低ホスファターゼ症治療剤「ストレンジック(R)皮下注」新発売...

低ホスファターゼ症治療剤「ストレンジック(R)皮下注」新発売  ― 生命を脅かす超希少疾患である低ホスファターゼ症に対する 世界初の治療薬として ―

 アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都渋谷区)は、2015年8月31日、低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia:以下、HPP)の治療薬として「ストレンジック(R)皮下注」(注1)〔一般名:アスホターゼ アルファ(遺伝子組換え)、以下「ストレンジック」〕を世界に先駆けて日本で発売いたしました。

ストレンジック(R)皮下注
ストレンジック(R)皮下注

 低ホスファターゼ症(HPP)は、骨の石灰化障害を特徴とする、重篤で極めて稀な遺伝性代謝性疾患で、骨の破壊や変形などの骨格異常のほか、重篤な筋力低下、けいれん発作、疼痛、および呼吸不全などの全身性合併症を生じ、乳児では早期死亡に至ることもあります(参考文献1-5)。HPPは指定難病および小児慢性特定疾病の対象疾患で、日本における患者数は100~200人と推定されています(参考文献6)。HPPに対しては、これまで対症療法しかなく根本的な治療薬はありませんでした。

 アレクシオンファーマ合同会社 社長のヘルマン ストレンガーは次のように述べています。「今回、ストレンジックを発売することにより、今まで治療薬がなかった低ホスファターゼ症の患者さんへ、世界に先駆けて新しい治療薬をお届けできることを大変嬉しく思います。アレクシオンファーマは、医療関係者の皆さまへの情報提供活動に尽力し、『ストレンジック』の適正使用の推進に努めながら、低ホスファターゼ患者さんの治療に貢献していけるよう取り組んでまいります」

 「ストレンジック」は、HPPの根本的な原因である組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)の欠損を補う酵素補充療法で、HPPに対する初めての治療薬です。国内外における臨床試験において、「ストレンジック」の投与により、欠損したTNSALPを補充することで、上昇したTNSALP基質濃度が低下し骨の石灰化障害が改善され、投与後24週目にはHPPによるくる病様症状や呼吸障害の改善が認められました。また、身体機能や運動能力の改善も認められました。さらに、日常生活動作や疼痛を改善することでHPP患者さんのQOLの向上も期待されます。

(注1)製品名は、「ストレンジック(R)皮下注12mg/0.3mL」、「同18mg/0.45mL」、「同28mg/0.7mL」、「同40mg/1mL」、「同80mg/0.8mL」です。


■低ホスファターゼ症(HPP)について
 低ホスファターゼ症(HPP)は、組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)と呼ばれる酵素の遺伝子の変異が原因で発症します(参考文献1-2)。HPPにおける遺伝子異常はあらゆる年齢層の患者さんに影響を及ぼします(参考文献1)。HPPは発症時の年齢によって分類され、乳児期発症および若年期発症HPPは18歳未満で発症した場合と定義されます。

 HPPは、年齢を問わず、患者さんに深刻な影響を及ぼす可能性があります(参考文献1)。自然経過観察試験によると、生後6ヵ月以内にHPPを発症した乳児の死亡率は高く、5歳時の全死亡率は73%と報告されています(参考文献7)。このような患者さんの死亡原因は主として呼吸不全です(参考文献1、5、8)。青年期および成人期まで生存した患者さんの場合、長期的な臨床的続発症には、再発性および治癒しない骨折、深刻な筋力低下、重度の疼痛、ならびに車椅子、歩行器および杖などの歩行補助器が必要とされる運動機能の障害などがあります(参考文献1、4)。


■臨床データについて
 日本での「ストレンジック」の承認は、日本の患者も参加した1本を含む3本のピボタル試験であるプロスペクティブ試験とそれらの延長試験、乳児を対象とした1本のレトロスペクティブな自然経過観察試験、および1本の医師主導試験から得た臨床データに基づいています。ピボタル試験は、日本の患者5例を含む、乳児期発症および若年期発症HPP患者合計71例を対象に行われました(生後1日から65歳まで)。これらの試験で「ストレンジック」の効果を、X線画像でくる病の重症度を評価するRadiographic Global Impression of Change(RGI-C)を用いて評価したところ、乳児期発症HPP(登録時の年齢が5歳以下)患者において「ストレンジック」が骨石灰化の迅速かつ持続的な改善をもたらすことが示されました。さらに、カプラン・マイヤー分析では、「ストレンジック」を投与した乳児のHPP患者における168週時点の推定全生存率は84%でした。「ストレンジック」を投与した若年期発症HPP患者では、自然経過データベースから抽出した対照群のHPP患者と比較して、優れた骨の健康改善を達成するとともに、歩行、身体機能、および成長の改善も認められました。

 臨床試験において、「ストレンジック」投与に伴い発現した有害事象で頻度の高かったものは、注射部位反応および投与時反応でした。これらの有害事象の大部分は、重症度が軽度から中等度でした。重篤な投与時反応が患者2例で認められました。1例は乳児期発症HPP患者で、発熱および悪寒が報告されました。もう1例は若年期発症HPP患者で、口唇のしびれ感、下肢痛、悪寒、および頭痛が報告されました。いずれの患者も「ストレンジック」投与の中止には至りませんでした。


