海外展開したい楽曲は「Number_i / GOAT」が35%と一番高い支持 ーパルテノペ大学(イタリア・ナポリ)でJ-POPの海外展開を考察するワークショップ実施ー

GfK Japanは、パルテノペ大学にてイタリアの大学院生とのワークショップを実施した。ローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市ナポリに1919年に設立された王立海軍研究所が前身となるパルテノペ大学のMarketing and International Management 修士コースを履修する大学院生に向けて、 2024年4月10日にボランティアセミナーおよび学生によるJ-POPの海外展開を考察するワークショップをGfK Japan ライフスタイル事業部が実施し、その一部を6月13日に発表した。

【概要】

・7タイトルの選択曲のうち、海外展開したい楽曲は「Number_i / GOAT」が35%と一番高い支持を獲得
・「曲調」が選曲におけるもっとも重視される理由であり、ターゲット国・地域はEUとアメリカが最も多かった
・活用したいメディアはTikTokが60%超、Instagramが40%超と高い支持率があった
・海外展開戦略に必要なポイントは「アーティストのアイデンティティ」「海外アーティストとのコラボレーション」「オンラインでの存在感」「J-POP現象化」「ターゲット地域の徹底した市場分析」の5点

【海外展開を希望する曲(アーティスト)について】

 ワークショップに参加した学生は自分がプロデューサーまたはプロモーターであると仮定し、「Number_i / GOAT」「ME:I / Click」「Mrs. GREEN APPLE / ケセラセラ」「Vaundy/怪獣の花唄」「乃木坂46 /おひとりさま天国」「Official髭男dism / Subtitle」「Snow Man / Tapestry」(順不同)の7曲の中から1曲、海外で展開したい曲またはアーティストを選んだ。対象曲は、2024年4月1日の時点で欧米でのツアー開催や大きなフェスへの参加がないアーティストを軸にGfKにて選曲した楽曲である。学生はミュージックビデオをYouTubeにて90秒ほど視聴した後に1曲を選択した。 結果は、「Number_i / GOAT」が最も選ばれ、35%以上の学生から支持があった。 「ME:I / Click」「Mrs. GREEN APPLE / ケセラセラ」は約18%と各同等の支持を得た。 日本国内では人気を誇る「Vaundy/怪獣の花唄」「乃木坂46 /おひとりさま天国」「Official髭男dism / Subtitle」「Snow Man / Tapestry」は、イタリアの学生の視点では支持が低い結果となった(図1)。

【選曲の理由】

 参加者34名の学生に選曲理由について自由回答をしてもらい、その内容を抽出・置き換えた11のキーワード「グループ構成」「曲」「MV (ミュージックビデオ)」「好み」「歌詞・タイトル」「雰囲気」「ダンス」「世代感」「アニメ要素」「KーPOP」「インターナショナル」で割合を表した結果、「曲」を理由としたコメントが47.1%で最も高い選曲理由としてあがった。漠然と「好みの楽曲」という声も多くあがっていた。
 「Number_i / GOAT」「ME:I / Click」「乃木坂46 /おひとりさま天国」「Snow Man / Tapestry」といったボーイズグループ、ガールズグループの曲では、「MV(ミュージックビデオ)」が理由とする声もあった。「インターナショナル」というキーワードは、選曲上位2曲の「Number_i / GOAT」「ME:I / Click」だけに該当した事が特徴的だった。 日本の楽曲という“物珍しさ”を理由として選曲するのではなく、学生が「聞き馴染みのある楽曲」を選ぶ傾向があった(図2)。

【海外展開にあたりターゲットとする国・地域】

 海外展開をするターゲットの国・地域ついては、どの楽曲に対してもほぼ「EU」「アメリカ」の両方もしくは片方が選ばれ、この2地域は、イタリアの学生の視点では海外進出先として重視する地域と捉えていることがわかった。その他、「ME:I / Click」を選んだ学生からは「ブラジル」「アルゼンチン」の中南米が、「Mrs. GREEN APPLE /ケセラセラ」を支持した学生からは「インド」「インドネシア」といったアジアの国があがった(図3)。

【海外展開にあたり利用したいメディア】

 選曲した楽曲またはアーティストを海外展開するにあたりどういったメディアを活用するか、TikTokが1位の61.8%、Instagramが2位で41.2%、次にSpotify 17.6%、YouTube14.7%と続き4サービスがそれぞれ2桁の支持を得ており、イタリアの学生に身近なメディアであることが明らかになった(図4)。

【ワークショップのまとめ】

 学生のディスカッションの内容から、「アーティストや楽曲の強み・弱みを洗い出しアイデンティティを見直すこと」「ターゲット地域のアーティストとのコラボレーションは知名度UPだけでなく“信頼性”にもつながる」「ソーシャルメディアを駆使したオンラインでのプロモーション」「“J-POP”という枠組みとしての取り組み」、これらを効果的に動かしていくために「ターゲットとなる地域の徹底した市場分析の必要性」という海外展開の戦略における5つのポイントが改めて明確となった。

※ 「J-POPの海外展開を考察するワークショップ」概要

■ワークショップ期間:2024年4月10日
■ワークショップ方法:対面でのグループディスカッション
■ワークショップ参加対象:Parthenope University of NaplesのMarketing and International  Management 修士コースにてBrand ManagementおよびCross Cultural Managementを履修する大学院生 34名
■参加者属性:男性13名、女性21名、 国籍 イタリア31名、イタリア・ナイジェリアの二重国籍1名、オランダ1名、カザフスタン1名
■ディスカッションのベースとなる質問(全9問のうち4問の結果を本プレスリリースにて紹介)
 1. 海外で売り出したい曲(アーティスト)を1曲選んでください。
 2. なぜこの曲(またはアーティスト)を海外でプロモートすることに選びましたか?
 3. あなたが選んだ曲やアーティストの海外戦略は、どの国や地域をターゲットにする予定ですか?
 4. どのソーシャルメディア、デジタルメディア、トラディショナルメディアを使いますか?
 5. それらのメディアに対して、どのようなプロモーションやキャンペーンを考えていますか?
 6. インフルエンサーを起用しますか?もしそうであれば、どのインフルエンサーを起用し、どのような活動を計画しますか?
 7. アーティストが参加するにはどんなフェスティバルがいいと思いますか?
 8. そのアーティストのワールドツアーを企画するとしたら、どの国を訪問しますか?
 9. これまで学んだブランド・マネジメントの知識を駆使して、あなたが選んだ曲(アーティスト)の海外戦略についてまとめてください。

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