ispace、JAXAと月資源開発の構想を検討、 宇宙資源開発産業の創出に向けた日本初の取り組み
2016年12月16日、株式会社ispace(本社:東京都港区、代表取締役:袴田 武史、以下 ispace)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下 JAXA)と覚書を締結し、両者が有する知見とネットワークを生かして、月の資源の採掘、輸送及び利用等に関する産業の創出・展開に向けた構想および計画を検討していきます。
ispaceは、宇宙資源開発産業の獲得に向けて月面資源開発事業を行っています。(宇宙資源開発産業は、2030年に90兆円※と見込まれている宇宙産業の中心になるとされています。※Cislunar Space Economy - United Launch Alliance社試算)現在ispaceは、チームHAKUTOの運営母体となり月面探査レースGoogle Lunar XPRIZEに参加し、月面を探査する超小型ロボットの技術検証を行っています。中長期では、「月への高頻度の輸送」および月資源の開発技術の確立と群ロボット技術を活用した資源マッピングを行う「月面探査」、そして資源の採掘、加工を経て、月面や宇宙の顧客へ提供する「生産・配送」を行なっていく予定です。
今回の連携で、ispaceとJAXAは、月の資源(水資源及び鉱物資源を含む)を用いた産業の創出及び展開に関する構想と計画に関し、相互に協力し、主に以下3点で検討を進めていきます。
1. 月の資源の特定(位置、組成、性状等のデータの取得を含む)、採掘、貯蔵、輸送、販売及び宇宙空間における利用その他必要な事項を含む月の資源を用いた産業のバリューチェーン及び市場規模、技術検討など同産業の全体構想
2. 上記に必要な研究開発及び公共調達など官民の役割分担、並びに国内外の枠組みの在り方
3. 今後のコンソーシアムの拡大を含むその他必要な事項の検討
宇宙資源開発については、2016年11月8日に参議院内閣委員会で宇宙資源開発産業の振興が決議され、さらに2016年12月13日に政府の宇宙開発戦略本部で決定された宇宙基本計画工程表改訂でも宇宙資源開発へ向けた取り組みの強化が盛り込まれたことで、日本国として関連産業の振興に積極的に取り組んでいくという方針が打ち出されはじめています。
今回JAXAと連携し、月の資源を軸とした宇宙資源開発の産業創出に向けて具体的な検討を行っていくことは、日本で初めての取り組みとなります。
今後もispaceは、日本国内のみならずグローバルでも、宇宙資源開発産業をリードしていきます。
■株式会社ispace 代表取締役 袴田 武史のコメント
「現在、全世界的に宇宙資源開発に対して注目が集まっています。HAKUTOなどを通し世界に対して技術優位性がある今のうちに事業化やルール形成に取り組んでいくことが重要だと考えています。日本国政府としての宇宙資源開発への取り組み強化という追い風や今回のJAXAとの取り組みもあわせて、常に産業の先頭を走り、グローバルでも宇宙資源開発産業をリードしていきます。」
■参考資料
<世界の宇宙産業をめぐる環境変化>
ロケット打ち上げコストの大幅な低減、宇宙船、着陸船、ロボット等の技術の発展によって宇宙活動が急速に拡大することに伴い、宇宙資源開発に関する新しい産業が誕生し、2030年に90兆円と試算されている宇宙産業の中心になることが見込まれています。
他国は発展が見込まれる宇宙資源開発を産業視し、宇宙の採掘資源の所有は宇宙条約と抵触しないという通説に基づき、宇宙資源開発を行うことが妨げられないような法的枠組み作りを進めています。米国では2015年11月に宇宙資源の私的所有を認める法律を成立。ルクセンブルグも、宇宙資源開発のハブとなる旨の政策を公表するとともに、両国は宇宙資源開発に関する多国間協定を模索中です。これらの国々等は自国に有利な形で事業が行えるようなルール作りや国内法の整備を目指しており、国際連合の常設委員会である国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS:Committee on the Peaceful Uses of Outer Space)の法律小委員会でも、2017年に宇宙資源開発について議論されることが決定しています。また、オランダのハーグではすでに関係各国17か国、29組織による宇宙資源開発の国際的なルールの検討が始まっており、日本からはispaceが参加して議論しています。さらに、米国を中心に複数の宇宙資源開発を目的とするベンチャー企業が活動しており、代表格であるPlanetary Resources社はGoogle社創業者などを含み、50億円近くの資金調達をすでに実施しています。
