スリール株式会社、中学・高校の家庭科授業で ライフキャリアデザインを実施
~授業を通じて中高生の結婚や子育てに対する意識が大きく変化~
スリール株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役:堀江 敦子)は、こども家庭庁が策定した「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」*1に基づき、「地域等の特色を活かし具体的活動を推進する人材養成に係る先進事例の創出」事業を2024年度受託しました。
その一環として、中学・高校の家庭科において、ライフキャリア教育授業の取り組みを行いました。この取り組みの内容と、中学・高校生の授業実施前後の意識調査での課題、実施による効果についてご報告します。
*1 こども家庭庁「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン (はじめの100か月の育ちビジョン)」
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo_sodachi
■中・高校向けライフキャリア教育の必要性
厚生労働省が2024年11月5日に公表した人口動態統計(概数)*2によると、2024年1月から6月に生まれた子どもの数(出生数)は、前年同期比6.3%減の32.9万人。外国人を除いた出生数は通年で70万人を割る公算が大きいことが発表されました。このまま少子化が加速すると、2050年ごろには日本の人口は1億人を下回るという深刻な人口減少に直面します。
*2 厚生労働省 人口動態統計(概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2024/06.html
これは、国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」*3の結果にある「未婚者の平均希望子ども数」で男性1.82人、女性1.79人と、2015年の2.02人(女性)を大きく下回っていることからもわかるように、子どもを希望する若い世代が急速に減少しています。このことから今後重要になってくるのが、若い世代が子育てを前向きに考えられる環境づくりであると言えます。
*3 「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp
当社では、2010年より大学生を対象に子育て体験を通じて「働くこと」や「家庭を築くこと」を学び、体験を通じて自分の理想像を描くライフキャリア教育プログラム「ワーク&ライフ・インターン」を提供してきました。これまでに3,000回以上実施し、多くの大学生が将来のパートナーシップや結婚、子育てに対して前向きに選択できる意識を持つ成果を上げています。
しかし、本プログラムは大学・短大進学率60.4%の現状では*4、すべての若者に実施することが難しいという課題がありました。この課題を解決するため、中学・高校の家庭科の授業内でライフキャリア教育を導入する必要性があると考えました。
*4 文部科学省 男女別・18歳人口と大学進学率等の推移
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000255573.pdf
中学・高校生の年代は、子どもから大人へと成長していく重要な時期です。この時期にライフキャリア教育を推進することは、将来のライフイベントを主体的に選択するための基盤を築く上で大きな意義があります。
そこで、三田国際学園中学校および品川女子学院高等部の家庭科の授業において、ライフデザインに関する特別授業を実施しました。
■パートナーシップ・結婚や子育てに対する意識の変化:授業後に80%以上が前向きに
今回実施した授業において、実施前後で行ったパートナーシップ/結婚や子育てに対する意識の変化と、実施内容についてお伝えします。
1. パートナーシップ/結婚に対する意識(三田国際学園中学校)
事前アンケートで「パートナーと共に暮らしたいか?結婚したいか?」の質問に対して、40%もの生徒が「分からない」と回答。半数近くの生徒が結婚に対する明確なイメージを持っていませんでした。
●「はい」:53.1%
●「いいえ」:6.2%
●「分からない」:40.7%
しかし、授業後のアンケートで「パートナーを得ること・結婚について前向きになりましたか?」の質問に対して、肯定的な回答が80.8%に増加し、大きな意識変化が見られました。
●「とてもそう思う」:33.3%
●「そう思う」:47.5%
2. 子育てに対する意識(三田国際学園中学校)
事前アンケートで「子どもを持ちたいか?育てたいか?」の質問に対して、39.5%が「分からない」と回答。
●「はい」:49%
●「分からない」:39.5%
●「いいえ」:11.5%
しかし、授業後のアンケートで「子育てについて前向きになりましたか?」の質問に対して、肯定的な回答が83.4%となり、事前アンケートの49%から約34%向上しました。
●「とてもそう思う」:45.5%
●「そう思う」:37.9%
■事後アンケートの結果から見えた気づき(三田国際学園中学校・品川女子学院高等部)
授業を通じて、中学生・高校生は以下の点に気づくことができました。
●結婚や子育ては多様な形があること
今回の授業実施によって、身近な大人やメディアからの情報に偏りがあることが明らかになりましたが、授業を通して具体的な事例を学ぶことで多様な視点を得ることができました。生徒たちは現実的かつポジティブな結婚や子育てのイメージを持つようになりました。
生徒コメント例:
「赤ちゃんが可愛くて、子育てが楽しいものだと感じました。」
「子育てをしていても自分の時間が取れるとわかった。」
●「難しそう」と感じていた障壁の緩和
子育てや働き方に対する「大変そう」「無理そう」といった印象が、支援制度や両立方法を学ぶことで現実的な選択肢として捉えられるように変化しました。
生徒コメント例:
「仕事と子育てを両立できている話を聞いて、少し安心しました。」
「様々な働き方があることを知り、将来に希望を持てた。」
これにより、授業が単なる知識提供にとどまらず、結婚や子育てに対する主体的な意識や前向きな考え方を芽生えさせる重要な役割を果たすことが明らかになりました。
■今後の展望
●家庭科でのライフキャリア教育の充実
多様な「働き方」、具体的な「子育て支援制度」「家庭生活の両立方法」について学ぶ機会を増やし、ライフキャリアの知識を早い段階から提供したいと考えています。
●ロールモデルの提供
多様なキャリアや家庭生活を経験した大人の事例や体験談を共有することで、将来設計の選択肢が広がり、現実的な目標を見つけることができます。
このような教育の充実が、結婚や子育てに対する前向きな意識を育て、少子化対策に向けた根本的な意識改革に繋がると考えられます。そのため、中高の家庭科における年間を通じたカリキュラムを構築する予定です。
■授業実施報告
●三田国際学園中学校
授業実施日時:2024年11月6日(水)
1年B組 2時間目/1年D組 6時間目
2024年11月7日(木)
1年F組 1時間目/1年A組 2時間目/1年C組 3時間目
2024年11月18日(月)
1年E組 5時間目
対象生徒数 :計258名
<授業概要>
・テーマ
将来を考えるライフキャリア教育
・内容構成
イントロ…未来のなりたい姿をイメージ
ワーク…人生をシミュレーションしてみよう!
