祇園の名物女将がモデルの小説が発売 全焼のお茶屋再建に励む姿が主人公に重なる
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2019年9月12日 12:00株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 清水卓智)は、『京都祇園もも吉庵のあまから帖』(志賀内泰弘著/700円税別)を2019年9月10日に発売しました。元芸妓でちょっぴり辛口の女将が営む、「一見さんお断り」の甘味処を舞台にした連作短編集です。祇園のお茶屋「吉うた」の女将・高安美三子さんがモデルの主人公・もも吉の活躍を、「いい話」の名手・志賀内泰弘氏が描きます。
『祇園小唄』ゆかりのお茶屋「吉うた」女将公認の作品
『京都祇園もも吉庵のあまから帖』は、月刊『PHP』で連載中の同タイトル小説の書籍化。2018年10月号から2019年2月号までに掲載した作品を、大幅に加筆した5編を収録しました。連載にあたり、著者の志賀内泰弘氏は「花街のしきたりはたくさんあり、安易にペンを執るのは恐れ多い」という思いから、小説の舞台である祇園を1年以上にわたって取材。このとき協力を惜しまなかったのが「吉うた」の女将です。「吉うた」は作家・長田幹彦の常宿で、「月はおぼろに東山」の出だしで有名な『祇園小唄』も滞在中に作詞したと言われる老舗のお茶屋。取材を重ねるうちに、女将の人柄そのものに魅かれた著者は、女将をモデルに主人公・もも吉を生み出しました。もちろん、ご本人公認です。
全焼の「吉うた」2020春に再建の決意
書籍化がすすむ2019年7月8日、祇園で火災が発生。火元の隣家からの類焼によって「吉うた」は全焼してしまいます。その災難から一カ月後、著者の志賀内氏は、翌春の都をどりの時期に「吉うた」再建を目指すという女将からの手紙を受け取ります。手紙の行間からは、背筋がシャンと伸び、いつでも凛としている女将の「生きる姿勢」が感じられたそうです。その姿は、『京都祇園もも吉庵のあまから帖』の主人公「もも吉」に、そのまま重なります。志賀内氏は「作中での“もも吉”の活躍ぶりが、再建に奔走する女将さんの励みになれば」と願っています。今となっては見ることができない、店内の趣きある様子も詳しく描かれているので、物語を楽しむと同時に、往時の「吉うた」をなつかしむことができる小説です。
【こんなお話】元芸妓の辛口女将が、市井の人々の相談にのる
元芸妓のもも吉は、わけあって今は祗園で甘味処「もも吉庵」を営んでいる。一見さんお断り、メニューは「麩もちぜんざい」のみの小さな店だ。そんな店を訪れるのは、舞妓になるために十五歳で祗園へやってきた少女、妻を亡くして一人で京都を旅する中年男性――様々な悩みを抱えた人たちへのもも吉の言葉は、ときに辛口だが、彼らの心を解きほぐしていく。京都の四季に彩られた感動の連作短編集。
「『頑張る』と『気張る』、似てるけど違うんや。わかりはるか?」
「……」
「『頑張る』いうんはなぁ、『我を張る』こと。つまり自分一人の頑張り、独りよがりのことやなぁ。それに対して、『気張る』いうんは『周りを気遣って張り切る』ことや」
「そうやなぁ。祇園ではみんな『おきばりやす』と、よう口癖みたいに言いますなぁ」
――本文より抜粋
登場人物
もも吉:祇園の“一見さんお断り”の甘味処「もも吉庵」女将
美都子:もも吉の娘。京都の個人タクシーの美人ドライバー。
隠源:建仁寺塔頭の1つ満福院住職。「もも吉庵」の常連。
奈々江:舞妓修業中の「仕込みさん」。15歳で一人、祇園にやってくる。
おジャコちゃん:もも吉が面倒をみているネコ。好物は最高級品の「ちりめんじゃこ」。
美都子:もも吉の娘。京都の個人タクシーの美人ドライバー。
隠源:建仁寺塔頭の1つ満福院住職。「もも吉庵」の常連。
奈々江:舞妓修業中の「仕込みさん」。15歳で一人、祇園にやってくる。
おジャコちゃん:もも吉が面倒をみているネコ。好物は最高級品の「ちりめんじゃこ」。
もくじより
第一話 桜舞う 都をどりのせつなくて
第二話 悩み秘め 恵美須神社に願いごと
第三話 寺社めぐり 小春日和の栗ぜんざい
第四話 節分会 粋なお兄さんに恋をして
第五話 葛汁粉 春遠からじ吉田山
第二話 悩み秘め 恵美須神社に願いごと
第三話 寺社めぐり 小春日和の栗ぜんざい
第四話 節分会 粋なお兄さんに恋をして
第五話 葛汁粉 春遠からじ吉田山
著者について
志賀内泰弘(しがない やすひろ)
作家。世の中を思いやりでいっぱいにする「プチ紳士・淑女を探せ!」運動代表。月刊紙「プチ紳士からの手紙」編集長も務める。人のご縁の大切さを後進に導く「志賀内人脈塾」主宰。思わず人に話したくなる感動的な「ちょっといい話」を新聞・雑誌・Webなどでほぼ毎日連載中。その数は数千におよぶ。ハートウォーミングな「泣ける」小説のファンは多く「元気が出た」という便りはひきもきらない。TV・ラジオドラマ化多数。著書『5分で涙があふれて止まらないお話 七転び八起きの人びと』(PHP研究所)は、全国多数の有名私立中学の入試問題に採用。他に『No1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』『なぜ、「そうじ」をすると人生が変わるのか?』(ダイヤモンド社)、『ココロがパーッと晴れる「いい話」気象予報士のテラさんと、ぶち猫のテル』(ごま書房新社)、『眠る前5分で読める 心がほっとするいい話』(イースト・プレス)などがある。
作家。世の中を思いやりでいっぱいにする「プチ紳士・淑女を探せ!」運動代表。月刊紙「プチ紳士からの手紙」編集長も務める。人のご縁の大切さを後進に導く「志賀内人脈塾」主宰。思わず人に話したくなる感動的な「ちょっといい話」を新聞・雑誌・Webなどでほぼ毎日連載中。その数は数千におよぶ。ハートウォーミングな「泣ける」小説のファンは多く「元気が出た」という便りはひきもきらない。TV・ラジオドラマ化多数。著書『5分で涙があふれて止まらないお話 七転び八起きの人びと』(PHP研究所)は、全国多数の有名私立中学の入試問題に採用。他に『No1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』『なぜ、「そうじ」をすると人生が変わるのか?』(ダイヤモンド社)、『ココロがパーッと晴れる「いい話」気象予報士のテラさんと、ぶち猫のテル』(ごま書房新社)、『眠る前5分で読める 心がほっとするいい話』(イースト・プレス)などがある。
本書について
タイトル:京都祇園もも吉庵のあまから帖
著者:志賀内泰弘 著
定価:700円(税別)
仕様:文庫判並製/288ページ
発行:PHP研究所
発売日:2019年9月10日
著者:志賀内泰弘 著
定価:700円(税別)
仕様:文庫判並製/288ページ
発行:PHP研究所
発売日:2019年9月10日