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【採択者決定】第66回リバネス研究費「&タウリン賞」

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2025年2月27日 11:00
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大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、タウリン研究の発展と若手研究者の支援を目的とした第66回リバネス研究費「&タウリン賞」正賞を慶應義塾大学薬学部4年生の長谷川 敬章氏に授与することを決定しました。
慶應義塾大学薬学部 4年生 長谷川 敬章 氏(中央左)
大正製薬株式会社 研究本部 セルフメディケーション研究センター
センター長 内田 さえこ(中央右)
セルフメディケーション開発薬理研究室 室長 森戸 暁久(左)
製剤第1研究室 グループマネージャー 堂本 隆史(右)
■ 研究助成の背景
タウリンは食事などからも日々摂取されるアミノ酸の一種で、人間のあらゆる臓器や組織に分布しています。タウリンには、疲労や肝臓機能を改善する、コレステロールや血圧を正常に保つ、心臓の働きを強化する、など様々な機能があります。当社は、若手研究者を支援しその研究を発展させる事で、さらなるタウリンのポテンシャルを引き出すべく、新規の研究計画を対象に第66回リバネス研究費「&タウリン賞」の公募を実施しました。

  公募開始時のリリース:https://www.taisho.co.jp/company/news/2024/20240924001700.html

2024年9月から10月にかけて、40歳以下の若手研究者を対象に研究計画を公募したところ、多数の応募がありました。厳正な審査の結果、大学の学部生でありながら独創的な研究テーマを提案した長谷川氏が正賞に採択されました。また、副賞として2名の学生からの応募テーマが採択されました。
■ 正賞採択者(1名)
〇氏名:長谷川 敬章 氏(慶應義塾大学 薬学部 学部 4年) 
〇研究テーマ:「低分子化合物を利用した部分的リプログラミング※1による若返りへのタウリンの効果」
〇研究内容:オルガノイド※2等を用い、老化形質の逆転を誘導する低分子化合物の最適な組み合わせおよびそれらへのタウリンの効果を検討する
※1: 部分的リプログラミング:細胞を完全に初期化するのではなく、特定の遺伝子を一時的に活性化することで
細胞の若返りを図る技術
※2: オルガノイド:幹細胞を培養して得られる、臓器の構造や機能を模倣した3次元の組織
〇採択理由:
・タウリンの抗老化作用に対しては国内外での研究活動が近年増加中であるが、オルガノイドを用いて他成分との組合せの評価を行う本研究テーマは特に新規性が高く、タウリンの新たな機能の発見につながる可能性がある。
・生活者自身が行うセルフメディケーションとして、薬の服用による若返り方法が実現できれば、健康寿命の延伸を目指す社会に大きく貢献することが期待できる

〇受賞者コメント:
 今回受賞できたことはとてもうれしく、研究の励みになります。 私は中学まで5年間シンガポールに住んでいましたが、帰国すると日本の活気のなさを感じ、日本の将来に明るい話を聞かない中、日本の未来をなんとか明るくしたいと考えました。そして、大学入学後に医療・生命科学を学ぶ中で、現在の医療が高齢化や社会保障費の増大などの課題を抱えながら、一方で多くの疾患を根本治療できていないことに疑問をもち、病のなく健康で活気あふれる日本にしたいと考えました。その時、リプログラミングについて知り、老化という幅広い疾患の原因にアプローチできるのではと考えました。大学2年の時に、オルガノイドを用いてがん治療を研究されている齋藤義正教授の研究室の門戸を叩きディスカッションを重ね、”部分的リプログラミング”に着目して研究を開始しました。タウリンを知ったきっかけは、健康診断で肝機能の数値が良くなかった時に医師から摂ることを勧められたことです。タウリンの活用も検討し、将来的には年齢を重ねても皆が若々しく健康でいられるような薬の開発に繋げ、活気あふれる日本の実現に貢献したいと思います。

■ 副賞採択者(2名)
〇氏名:蔵川 卓土 氏(富山県立大学 工学研究科 生物・医薬品工学専攻 修士2年) 
〇研究テーマ:「タウリンによる腸内細菌叢を介した炎症老化予防効果の検証」
〇研究内容:タウリンの腸内細菌叢への働きに着目し、腸管免疫という観点から抗老化作用を解明する
〇採択理由:腸内環境に着目したタウリン研究はユニークであり、加齢に伴う不調の原因となる慢性炎症の改善方法が明らかになれば健康寿命延伸に寄与できる可能性がある。

〇氏名:佐々木 聡 氏(九州大学 システム生命科学府 一貫制博士4年) 
〇研究テーマ:「タウリンが脳内の神経基盤にどのように作用し、記憶力向上効果をもたらすか」
〇研究内容:タウリンを投与した際の記憶学習能力の変化及び脳内メカニズムの変化を、種々の遺伝学的ツールを用いて明らかにする
〇採択理由:高度な技術を要する手法を用いて脳内メカニズムを明らかにするもので、これまで未解明な部分が多かった脳内でのタウリンの働きが視覚化でき、新たな科学的発見につながる可能性がある。

■ 今後の展望
様々な分野から応募頂いたテーマは、いずれもタウリンのポテンシャルを引き出し、健康寿命の延伸に貢献することを期待させる素晴らしいものばかりでした。
当社は、今回開始した若手研究者への助成制度に加え、情報発信や研究者同士の交流促進など様々な活動を通じてタウリン研究をさらに発展させ、健康寿命の延伸に貢献して参ります。