ワーク…「学び(Learning)」「働く(Labor)」「愛(Love)」「余暇(Leisure)」の4つのLを活用し、自分らしい人生を考えよう。
パパママ先生のお話…多様なキャリアや生き方の体験談を通じ、価値観の広がりを促進。
●品川女子学院高等部
授業実施日時:2024年11月27日(水)
1年E組 3時間目・4時間目(2コマ連続、各50分授業)
2024年11月29日(金)
1年D組 3時間目・4時間目(2コマ連続、各50分授業)
対象生徒数 : 計81名
<授業概要>
テーマ:未来を設計するライフキャリア教育
○1コマ目:イントロダクションとワーク「なりたい姿ワーク」
・自分の将来像を具体的に描き、課題や実現方法を考える活動。
・多様な価値観に触れることで、自律的なキャリア設計力を養成。
○2コマ目:「パパママ先生のお話」
・ゲスト講師から「仕事」「子育て」「家事」「家族」に関するリアルな体験談を聞く。
・グループワークでの質問を通じ、多様なキャリアの可能性を考える機会を提供。
■スリール株式会社 代表取締役 堀江 敦子のコメント
弊社は、創業時の2010年から大学生が、「働くこと」、「家庭を築くこと」をリアルに学び、実際に体験することで、自分のなりたい姿を描くことができる「ワーク&ライフ・インターン」を推進してきました。プログラムを体験した多くの学生たちは、自身の未来が楽しみだと感じ、社会に向けて羽ばたいていきました。一方で、いまだ多くの子どもたちが、パートナーシップ/結婚に対する意識や育児をすることに対して、大きな不安を抱き、これらの選択を自分の人生に関係ないものと壁を築いてしまっている現状があります。
長年、大学生に向けてプログラムを実施してくる中で、大学生が持っているネガティブな価値観や固定観念を、もっと若い世代から払拭していくことで、人生の選択肢を増やす要因になるはずだと考えるようになりました。
今回実施を行ったのは、中学・高校の家庭科のたった1~2コマの授業でしたが、それだけで生徒たちの意識が大きく変化することを目の当たりにし、驚きとともに、強い手応えを感じています。
少子化対策としては、子育て支援や結婚支援なども大切ですが、これから社会人として人生の選択をしていく中学生・高校生がどのような意識を持っているかが、将来を形づくる上で重要なファクターとなります。すでに引き返せないところまできていると言われている少子化問題ですが、10年後・20年度の未来を変えていくために、これからも活動を続けていきます。
■若年層に向けたライフデザイン教育の導入と効果についてのアーカイブ動画
スリール株式会社が提供する、体験学習型キャリア教育プログラム「ワーク&ライフ・インターン」を軸としたライフデザイン教育事業について、その実施内容や効果、導入実例などについて解説する動画です。若年層に向けたライフデザイン教育の導入と効果をご理解いただけます。
https://sourire-heart.com/16536/
■スリール株式会社企業概要
代表者 : 代表取締役 堀江 敦子
設立 : 2010年11月
所在地 : 〒113-0033 東京都文京区本郷三丁目30-10 本郷K&Kビル5階・6階
小野田総合法律事務所内 social hive HONGO
HP : https://sourire-heart.com/
業務内容: ライフとキャリアのデザイン教育(ワーク&ライフ・インターン運営)、
企業向けコンサルティング・研修、個人向けセミナー開催など
記事掲載数No.1!「@Press(アットプレス)」は2001年に開設されたプレスリリース配信サービスです。専任スタッフのサポート&充実したSNS拡散機能により、効果的な情報発信をサポートします。(運営:ソーシャルワイヤー株式会社)