<調査結果:デジタル時代の国民問題> 大人も子どもも、約4人に1人が 「角膜の傷」リスクを抱えていると判明。 アイケアも十分になされていない実態が明らかに
現代人の角膜(黒目部分)の傷リスクとアイケアについて啓発を行う「現代人の角膜ケア研究室」は、角膜の傷につながる目の酷使の実態を把握するために、伊藤医院眼科副院長・日本角膜学会 評議員の有田 玲子先生監修のもと、小学校高学年(5~6年生)の子どもをもつ30~50代の親(500人)を対象に、その子どもも含め「親子の目の酷使・実態調査」(2022年7月実施)を行いました。
その結果、大人も子どもも約4人に1人が、角膜の傷リスクを抱えており、さらにはアイケアも十分になされていない実態が明らかになりました。現代は、大人も子どもも目を酷使しやすい環境にあり、涙に守られているだけの角膜は、傷つきやすい状況です。また、傷がつくことによって目の疲れなどの不快症状や疾患につながるリスクをはらむことから注意が必要です。調査結果をご報告するとともに、監修頂いた有田先生より、角膜の傷リスクの解説、アイケアの重要性のほか、簡単に実践できるアイケアをご紹介いたします。
1. 調査結果サマリー
(1) 大人も子どもも約4人に1人は目が乾きやすく、角膜が傷つきやすい状態になっている
(2) VDT機器※1の平均利用時間(平日)は、大人が5時間、子どもが2.5時間という結果に
(3) 大人の約7割、子どもの約4割が週に1日以上「目に疲れを感じる」と回答
(4) 角膜の傷リスクを抱えている大人の47.4%、子どもの67.2%がアイケアできていない
(5) 親がアイケアを行っていない家庭では、その子どもの約9割がアイケアを行っていない
【調査概要】親子の目の酷使・実態調査
・調査主体 :現代人の角膜ケア研究室
・期間 :2022年7月22日(金)~24日(日)
・方法 :インターネット調査
・本調査対象者:500人
小学校高学年(5~6年生)の子どもを持つ
30代~50代の親(一都三県在住)で眼科に通院している・
病院の処方薬を使っている人、ただし眼科に通院している・
病院の処方薬を使っている子どもの親は除く
・監修 :有田 玲子先生 伊藤医院眼科副院長
医学博士 慶應義塾大学眼科非常勤講師
東京大学眼科臨床研究員
2. 監修者からのコメント
現代人の目は、VDT機器※1の利用やエアコンの風などで酷使されやすい環境にあり、目の“角膜”は傷つきやすくなっています。目の疲れなどの不快症状は、角膜の傷や目が乾いている状態が原因の場合があります。
調査では、角膜の傷リスクが高いにも関わらず、アイケアを十分に行っていない人が多くいることが分かりました。正しいアイケアを学び、アイケアリテラシーを高めていくことが、いま目の健康のために求められています。大人の場合、子どもと比べると、加齢と共に角膜の傷リスクも高くなっていくので、率先してアイケアを実践していくことをおすすめします。
※1:VDT機器…Visual Display Terminalsの略で、パソコンやスマートフォンなどの情報機器。
伊藤医院副院長
日本角膜学会 評議員
有田 玲子先生
3. 調査結果詳細
(1) 大人も子どもも約4人に1人は目が乾きやすく、角膜が傷つきやすい状態になっている
角膜は涙によって守られているため、涙が蒸発しやすくなっている人は角膜を傷つけるリスクが高くなっています。本調査では、大人500名と子ども500名それぞれに「まばたきテスト」※2を実施してもらい、その結果をアンケートに記入してもらいました。
このテストでは、まばたきをせず目を開けていられる秒数を計測し、10秒以下で目を閉じた人はドライアイの可能性が高く、角膜に傷がつくリスクも高くなります。結果は、大人も子どもも約4人に1人は目が乾きやすく、どちらの世代でも角膜に傷がつくリスクが高いことが分かりました。
※2:まばたきテスト…目を開けた状態から時間を計測し、次にまばたきするまでの時間を確認するテスト。10秒以下で目を閉じた場合、涙が蒸発しやすくドライアイの可能性が疑われる。
(2) VDT機器※1の平均利用時間(平日)は、大人が5時間、子どもが2.5時間という結果に
4人に1人が角膜の傷リスクを抱えている背景を探るため、VDT機器※1の平日の利用時間を、大人と子どもそれぞれに聞いたところ、大人の場合は5時間、子どもの場合は2.5時間であることが分かりました。大人の利用時間は、子どもの2倍になっており、仕事などで使用機会が多いことから、さらに目を酷使している実態がうかがえます。
子どもの場合、学校や学校以外の学習でのPC・タブレットの使用状況については、約8割(82.0%)の子どもが、週に1回以上学習にPCやタブレットを使用していることが判明しました。
昔と比べ、日常的にVDT機器※1への接触機会が増加しており、子どもも目を酷使している実態がうかがえます。
(3) 大人の約7割、子どもの約4割が週に1日以上「目に疲れを感じる」と回答
