桐野夏生の最新長編小説「真珠とダイヤモンド」連載開始!表紙は...

桐野夏生の最新長編小説「真珠とダイヤモンド」連載開始! 表紙は吉川英治文学新人賞受賞で話題の加藤シゲアキ  サンデー毎日4月4日号は3月23日発売

毎日新聞出版株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:小島明日奈)が発行する「サンデー毎日」では、3月23日発売の4月4日号から桐野夏生の最新長編小説「真珠とダイヤモンド」の連載を開始します。表紙は吉川英治文学新人賞受賞で話題の加藤シゲアキで、巻頭グラビアとインタビューも掲載いたします。


「サンデー毎日」4月4日号表紙



●「真珠とダイヤモンド」連載開始についての桐野夏生のコメント

バブル時代とは、1986年から89年頃のことを言うらしい。当時の私は、子供を保育園に預けて、赤ちゃん雑誌のライターをしていた。駆け回っている割には、たいしたギャラも貰えず、ただ疲れるだけだった。しかし、近所のやたらと羽振りのいい若夫婦の夫は、「金融」に勤めていると自慢げに言い、ある若い女性編集者は、私たちが日本で初めてボジョレー・ヌーボーを飲んだ世代なのよ、と私を憐れむように言った。彼らに共通するのは、時代の富を享受できない者に対する、圧倒的な想像力の欠如だった。


どうやら、その頃かららしい。貧乏であることは恥だ、という風潮が生まれたのは。もしかすると、その風潮に先鞭を付けたのは、84年に出版された渡辺和博氏の『金魂巻』だったかもしれない。「マル金」と「マルビ」。誰もが「マルビ」と言われないように、見栄を張りまくった。日本人はバブル時代から、「格差」を好み始めたのである。


さて、私はこれから、ある事件に巻き込まれた夫婦の物語を書こうとしている。その夫婦は、バブル時代に巨額の金を儲け、二十五年後に、まるでそのツケを払うかのように、トラブルに遭って死んだ。いったいバブルとは何だったのか。彼らはどうして死ななければならなかったのか。バブルの恩恵にはまったく浴さなかったものの、その時代を横目で見ていた私が解明しようとしているのだが、さて、うまくいくだろうか。ぜひ、読んで確かめていただきたい。


桐野夏生


桐野夏生(c)Keiichi SUTO


【プロフィール】

桐野夏生(きりの・なつお)

1951年生まれ。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞受賞。99年『柔らかな頬』(講談社)で直木賞、2003年『グロテスク』(文藝春秋)で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』(新潮社)で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』(毎日新聞社)で婦人公論文芸賞、08年『東京島』(新潮社)で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』(KADOKAWA)で紫式部文学賞、『ナニカアル』(新潮社)で10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。1998年に日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』(講談社)で、2004年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった。2015年、紫綬褒章を受章。



●表紙は吉川英治文学新人賞受賞で話題の加藤シゲアキ

表紙を飾るのは、アイドルグループ「NEWS」の加藤シゲアキ。2020年に発表した小説「オルタネート」が直木賞、本屋大賞にノミネートされ、吉川英治文学新人賞を獲得するなど、小説家としても活躍する加藤シゲアキ。新作舞台「モダンボーイズ」では戦前の浅草を舞台に、プロレタリア革命を目指しながら、ひょんなことからレビュー一座に加わる青年を演じます。戦雲近づく時代にエンターテインメントで抵抗した人間たちを描いた本作を受けての本誌のインタビューでは、加藤シゲアキ自身も、さまざまな価値観が鋭く対立する現代にエンタメの力で挑む気概を、熱い言葉で語ってくれました。さらに自身の創作論、そしてもちろんアイドルとしての新たな決意など、今の気持ちがたっぷりとつづられています。小説家としてのデビュー作にかけた“ピンクとグレー”がモチーフの、5ページの美麗な巻頭カラーグラビアとともにお楽しみください!



●「サンデー毎日」とは

「サンデー毎日」は毎週火曜日(一部地区を除き)発売です。1922年に毎日新聞本紙の創刊50周年記念事業として、日本で最初に創刊された総合週刊誌です。新聞社系の週刊誌としての確かな取材力とブランドイメージに定評があります。政治、経済、社会、芸能などのテーマを総合的にとりあげています。

大学合格者出身高校別速報に代表される集中連載をはじめ、サンデー毎日の教育・学校特集は、取材班が長年培ったノウハウを駆使した独自取材による特集です。一般読者からはもちろん、学校や教育関連企業からも評価をいただいています。



サンデー毎日2021年4月4日号

発売日: 2021年3月23日(火曜日)

定価 : 450円(税込み)

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