コロナ禍に「DIY・ガーデニング用品」ホームセンターで3割が購入 エリア別勢力図・カインズ・コーナン好調の理由をレシートから分析
マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(R) コロナ感染拡大前後のホームセンターにおけるレシート分析
フィールド・クラウドソーシング事業を展開するソフトブレーン・フィールド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:木名瀬博)は、全国のアンケートモニターから独自に収集する「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(R)
」から、コロナ禍での消費者購買行動や背景を分析しています。
第7回目は、「ホームセンター」における購買行動です。ホームセンターは店舗数が増え続ける一方で、市場規模は4兆円弱で横ばいが続いていますが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により、DIYやガーデニング用品などを中心に需要が増えています。また昨年11月に、首都圏で多店舗展開する島忠を巡って、ニトリの買収提案を受け入れたことは記憶に新しく、大手による勝ち残りに向けた動きが加速しています。
まずは、利用者の動向の実態を明らかにするために、全国のPOB会員を対象に、ホームセンターの利用に関するアンケート調査を実施しました。(N=3788人、2020年1月7日~11日実施)
はじめに、「直近半年以内のホームセンターの利用」を尋ねると、全体の3788人中、6割以上にあたる2288人(平均年齢52歳、既婚7割)が「利用経験あり(60.4%)」と回答しました。「主に誰と来店するか」を尋ねると、意外にもそのうちの、半数以上が「一人で来店する(53.2%)」と回答し、「配偶者・パートナー(31.5%)」、「家族(14.2%)」、「友人・その他(1.1%)」と続きました。スーパーや飲食店などが併設されているチェーンもみられますが、コロナ禍ということもあり、最少人数で来店する人のほうが多いようです。
次に、「日常的に利用されているホームセンターの実態」を探るため、今回は北海道(N==93人)・東北(N=100人)・関東(N=1165人)・中部(N=331人)・関西(N=402人)・九州/沖縄(98人)をセレクトし、各エリアごとに利用されているチェーンを調査しました。※()内N数は、直近半年以内にホームセンターの利用経験があると回答した人。
まず北海道では、「ホーマック(DCMホーマック株式会社、北海道)74.2%」が、およそ8割と圧倒的な支持を集め、東北においても2割(22.0%)の人が、日常的に利用すると回答していました。
中部をみると、同じくDCMホールディングスの「DCMカーマ(DCMカーマ株式会社、愛知県)32.6%」が最多回答となり、九州では「ホームプラザナフコ(株式会社ナフコ、福岡県)16.3%」が選ばれてたことから、地方では、地域密着型のホームセンターの根強い人気があることがわかります。
次に、関東では、「カインズ(株式会社カインズ、埼玉県)18.5%」、「島忠(株式会社島忠、埼玉県)18.0%」となり、関東を中心に展開するチェーンが続きました。関西では出店数の多い、「コーナン(コーナン商事株式会社、大阪府)56.0%」が、半数以上が日常的に利用すると回答し、東京・神奈川にも進出しているため、14.8%と関東でも健闘していました。
売上高でみると、2020年2月期決算ではDCMホールディングス(計5,449億円)がカインズ(4,410億円)に業界首位の座を明け渡したことが話題になりましたが、傘下の持分法適用会社ケーヨーの売上高を加えれば依然首位となり、コーナン商事(3,746億円)が続きます。※()内売上高は、2020年2月期または3月期
かつてコメリとコーナン商事が業界2強とみなされていましたが、カインズの躍進で業界地図が一変し、さらに大型M&Aで生まれた新勢力も上位をうかがう構図に変化しています。
次に、「日常的に利用するホームセンターを選択する際に重視すること」尋ねると、「自宅から近い・アクセスがよい(64.7%)」が最多回答となり、「必要な物が売っているから(36.3%)」、「安いから(21.5%)」を大きく引き離し、スーパーやドラッグストアと同様に、身近な場所にあることが重要視されています。
アンケートで「ホームセンターに来店する際の手段」を尋ねると、7割が「自家用車(68.2%)」と回答しており、「駐車場がある・広い(15.8%)」ということも選択する上でのポイントとなりうるようですが、コーナンの利用者からは、「自宅に車がなくても軽トラックの貸し出しをしてくれる」といった声があり、各社独自で行う顧客サービスとして、重い物や自家用車に入らない大型家具などの運搬用に軽トラック貸し出しを行うチェーンも多いようです。