大人と子どものVDT使用実態の結果を受け、大人と子どものそれぞれが目の不快症状を感じる頻度について聞いたところ、週に1日以上「目の疲れ」を感じている大人は約7割(74.8%)、また、週に1日以上「目の疲れ」を感じる子どもは約4割(36.4%)いることが分かりました。大人の場合、仕事でVDT機器※1などを使用する人が多く、目を酷使する機会も多いことから、目の疲れを引き起こしやすいことが考えられます。
(4) 角膜の傷リスクを抱えている大人の47.4%、子どもの67.2%がアイケアできていない
大人も子どもも多くの人が角膜の傷リスクを抱える中、ケアの実態についても調査を行いました。
アイケアの実施状況を調査したところ、全体でみると大人の場合は約半数(46.2%)、子どもの場合は約7割(66.6%)がアイケアを行っていないことが分かりました。
さらに、本来積極的にケアを行うべき、角膜の傷リスクを抱えている人でみてみると、大人は47.4%、子どもは67.2%がケアを行っていないということが分かりました。大人も子どもも、角膜の傷リスクを抱えているにもかかわらずケアが十分にできていない方が多くいると推察されます。
(5) 親がアイケアを行っていない家庭では、その子どもの約9割がアイケアを行っていない
調査によると、親がアイケアを行っていない場合、その子どものほとんどがアイケアを行っていないということが分かりました。こうした相関関係から、親が積極的にアイケアを行うことで、子どもも含めアイケアリテラシーの向上に繋がると思われます。
本調査の結果、大人も子どもも約4人に1人が「角膜の傷」リスクを抱えていることが分かりました。さらに、アイケアも十分になされていない実態からも、角膜の傷による影響も懸念されます。
そのため、角膜の傷リスクを正しく理解し、大人から積極的にアイケアに取り組むことで、国民全体のアイケアリテラシーを上げていく必要があります。そこで今回、有田先生に子どもにも実践できるアイケアをうかがいました。
4. 監修者コメント
目を酷使する時代のアイケアとの向き合い方 ~自覚なき「角膜の傷リスク」~
今回の調査で、VDT機器※1の利用が大人だけでなく子どもにも日常に広がっており、多くの人が「角膜の傷リスク」を抱えているということが分かりました。現代において、目を取り巻く環境は深刻です。エアコンやコンタクトレンズの使用、長時間のVDT機器※1の利用など、目を酷使する機会が増えています。これらは、目の涙を蒸発させ目を乾きやすくするだけではなく、角膜に傷がつくことで目の不快症状を引き起こします。多くの人が感じる「目の疲れ」も、単純に目の酷使によるものだけでなく、角膜の傷である可能性があります。傷を修復(ターンオーバー)できるよう、アイケアを習慣づけて行く必要があります。
特に、大人の場合は加齢とともに修復(ターンオーバー)がだんだん遅くなるので、子ども以上にアイケアを意識して行う必要があります。例えば、仕事の休憩時間に遠くを見て目を休める、修復(ターンオーバー)を促す点眼薬を差すなど、決まったタイミングでアイケアを行い習慣化するのがおすすめです。お風呂上りに、ホットアイマスクで目を温めるのもよいでしょう。
角膜の傷による影響が深刻な状況になる前に、アイケアを習慣にしましょう。
【目の酷使から“角膜”を守る!正しいアイケア】
(1) 目を温める「温罨法(おんあんぽう)」
目を乾きにくくするためには、涙の質をよくすることが大切です。目を温めることで、涙の蒸発を防ぐ油を分泌するマイボーム腺の詰まった油を溶かしたり、ポリ袋などで包んだホットタオルやあずきで温めるアイマスクを当てるのもおすすめです。1日2回、1回につき5分ほど行うのが効果的です。
(2) 正しい点眼薬の差し方
点眼薬は、目の角膜の修復(ターンオーバー)を促すビタミンA入りのものがおすすめです。
また、点眼薬に入っている防腐剤は、角膜の傷を悪化させる恐れがあるため、防腐剤無添加のものを選ぶと良いでしょう。1滴で十分効果があるので一度に何度も差さないようにしましょう。また、1日の上限数を守って使用することも重要です。(1日3~6回)
(3) まばたきエクササイズ
角膜を守る涙は99%の水分と1%の油でできています。目のマイボーム腺から油が出るように、まぶた付近の筋肉「眼輪筋」を鍛えて、しっかりまばたきができるようにすることが大切です。
【監修者プロフィール】
有田 玲子先生
伊藤医院眼科副院長 医学博士 慶應義塾大学眼科元非常勤講師 東京大学眼科臨床研究員
2012年、眼科医、一般のかた、患者さんに涙のあぶら・マイボーム腺の重要性を啓発するべくLid and Meibomian Gland Working Group(LIME研究会)を立ち上げ、涙のあぶらの重要性をより多くの方々に発信していくことを目的に講演会・講習会・ハンズオンワークショップ・患者さん向けパンフレットの作成などActiveに活動している。国際的には涙のあぶらに関する英文論文を70報以上Publishしており、涙のあぶらに関する論文数では世界一となっている。最近では一般の方へドライアイの正しい知識啓発のためYouTubeチャンネルを配信している。 https://linktr.ee/AritaReiko
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