■ストレンジックについて
 「ストレンジック」は日本において、2014年8月に厚生労働省から希少疾病用医薬品に指定されており、2014年10月に新薬承認申請、本年7月に製造販売承認を取得し、2015年8月31日、薬価収載されました。
 海外においては、アレクシオンは米国食品医薬品局に対して本剤の生物製剤認可申請を提出し、優先審査対象として受理されています。また、欧州においても販売承認申請を提出し、本年6月、欧州医薬品局の医薬品委員会よりEUにおける承認勧告を取得しました。


■アレクシオンファーマ合同会社について
 アレクシオンファーマ合同会社は、アレクシオン・ファーマスーティカルズ(米国コネチカット州チェシャー)の日本法人です。アレクシオンは、重篤な希少疾患を抱える患者さんの生活を一変させる治療薬の開発と提供に注力するグローバルなバイオ製薬企業です。アレクシオンは、致命的な2つの超希少疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)および非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療薬として初めてかつ唯一承認されている補体阻害薬ソリリス(R)(エクリズマブ)を開発し、製造販売しています。また、アレクシオンは、低ホスファターゼ症(HPP)に対するストレンジック(R)(アスホターゼ アルファ)およびライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)に対するKanuma(TM)(セベリパーゼ アルファ)の開発によって、最先端のグローバルな代謝性希少疾患フランチャイズも構築しています。さらに、アレクシオンは、複数の治療領域にわたる極めて革新的な製品候補を擁し、バイオテクノロジー業界において最も強固な希少疾患パイプラインを進展させています。補体阻害領域におけるグローバルリーダーとして、その他の重篤な超希少疾患領域におけるソリリスの潜在的適応の評価など、広範なプラットフォーム全体において補体阻害薬ポートフォリオの強化と拡大をアレクシオンは進めています。本プレスリリースとアレクシオンファーマ合同会社に関する詳細については http://alexionpharma.jp をご覧ください。


■参考文献
1. Rockman-Greenberg C. Hypophosphatasia. Pediatr Endocrinol Rev. 2013; 10(suppl 2):380-388.

2. Whyte MP. Hypophosphatasia: nature’s window on alkaline phosphatase function in humans. In: Bilezikian JP, Raisz LG, Martin TJ, eds. Principles of Bone Biology. Vol 1. 3rd ed. San Diego, CA: Academic Press; 2008:1573-1598.

3. Whyte MP, Greenberg CR, Salman N, et al. Enzyme-replacement therapy in life-threatening hypophosphatasia. N Engl J Med. 2012; 366(10):904-913.

4. Seshia SS, Derbyshire G, Haworth JC, Hoogstraten J. Myopathy with hypophosphatasia. Arch Dis Child. 1990; 65(1):130-131.

5. Baumgartner-Sigl S, Haberlandt E, Mumm S, et al. Pyridoxine-responsive seizures as the first symptom of infantile hypophosphatasia caused by two novel missense mutations (c.677T > C, p.M226T; c.1112C > T, p.T371I) of the tissue-nonspecific alkaline phosphatase gene. Bone. 2007; 40(6):1655-1661.

6. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 低フォスファターゼ症の個別最適治療に向けた基礎的・臨床的検討に関する研究 平成21~23年度 総合研究報告書

7. Whyte MP, Leung E, Wilcox W, et al. Hypophosphatasia: a retrospective natural history study of the severe perinatal and infantile forms. Poster presented at the 2014 Pediatric Academic Societies and Asian Society for Pediatric Research Joint Meeting, Vancouver, B.C., Canada, May 5, 2014. Abstract 752416.

8. Whyte MP, Rockman-Greenberg C, Hofmann C, et al. Improved survival with asfotase alfa treatment in pediatric patients with hypophosphatasia at high risk of death. Poster presented at the American Society for Bone and Mineral Research (ASBMR) 2014 Annual Meeting, Houston, September 14, 2014. Abstract 1097.


<参考資料>
◆「ストレンジック(R)皮下注」の製品概要
・製品名
ストレンジック(R)皮下注12mg/0.3mL、同18mg/0.45mL、同28mg/0.7mL、
同40mg/1mL、同80mg/0.8mL

・一般名
アスホターゼ アルファ(遺伝子組換え)

・効能又は効果
低ホスファターゼ症

・用法及び用量
通常、アスホターゼ アルファ(遺伝子組換え)として、1回1mg/kgを週6回、又は1回2mg/kgを週3回皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、適宜減量する。

<用法及び用量に関連する使用上の注意>
1. 注射部位1ヵ所あたりの最大投与液量は、1mLとすること。
2. 注射部位反応が報告されているので、投与毎に注射部位を変えること。

・製造販売承認日
2015年7月3日

・薬価基準収載日
2015年8月31日

・薬価
ストレンジック(R)皮下注 12mg/0.3mL  131,859円
同            18mg/0.45mL 197,788円
同            28mg/0.7mL  307,671円
同            40mg/1mL   439,530円
同            80mg/0.8mL  879,061円

・発売日
2015年8月31日

・製造販売元
アレクシオンファーマ合同会社

カテゴリ:
商品
タグ:
医療

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