では、ホームセンターではどのような商品が購入されているか、「直近半年でホームセンターの利用経験がある」と回答した2288人に購入した商品カテゴリーを尋ねると、最多回答は「日用品(77.1%)」で、続いて「掃除・洗濯・バス用品(49.0%)」、「キッチン雑貨(41.3%)」と生活必需品・雑貨が上位を占める中、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、自宅でのDIYや園芸がブームとなった背景もあり、「DIY・工具・材料(33.5%)」、「園芸・ガーデニング用品(30.8%)」のような生活必需品以外でも、3割以上の人が購入経験があると回答しました。
上位カテゴリーを分析すると、「DMCブランドの洗濯洗剤が無添加で肌にも衣類にも優しい」「カインズのPBの消臭剤は安くてパッケージも可愛い」「コーナンブランドの除菌シートが安くておすすめ」など、全体的に高品質・低価格なPB(プライベートブランド)を支持する声が多くみられました。他にも、「園芸用の用土など、期間限定セールもありお得に買える」といった、ホームセンターでの品揃えが多い商品のキャンペーンや、「洗剤・ハンドソープなどの大型サイズの詰め替えはホームセンターにしかないので便利」といったユニット単価が安くなる商品の売り方が、購入につながっていることがわかりました。
次からは、ホームセンターの利用実態をさらに深堀するために、レシートデータから分析します。今回は、カインズ、コーナンのホームセンター2チェーンの他、日用品購入の競合となりうるドラッグストア全体における、てコロナ感染拡大前の20年1月~3月と、感染拡大後の7月~9月を比較しPOB会員の購入レシートデータから定量的な観点で分析しました。
まず感染拡大前の20年1月~3月と、感染拡大後の7月~9月の購入状況をみると、購入点数は、3点~5点となりました。購入金額は、カインズは1,947円→2,432円(485円アップ)、コーナンは1,261円→1,652円(391円アップ)に増加し、ドラッグストア全体の1,277円を上回る結果となりました。一般的にドラッグストアよりも来店頻度が低いため、まとめ買いにより1回の買い物金額が高い傾向があることが言えますが、コロナ禍によりホームセンターの需要が高まっていたことがデータからわかります。
また、当社のPOB会員の年齢層が40代~50代が中心であることに特性を受けているため参考データとなりますが、カインズとコーナンにおける利用者の変化をみると両社共通して20年1~3月と7~9月の比較では、男女ともに30代以下が増加しており、またカインズでは40代男性の増加傾向もみられました。
コロナ禍が追い風となり、今までホームセンターで買い物をしたことがない人や、あまり行く習慣がなかった人の来店機会が増え、若年層の利用を取り込んでいることがうかがえます。
では実際に、ホームセンターではどの商品カテゴリーが購入されていたのか、20年7~9月のカインズとコーナンのレシート購入金額全体に占める商品カテゴリー構成比をみると、「日用品」が最多となり、カインズ59.5%、コーナン76.5%でした。レシート表記をみると、いずれも「ごみ袋、食品ラップ、ペット用品」などのコロナ感染拡大前から購入されていた商品の他、「マスク、消毒液」などの感染症対策商品、コロナ禍で需要が高まった「園芸用品、工具、木材」などが購入されていました。
また、コーナンでは、セリアやダイソーといった100円ショップが併設店舗の商品を同時会計ができるため、100円雑貨のレシートが多くみられたため、両社の「日用品」構成比において、17pt差が生まれていたことが想定されます。
ほかにも、カインズでは「食品」7.8%、「飲料」6.4%、「酒類」5.5%の構成比がコーナンよりも大きい特性があります。ホームセンター各社はPBに力を入れていますが、カインズのレシートからは、日用品や日用雑貨などのホームセンターで購入されやすい商品カテゴリーのほか、菓子や米、水だけではなく、乳酸菌飲料や新ジャンルビールなど、多岐にわたるカインズオリジナルPBが消費者に支持されており、そういった商品戦略が購買行動を促進させ、客単価が高くなっていることが予想されます。(POBデータ分析1参照)
最後にアンケートでは、ホームセンターおける要望を尋ねると、「品揃え・安さ」だけではなく、「欲しい商品が必ずある・みつけやすい」、「商品や専門知識のある店員がいる」といった声が多く挙がりました。
品揃えや価格、商圏が狭い点においては、ホームセンターよりもドラッグストアに優位性があるため、客足を奪われやすい傾向があり、各社商圏を越えたアプローチをするためにネット通販にも力を入れていますが、ホームセンターが運営するオンラインショップでの購入経験がある人はわずか2割にとどまりました。(N=2288人、直近半年以内にホームセンターで購入経験あり)デジタル技術を取り入れストレスフリーで買い物ができ、顧客との接点を増やすといった施策においては、まだまだ伸びしろがありそうです。