<月面資源について>
近年の研究によると、月には貴重な鉱物資源のほか、およそ60億トンの水が存在すると言われています。特に水は、水素と酸素に分解することでロケットの燃料にもなるので、将来の宇宙開発に欠かせない貴重な資源です。宇宙に燃料ステーションができると、宇宙輸送に革命が起こります。ispaceはこれらの資源を確保するため、超小型宇宙ロボット技術を軸に、国家主導のミッションよりも低価格かつ高頻度な月面へのアクセスを提供し、月面探査、資源採掘や貯蔵、輸送などを行い、宇宙資源を起点とした新しい産業創出をリードします。
<日本も今後宇宙資源開発の取り組みを強化>
これまで宇宙基本計画で宇宙資源開発に係る言及はありませんでしたが、2016年11月8日に参議院内閣委員会での宇宙資源開発産業振興が決議され、さらに2016年12月13日に政府の宇宙開発戦略本部で決定された宇宙基本計画工程表改訂でも宇宙資源開発の取り組み強化が盛りこまれました。これらは日本国としても関連産業の振興に積極的に取り組んでいくことを国際的に宣言したもので、月をはじめとした太陽系内の天体にある天然資源の探査や開発をめぐる国際動向の情報収集が実施され、宇宙の産業利用や資源開発に関する国内の議論が加速していくことが見込まれます。
■国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)について http://www.jaxa.jp/
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関と位置付けられ、同分野の基礎研究から開発・利用に至るまで一貫して行っています。創立から10年の節目となる2013年に、JAXAは経営理念を「宇宙と空を活かし、安全で豊かな社会を実現する」と定め、コーポレートスローガンに“Explore to Realize”を掲げました。そして、2015年4月には、国立研究開発法人となり、同法人の設立趣旨である日本全体の研究開発成果の最大化を目指し新たな一歩を踏み出しました。
■株式会社ispace http://ispace-inc.com/jpn
「宇宙を人類の生活圏にする」をビジョンに掲げ、月面資源開発の事業化に取り組んでいる次世代の民間宇宙企業。日本から唯一月面探査レースGoogle Lunar XPRIZEに参加するチーム「HAKUTO」の運営を行い、中長期では、「月への高頻度の輸送」、月資源の開発技術の確立と群ロボット技術を活用した資源マッピングを行う「月面探査」、そして資源の採掘、加工を経て、月面や宇宙の顧客へ提供する「生産・配送」を行なっていくことを計画しています。現在、JAXAとの間で、月惑星などの不整地環境を移動探査する「昆虫型ロボット」の共同研究、またJIG-SAW社と「宇宙群ロボット」の共同研究も実施しています。
■HAKUTOについて http://team-hakuto.jp/
HAKUTOは、株式会社ispaceが運営する、日本で唯一Google Lunar XPRIZEに参加するチームです。ベンチャー、大学、そしてプロボノと、様々なバックグラウンドを持った人材が集まり、それぞれの特技を生かし合って月面探査ロボット(ローバー)を開発し、Google Lunar XPRIZEに挑戦するプロジェクト「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」で世界初の民間月面探査を目指しています。2015年1月には、月面ミッションを達成できる能力のローバーを開発したその技術力が評価され、Google Lunar XPRIZE中間賞のモビリティ部門を受賞しています。
■Google Lunar XPRIZEについて http://lunar.xprize.org/
Googleがスポンサーとなり、XPRIZE財団によって運営される、民間組織による月面無人探査を競う総額3,000万ドルの国際賞金レースです。ミッションは、月面に純民間開発の無人探査機を着陸させ、着陸地点から500m以上走行し、指定された高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること。1位のチームには賞金2,000万ドル、2位のチームには賞金500万ドルが与えられます。現在、世界各国から16チームが参加しています。
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