紫光技研の海中防藻装置が 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の 北極域研究船「みらいⅡ」に採用
株式会社紫光技研(所在地:兵庫県淡路市、代表取締役:平山 真帆)は、独自技術のプラズマ方式水銀フリー深紫外線面光源UV-SHiPLA(UVシプラ)を用いた海洋分野での応用製品として、海中防藻装置を開発して製造販売しています。これは波長275nmブロード発光のLAFi275B面光源からの紫外線(UV)照射により海中微生物を不活化して藻類・貝類の付着を防止する装置であり、今回「みらいⅡ」船内にあるムーンプールの船底ハッチを開閉するための油圧シリンダ・ロッドの防藻装置として導入されました。
北極域研究船「みらいⅡ」の船内には、図のようにムーンプールと呼ばれる喫水線まで海水を満たした開口部があり、その船底にあるハッチを開けて観測機器を出入りさせることができます。ハッチを開閉するために油圧シリンダを使用しますが、伸縮するロッド部に藻類や貝類など海中生物が付着して固化するとスムーズに動作できなくなり油圧シリンダ損傷の恐れもありました。常に海水中にあるため付着物除去の難しさも問題になっていました。
「みらいⅡ」では、海中生物の付着を防止するため、ロッド伸縮部の全域にわたりUV照射するよう設計した耐水圧容器入りのLAFi275B面光源を取り付けました。275nmブロード発光波長は、海水透過性が良く様々な海中生物の吸収波長帯を含むため、不活化効果が高く、間欠照射で十分な付着防止ができます。低消費電力で長寿命の装置を実現しました。
「みらいⅡ」は2025年3月19日に進水式を終えており、運用開始が待たれます。今後当社の防藻装置が様々な海洋研究に貢献すると期待しています。
参考) JAMSTEC 北極域研究船プロジェクト https://www.jamstec.go.jp/parv/j/
ムーンプール https://www.jamstec.go.jp/parv/j/equipment/
図は、ムーンプール運用イメージです。
「みらいⅡ」ムーンプール運用イメージ
写真は、耐水圧容器入り11cm×11cm LAFi275B面光源(上)および連結拡張して油圧シリンダ・ロッドへの照射に最適化した5連結型防藻装置(下)
耐水圧容器入りLAFi275B面光源 容器外径 190×190×57.5(mm)
5連結型防藻装置 水中UV点灯試験の様子 連結長1m 油圧シリンダ両側に対面配置
写真の防藻装置のほか、よりコンパクトな光源バリエーションの防藻光源3種、および採水用海水滅菌装置、その他当社の紫外線光源製品を2025年4月23日~25日にパシフィコ横浜『OPIE'25』展示会の当社ブースで展示します。
<開発の経緯>
2017年よりJAMSTEC技術開発部・中野 善之博士のご指導をいただき海中防藻光源の開発を開始しました。実験室での防藻効果検証と改良を経て、2019年から実際に海中に沈めて使用できる耐水圧容器入り防藻光源の開発を行い、2020年に今回の防藻装置の原型となる8cm×8cm防藻光源装置をJAMSTECに納入しました。中野 善之博士による海中センサの生物付着防止実験により、高い付着防止効果が実証されています。1)
「みらいⅡ」向け防藻装置は2024年1月にJAMSTECから検討依頼を受け7月に受注、12月に納入して設置動作試験を終えています。
1) 中野 善之, 脇田 昌英 「深紫外線面光源を用いた係留機器用生物付着防止装置の開発」2023年度日本海洋学会秋季大会, 2023年9月25日
<UV-SHiPLA海中防藻装置の仕様・特長>
・耐水圧容器により水深16mまで対応、海中ケーブル(最大25m)付属
・UV点灯制御・電源装置:最大20個の面光源を点灯制御すると同時に個別に点灯状態を検知するアラーム機能あり
・光源1台当りの標準消費電力1.7W(最大2W)、AC100Vほかバッテリやソーラーパネル給電に対応
・海水透過性が良く海中微生物の吸収波長を含む275nmブロード発光波長を採用
・11cm×11cm面光源1台、照射距離10cmのとき、最大で直径28cm範囲まで生物付着防止効果
・間欠点灯で省エネ動作・長寿命、標準的な運用で光源交換寿命5年
<想定する応用分野>
海洋観測・研究分野、防衛分野
養殖、洋上風力発電など海洋ビジネス分野
これら分野における海中センサ、海中機器、および海中駆動機構などの生物付着防止
<UV-SHiPLA紫外線面光源の特長>
水銀フリー:水銀不使用、その他環境問題のある材料も不使用
プラズマ方式:キセノンプラズマを利用し短波長の紫外線を効率よく発生
面光源:小面積から大面積まで幅広い照射面に対応、タイリングによる拡張が可能
発光波長:UV蛍光体により最適な発光波長の選択・組合せが可能
高速点灯・安定性:電源投入後すぐに安定発光。点灯制御により省エネ運転が可能
UV-SHiPLAは当社の紫外線光源および紫外線応用製品の登録商標です。
<会社概要>
会社名: 株式会社紫光技研
代表者: 代表取締役 平山 真帆(ひらやま まほ)
所在地: 〒656-2304 兵庫県淡路市浜1-81
URL : https://shiko-tec.co.jp/
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