また、店内商品の販売にもつながるワークショップの開催や、コーナンでは、ペット愛好家をターゲットに動物病院の併設店舗を増やすなど、限られた来店の頻度の中で、生活必需品の割安感だけではなく、ライフスタイルを豊かにするため質の高い商品やサービスを提供し続けることが、コロナ禍で増えた新規顧客をロイヤルカスタマーとして引き込み、成長していくための有効な施策となるのではないでしょうか。
[調査概要]
調査対象:全国のPOB会員アンケートモニター
調査日時:2021年1月7日~11日
調査方法:インターネットリサーチ
調査機関:ソフトブレーン・フィールド
N=3788人(関東地方2111人、関西地方618人、中部地方477人、東北地方146人、九州/沖縄地方145人、北海道地方127人、中国地方120人、四国地方44人)
POBデータ分析1、2:マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(R)から分析、レシート枚数
2020年1月~3月合計(ホームセンター:カインズ1,910枚、コーナン2,216枚、ドラッグストア全体:126,924枚)
2020年7月~9月合計(ホームセンター:カインズ3,423枚、コーナン4,040枚、ドラッグストア全体:187,065枚)
過去分析レポート※)コロナ禍における生活意識・行動変化レポート一覧
https://www.sbfield.co.jp/category/case-study/
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TEL:03-6328-3883 FAX:03-6328-3631 MAIL: press@sbfield.co.jp
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Point of Buy(R)データベースは、全国の消費者から実際に購入/利用したレシートを収集し、ブランドカテゴリや利用サービス、実際の飲食店利用者ごとのレシート(利用証明として)を通して集計したマルチプルリテール購買データです。
同一個人(シングルソース)から「消費行動」に関わる複数種類のデータを収集しており、ショッパーの行動結果からリアルなショッパーの実態に直接迫り、マーケティング戦略に不可欠なデータを、“より精度を高く” 企業・メーカーに提供します。
集計対象は、消費財カテゴリ68種類 約6,000ブランド、飲食利用カテゴリ10種類約200チェーン(2018年1月現在)。全ての利用証明に購入/利用理由(フリーコメント)がデータ化されています。
■当事業の特長:
- 日本初のレシートによる購買証明付き購買理由データ
- 「セゾンポイントモール」会員と、「Ponta Web」会員、「履歴書情報」のある当社登録会員「キャスト」で構成された334,187人のネットワークに基づく本人認証度の高いデータを提供
- 700企業以上のチェーン情報を公開
- ビジネスモデル特許による全チェーン共通オリジナルブランドマスター(※JICFS/IFDBベース)を生成
詳細はこちら https://www.sbfield.co.jp/press/20170222-10722
※JICFS/IFDB:JANコード統合商品データベース (一財)流通システム開発センター
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・「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(R)」 https://www.sbfield.co.jp/multi-idpos
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【ソフトブレーン・フィールド株式会社 会社概要】
ソフトブレーン・フィールド株式会社は、ソフトブレーン株式会社(市場名:東証1部・4779、本社:東京都中央区、設立年月日:1992年6月17日、代表取締役社長:豊田浩文)のグループ会社として、全国の主婦を中心とした登録スタッフ92,555名のネットワークを活用し、北海道から沖縄まで全国のドラッグストアやスーパー、コンビニ、専門店など187,000店舗以上をカバーし、営業支援(ラウンダー)や市場調査(ミステリーショッパー、店頭調査など)を実施しています。当社代表の木名瀬博は、2004年にアサヒビールの社内独立支援制度に応募し、合格第1号事業として独立しました。
「木名瀬 博のフィールド虎の巻」 URL:https://www.sbfield.co.jp/toranomaki
本社所在地 :東京都港区赤坂3-5-2 サンヨー赤坂ビル5階
設 立 :2004 年7 月 / 資本金 :151,499,329円
代表取締役社長 :木名瀬 博 URL : https://www.sbfield.co.jp/
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