者それぞれのの受け止め方によって、また、作品における人物や様々なモチーフを通して、私自身も立ち止まって、その意味を探りたい。

辰巳寧々

今年の六本木アートナイトにて、37mのミューラルを制作した、注目の作家です。ご高覧いただけましたら幸いです。

辰巳 寧々個展
「Seal Me on Your Heart」
2024年11月22日(金)-12月4日(木)
13:00-19:00(最終日17:00閉廊)
木曜休廊

対話型鑑賞会

対話型鑑賞会(参加無料)
2024年11月27日(水) 19:00-20:00
お申込:info@medelgalleryshu.com
*最小開催人数:3名(前日の15時までに開催の可否を判断します)

対話型鑑賞会は、作品そのものが表現するものを感じ取り、鑑賞者が考えたことをファシリテーターと共にグループで語らいながら鑑賞/理解を深めていくので、背景や知識を知らずとも作品を楽しめるのが何よりの特徴です。対話の中でそれぞれの言葉が積み重なり、好き嫌いの一歩先にある、第一印象にとどまらない作品の魅力を捉え考えることを促します。

参考:
対話型鑑賞は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の教育部で鑑賞者向けに開発されたメソッドをもとに作られた鑑賞法です。近年ではアートを使った「答えのない問い」を考え続けるクリエイティブな思考を鍛える手法として、教育環境や医療福祉、ビジネスの領域でも注目されています。

辰巳寧々

法律を学び、罪と罰の問題に多く触れた経験から現代社会の人間の内面や生き方について考え、古来から描かれてきた絵画作品のテーマや、文学作品を引用して、現代的に再解釈し、人に焦点を当てて描く。
私は法律を学び、「罪と罰」の問題に多く触れた経験から、現代社会の人間の内面の葛藤や生き方について考えるようになりました。私は作品を通して、現代の人々の、目に見えない精神的な姿を描くことを試みています。
その手法として、文学作品のテーマや精神性を絵画で表現したり、古代の巨匠が人間を描いてきた同じ主題を、現代に再解釈することに興味があります。例えば、文学作品に多く描かれる「愛」や「死」という普遍のテーマをどう表現できるのだろうか?
また、バベルの塔やノアの洪水は現代ではどう描けるのだろう?など。それらを通して、私は今の私たちの姿や考え方を客観的に見つめ直せる気がしています。環境問題や資本主義による閉塞感、破滅的な予感を感じる現代において、人間はどう描けるのでしょうか。昔は、絵画は「芸術」でありつつ「現実を超えたもの」を考えさせる目的を持っていました。
私は、作品が現代の感情の原始的な姿や、見えるものが全て正しいのか、私たちはどこへ行くのかなどを考え直すきっかけになれば嬉しいと思っています。
1995年生まれ。

2018 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2020 ソルボンヌ大学大学院DSUビジネス法修士課程卒業
2024 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻修了

*受賞歴
東京藝術大学O氏記念奨学金賞

*個展・グループ展
2022年 グループ展「Drive Up!」, Watowa Gallery
2023年 Opus130 Gallery, Hong Kongにて「Whimsical 」
2024年 グループ展「Expression vol.3」, Changting Gallery
東京藝術大学大学院修了展
FUGA Dining Solo Exhibition
「Emerging Echoes 」, Gallery Colorbeat, Seoul, Korea
「Interwoven 」, Gallery Aaploit
Art Fair Asia Fukuoka

*メディア
BSフジ 「ブレイク前夜 ~次世代の芸術家たち~」
六本木アートナイトにて六本木6丁目の37mの壁面デザイン、イベント登壇等

MEDEL GALLERY SHU

MEDEL GALLERY SHU|愛でるギャラリー祝
https://medelgalleryshu.com/
東京都渋谷区神宮前4-28-18
カトル・バン原宿B1
info@medelgalleryshu.com
13:00〜19:00(最終日は17時まで)
木曜休廊

MEDELとは、日本語で「物の美しさをほめ味わうこと」を意味する「愛でる」からきています。唯一無二のアートを賞美し、慈しむという行為を介して、アーティストと鑑賞者、ギャラリーの間に喜びの行き交いが成立してほしいという想いを込め名づけました。“時代を共にする人々にとっての財産であり、未来の社会を照らす火である”とアーティストの活動・作品を定義し、人々の心に残る独創性に富んだスタイルの作品を鑑賞者と共に愛でつつ、次世代に残るようなマーケットや美術史的評価を確立してゆくことが当ギャラリーのミッションです。そのような私たちの活動を通して、独創的な表現を受け容れる多様な社会的風土の醸成に資することができれば、これに勝る喜びはありません。

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