「籾殻炭バイオ堆肥ペレット」と「J-クレジット」を通じた米生...

「籾殻炭バイオ堆肥ペレット」と「J-クレジット」を通じた米生産者の収益向上・地域産業の活性化をめざす取り組みを開始

~長岡地域発の持続可能な地域循環型農業モデルを構築~

 長岡地域資源循環プロジェクトN.CYCLE※1参画企業の岩塚製菓株式会社(以下 岩塚製菓)・えちご中越農業協同組合(以下 JAえちご中越)・株式会社ホーネンアグリ(以下 ホーネンアグリ)・株式会社ネオス(以下 ネオス)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、「籾殻炭バイオ堆肥ペレット」の使用や「J-クレジット」の創出などを通じて、米生産者の収益向上・地域産業の活性化推進をめざす取り組み (以下 本取り組み)を開始します。


1.本取り組みの背景

 近年、気候変動の影響により過去に経験したことがないような高温や降雨が相次いでおり、コメの収量低下による収益低下が起こりやすくなってきています。そこで、気候変動対策と併せ圃場環境の改善によって米生産者の収益向上をめざし、今秋より長岡地域で本取り組みを開始します。


2.本取り組みの詳細

(1)お米の品質安定化と作柄向上

 土づくりメーカーのホーネンアグリは、JAえちご中越が集約した籾殻炭と、日本のお米を100%使用する米菓メーカーの岩塚製菓がお米を磨いた際に出る研磨粉を堆肥の一部として利用した『籾殻炭バイオ堆肥ペレット』を開発しました。

 JAえちご中越の営農指導により秋に稲わらや稲株をすきこみ腐熟を促す「秋耕」を行いながら、『籾殻炭バイオ堆肥ペレット』を施用することで、水田の肥沃度の向上を図ります。

(2)バイオ炭(籾殻炭)および中干延長を利用した温室効果ガスの削減

  稲作に起因する温室効果ガスの排出量を減らし気候変動対策への貢献を実現するため、籾殻の炭化および中干延長を行います。

・籾殻の炭化とは

稲の収穫後に大量に発生する籾殻に含まれる炭素は、焼却もしくは土壌へのすきこみ後の微生物による分解により、CO2として大気中に放出されます。しかし、炭化させること(「バイオ炭※2」にすること)により炭素は固定され大気中へ放出されなくなります。

・中干期間の延長とは

田んぼに水を張ると、土壌に存在する嫌気性のメタン生成菌がメタンガスを発生させます。メタンガスの排出を抑制させるために、稲作期間中に田んぼから水を抜く「中干期間」を通常より延長することが効果的と言われています。


(3)「J-クレジット」の創出・利活用

 (2)の取り組みは、CO2などの排出削減・吸収量を「クレジット」として国が認証する制度である「J-クレジット制度」の認定対象にもなります。NTT Comが中心となり「J-クレジット」の創出支援と市場への流通を行い、その売却益を取り組み実施農家に還元することで、水田の肥沃度向上活動を支援します。一方、中干期間の延長によるお米の品質低下や収量減も懸念されることから、JAえちご中越によるきめ細かな営農指導も実施します。


(4)環境配慮米の活用、エシカル消費の理解醸成

 JAえちご中越・岩塚製菓・NTT Comは、環境配慮米やその加工品の販売を行うほか、岩塚製菓は長岡地域米の消費拡大をめざします。ネオスは、エシカル消費に関する国民の理解と関心を増進するため、プロモーション企画などに取り組みます。


<本取り組みのイメージ>


3.今後の展開

 5者は本取り組みで構築する地域循環型農業モデルを通じて、お米を取り巻く産業に新たな価値を創造し、持続可能な循環型社会をめざします。また、2030年度までにバイオ炭を利用したカーボンクレジットの取り組みを累計900ha、水稲栽培の中干し期間を延長することによるカーボンクレジットの取り組みを累計7,000haの実施をめざします。


※1:N.CYCLEは、「長岡バイオエコノミーコンソーシアム」の共同事業の1つとして、『田のモノを田に還す』をキーワードに地域資源循環プロジェクトの社会実装を行うプロジェクトです。

https://ncycle-nagaoka.jp/

※2:バイオ炭とは、「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」と定義された炭のことであり、土壌への炭素貯留効果が認められています。


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