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役替わり朗読劇『5years after』-ver.13-+反省会好評上演中!観劇レポート到着!

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2025年2月13日 12:00
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エヌオーフォーがプロデュースし、公演回数通算140回を超え、今回で13度目の上演となる役替わり朗読劇『5years after』-ver.13-が2025年2月11日(火祝)に、東京・赤坂レッドシアターにて開幕。作・演出を堤泰之が手掛ける本作は、3人の役者が約60役を演じ分ける朗読劇。2月11日から13日までの前半チームには高田 翔・結城伽寿也・本間一稀、2月14日から2月16日までの後半チームには馬場良馬・高崎翔太・工藤大夢が出演する。
『5years after』の主人公は、ミュージシャンの夢を捨てきれない大学生・水川啓人。3人の役者は20歳、25歳、30歳の啓人を回替わりで演じながら、彼の山あり谷ありな人生を声で紡いでいく。初日公演となった2月11日昼公演では、20歳の啓人を高田 翔、25歳の啓人を結城伽寿也、30歳の啓人を本間一稀が演じた。
本作には「台本から目を離さない」「椅子から立たない」というルールがある。3人はルールを真面目に守りながら、ときにダイナミックに椅子の上で体を動かしながら、制限があるからこそ生まれた創意工夫によって、約60の登場人物たちを瞬間的に演じ分けていった。

主人公の啓人は、5年ごとに違う役者が演じる。同じバックボーンを持つ人物であっても、誰が味付けをするのかによって、脳裏に浮かぶ姿はわずかに異なる。役者自身の持ち味の違いによって生まれた差異が、そのまま5年分の経験を経て変わった啓人の姿へと結びつく。そんなところも本作の醍醐味だろう。

今回であれば、高田の演じた20歳の啓人は、将来の進路に悩める等身大の大学生といった雰囲気。夢へと一歩踏み出す勇気や行動力も持っているが、高田の優しい声によってどこか柔らかな印象を抱いた。続く結城が演じた25歳の啓人は、高田との声質の違いから、よりはつらつとした雰囲気に。役者の違いによって生まれた変化ではあるが、観客はその変化によって、作中では描かれていない啓人の経験や成長に思いを馳せることができるだろう。さらに、30歳の啓人を演じる本間は、軽やかな芝居で運命に翻弄される啓人を好演。“3人3色”な啓人が歩む人生を、約1時間という時間の中で笑いあり涙ありで描ききった。

本作は3人が啓人をどう演じるのかという点も見どころだが、啓人以外の登場人物のキャラクターの濃さも見逃せないポイントだ。3人で5人の会話を演じるシーンでは、3人がテンポよく個性豊かなキャラクターたちを切り替えて演じていく姿が小気味いい。啓人の彼女が登場するシーンでは、各々が大胆にキャラ付けした彼女の言動が客席をおおいに沸かせていた。
人生は思い通りにはならない。だけど、どんな人生だってきっと楽しむことはできる。作中に度々登場する「enjoy your life!」という言葉を、終幕と同時にそっとつぶやきたくなる。そんな、心温まる60分の朗読劇に仕上がっていた。

本編上演後は、反省会『3actors talk』と称したアフタートークがスタート。前半では物語を振り返りながら、印象的な登場人物の誕生秘話や本番中の心境などが明かされた。
トップバッターの啓人を演じた高田が、緊張から序盤で噛んでしまったことを振り返り「他の登場人物を気にしている余裕なんてなかったですよ!」と語ると、結城と本間が「緊張していたから、ちょっと噛んでくれて一気にホッとしました(笑)」と笑いを誘う。3人は本作が初共演となるが、和気あいあいと良い雰囲気で稽古時間を過ごしてきたことが窺えた。
役作りのエピソードでは、高田が「オタク風の社長」や「やけにシェイカーを振る若いバーテンダー」、「威勢のいい取り立て屋」といった、アクの強い登場人物たちの創作秘話を語り、客席は大盛りあがり。早々に啓人役を終えた高田がプレッシャーから開放され生き生きとしている様子は、結城や本間から「目がキラキラしてる」と評されていた。

後半では、幼少期をテーマにエピソードトークが繰り広げられた。高田は「ひねくれていた」という子供時代を振り返り「スーパー戦隊シリーズの“中の人”になりたかった」と、かわいらしい当時の夢を告白。結城はスポーツ万能だけど泣き虫だった子供時代を振り返る。この日、劇場に母親が観にきていた本間は、母親の視線に照れながらも、正義感あふれる小学生時代のエピソードを明かした。
また、寂しがり屋で「誰かとくっついていないと無理」という本間が、結城に無意識にくっつきにいってしまうというかわいいエピソードも披露。客席は「かわいい~!」という雰囲気に包まれたが、当の結城は「そういうのちょっと苦手で……」と、まさかの塩対応。さらに結城が「(高田)翔くんもくっつかれるから気をつけた方がいいよ」と忠告(?)すると、3人の心置きないやりとりに笑いが起きた。お兄さん2人が末っ子の本間をかわいがる構図を微笑ましく思っているうちに、あっという間に30分が経っていた。

前半チームも後半チームも公演数は各6回。同じ配役の組み合わせで上演される回は一度もなく、すべてが一度限りの朗読劇となっている。“舞台はなまもの”だとよく言われるが、本作ほどそれが体感できる作品はないだろう。

まもなく新生活が始まる4月がやってくる。役替わり朗読劇『5years after』-ver.13-を通じて、自分なりの「enjoy your life!」を考えるきっかけにしてみてはどうだろうか。

(文・撮影:双海しお)
<公演概要>
タイトル:役替わり朗読劇『5years after』-ver.13-

作・演出:堤 泰之
音楽:細川圭一

出演:
★前半チーム
高田 翔 結城伽寿也 本間一稀

★後半チーム
馬場良馬 高崎翔太 工藤大夢

劇場:赤坂レッドシアター

日程:2025年2月11日(火祝)〜2月16日(日)
★前半チーム
2/11(火祝) 13:00/17:00
2/12(水) 15:00/19:00
2/13(木)  15:00/19:00
※6回公演

★後半チーム
2/14(金)  15:00/19:00
2/15(土)13:00/17:00
2/16(日) 13:00/17:00
※6回公演

チケット:7,000円(税込・全席指定) ※未就学児不可
https://confetti-web.com/@/5ya_13 050-3092-0051(平日 10:00~17:00)※オペレーター対応

公式サイト:https://no-4.biz/5yearsafter/ver13/