乳幼児用便器「プティ トワレ」が 2020年度グッドデザイン賞ほか各賞を受賞 「子どもを思い、大人を思いやる」デザインが好評価
芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)デザイン工学部橋田規子教授がデザインし、株式会社ジャクエツ(福井県敦賀市/代表取締役 徳本達郎)が製造・販売する乳幼児用便器「プティ トワレ」が、10月1日に「2020年度グッドデザイン賞」、9月30日に「第14回キッズデザイン賞 奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)」、8月3日に「第8回かわいい感性デザイン賞 最優秀賞」の各賞を受賞しました。
■製品の概要
<デザインのポイント>
1. 便秘がちな現代の子どもたちのために、体格に合うだけでなく、排泄しやすい設計。
2. ますます求められる高い衛生レベルを実現するために、流しやすさ、飛沫防止機能、掃除のしやすさを向上。
3. 居心地の良いトイレ空間をつくるため、どんな空間にも映える、洗練された優しく心地よいデザイン。
橋田教授は「なぜ、人はそれを魅力的に感じるのか」をテーマに、エモーショナル(感性)の要素解明とそれを応用した魅力的なものづくりを、工学の知識を取り入れながら研究しています。またデザイナーとしても多くの製品の開発に携わっています。
今回各賞を受賞した乳幼児用便器「プティ トワレ」は、株式会社ジャクエツが「よりよい子どものトイレ空間を創出するためには新しい便器の開発が重要なポイント」と考え、橋田教授にデザインを依頼。2019年5月15日に発表し、同年12月から発売されました。
■開発の背景
高まる子どもの健康を支える役割と、求められるシンプルでデザイン性の高い衛生器具
乳幼児施設のトイレには感染症予防の観点から、流しやすさ、飛沫防止、掃除のしやすさなど高い衛生レベルが求められています。また現代の子どもたちの食生活や生活リズムの変化から、便秘の低年齢化も起こっており、排泄の重要性も注目されています。排泄のための器ということ以上に、子どもの健康を支える便器の役割は高まっています。さらに近年は子どものトイレも多様な空間デザインがなされるようになりましたが、特に保育施設における低年齢児のトイレでは、介助のために個室を設けず、便器そのものが目に入りやすい場合も多くあります。便器自体の存在感が高まるため、シンプルでデザイン性の高い衛生器具が求められていました。
■開発の経緯
子どもも大人も皆が使いやすく心地よいデザインが実現
排泄のためのデザインとして、子どもが排便しやすい便座形状を実現するため、座面着座時の体圧分散、坐骨結節間距離の計測などを行い、座るだけで自然と排泄しやすい姿勢が取れるように検証しました。結果、やや前傾の姿勢を取ることで、排泄を促すようになりました。また衛生管理のためにワンタッチで便座が取り外せる構造を開発し、全体的に凹凸の少ない形状として清掃性を高めています。子ども特有の使用後の流し残しに対しても、タンクの洗浄レバーを、大小流し分けがない下向きへの一方向式とし、指をかけやすい形状でデザインしました。小便器はフチに返しがなく壁面に汚れが伝いにくい設計、かつ目皿奥部が少し浮く形状にすることで清掃時に取り外しやすくし、よりスムーズな日常清掃を可能にしました。意匠デザインは、多様なトイレ空間にマッチするシンプルかつ優しい造形を目指しました。成果として、子どもも大人も皆が使いやすく心地よいデザインを実現しました。
■橋田規子 デザイン工学部教授 略歴
東京藝術大学デザイン科卒業後、TOTO 株式会社にて便器や水栓金具、キッチンや浴室などのデザインを行う。2005 年同社デザインディレクターを経て 2008 年芝浦工業大学教授に就任。
同年NORIKO HASHIDA DESIGN 設立。住宅設備、オフィス家具、生活用品のデザインに携わり、心地よさを軸に、エモーショナルデザインの実践を行う。
グッドデザイン賞審査員、キッズデザイン賞審査員。
■各賞 受賞情報
1. グッドデザイン賞 (主催 公益財団法人日本デザイン振興会)
<賞名>
2020年度グッドデザイン賞
<公開コメント>
創業から100年、保育施設から、文化施設・商業空間に至るまで教育のプロと共に子どものための環境づくりに従事してきた企業が、自社の強みを活かすべく取り組んだ製品開発の誠実な姿勢が、高く評価された。床を濡らさないドライ式清掃対応で、教員やスタッフによる手入れも負担が少なく、ユーザーからの共感、心地よさや安心感を担保する配慮も備えている。子どもを思い、大人を思いやる解決策があるのだということを示唆する好例だ。 丸みのある美しいデザインに留まらず、デザインのポイントとして排泄を助け、清掃を容易にし、設置の工事の簡易さを丁寧に考えられた形となっている点が素晴らしい。
<グッドデザイン賞とは>
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
2. キッズデザイン賞 (主催 特定非営利活動法人キッズデザイン協議会)
<賞名>
第14回キッズデザイン賞 奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞
<受賞部門>
子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン 子ども部門
<受賞理由>
保育園、幼稚園、こども園などに設置するトイレシリーズ。便座形状を前傾させ、座るだけで自然と排泄しやすい姿勢が取れるスタイルを実現し、指を掛けやすいレバー形状など、人間工学的アプローチが採用されており、必然性のあるシンプルで美しいデザインである。メンテナンスのしやすさも向上させ、衛生管理の面でも非常に高い機能性を備えている。
<キッズデザイン賞とは>
キッズデザイン賞は、「子どもたちが安全に暮らす」「子どもたちが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」という目的を満たす、製品・空間・サービス・活動・研究の中から優れた作品を選び、広く社会に発信していくことを目的に2007年に創設されました。
子ども用にデザインされたものはもちろん、大人・一般向けに開発されたものでも、子どもや子育てに配慮されたデザインであればすべてが対象です。
3. かわいい感性デザイン賞 (主催 日本感性工学会)
<賞名>
第8回かわいい感性デザイン賞 最優秀賞
<受賞理由>
人口減少時代で重要テーマ。デザインコンセプトが秀逸。
<かわいい感性デザイン賞とは>
“かわいい”という感性価値はファッション等をはじめとしたマーケティング効果にも影響を及ぼし、その範囲は拡大する傾向にあります。このような社会的背景に応えるために、優れたかわいいプロダクトを表彰して世に知らしめることは、感性工学研究の裾野の広さの実証と涵養を高めるためにも必要なことと思われます。
このような背景のもとに、日本感性工学会は、その社会的役割の一環として、「かわいい感性デザイン賞」を創設することに致しました。
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