高齢者のくるみ摂取で血中コレステロール濃度が好転 健康面でくるみの効果を探る最新研究を発表
カリフォルニア くるみ協会(本部:米国カリフォルニア州、以下 CWC)は、25年以上にわたって、くるみと健康に関連した調査研究を支援してきました。
そしてCWCが支援した研究の一つ、「くるみとヘルシーエイジング(the Walnuts and Healthy Aging: WAHA ※1)」に関する研究の初期の成果が、2016年4月4日、Experimental Biology 2016(以下 EB 2016 ※2)にて公表されました。そこでは、高齢者がくるみを毎日摂取すると、体重に悪影響を及ぼすことなく血中コレステロール濃度が好転すると示されています。
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くるみとヘルシーエイジング
(※1)WAHA研究…バルセロナ・ホスピタルクリニックとロマリンダ大学の研究者が実施した、2年間にわたる二元臨床試験で、加齢に関連した健康問題に対するくるみの効果を調べる目的で行われています。
(※2)EB 2016…Experimental Biology 2016。2016年4月2日から6日にかけてサンディエゴで開催されるEBの年次会議では、食や健康に関する調査研究が発表され、世界各国から14,000人を超える第一線の研究者や発表者が参加します。
CWC(日本語サイト)
http://californiakurumi.jp/
EB 2016
http://experimentalbiology.org/2016/Home.aspx
【「くるみとヘルシーエイジング」研究例】(*1)
研究者は、707人の健康な高齢者を2つのグループに分け、一方には通常の食事に1日量のくるみ(カロリー摂取量の15%以下)を追加し、もう一方にはナッツ類抜きの通常の食事をとるよう指示しました。707人の参加者には、総カロリーと多量栄養素の摂取量に関する助言や、くるみに代わる食品についての助言は与えられませんでした。
そして1年後、どちらの食事でも体重、トリグリセリド、HDLコレステロールに対する影響は、ほとんど見られないことがわかりました。
しかし、くるみを追加した食事をとったグループでは、ナッツ抜きの食事をとった対照グループと比べて、LDLコレステロール値が大幅に低下していました。
【くるみが及ぼす健康要因においてEB 2016で公表された3つの最新研究結果】
1.腸の健康(*2)
食品の選択と腸内微生物叢は、人間の健康に重要な役割を果たしている。
米国農務省(USDA)農業研究局の研究者が行った最新研究は、心臓の健康に対するくるみの効能が腸の健康にどのように結びついているかを、18人の健康な成人を対象に調べたものである。
研究の結果、毎日1.5オンス(約42.5グラム)のくるみを摂取すると、心臓の健康の指標として知られている2つの要素(炎症とコレステロール)の低下という好ましい形で、腸内微生物に大きな影響を及ぼすことがわかった。
これらの結果は、くるみ等のナッツ類の摂取が心臓の健康に及ぼす効果について理解を深めるのに役立つ。
2.空腹反応と満腹反応(*3)
ジョージア大学の研究者によって、毎日摂取する脂肪の種類によって空腹反応や満腹反応といった長期的な食欲反応が変化する可能性が、初めて示された。
活動量の少ない標準体重の成人18人が飽和脂肪の多い高脂肪食を摂取した後、7日間にわたって、無作為に、多価不飽和脂肪の多い食事、または対照グループとして通常の食事が割り当てられた。その結果、飽和脂肪の多い食事が続いた後に多価不飽和脂肪の多い食事をとると、空腹マーカーと満腹マーカーが好ましい方向に変化することが判明した。くるみには1オンス(約28グラム)当たり13グラムの多価不飽和脂肪が含まれており、多価不飽和脂肪を摂取する手段として、非常に有効である。
3.健全な代謝(*4)
オレゴン州立大学の研究者による最新の動物研究では、典型的な高脂肪の西洋食に、くるみおよび高ポリフェノール食品を追加し、そのような食事がオスのマウスの代謝機能の健全さにどのような影響を及ぼすかを調査した。その結果、くるみを含む食事にラズベリー、チェリー、緑茶等の高ポリフェノール食品を追加すると、炎症の抑制に効果がある可能性が示された。くるみを単独で、もしくは他の高ポリフェノール食品と一緒に摂取したマウスには、肝臓遺伝子の発現および代謝物質レベルの変化(どちらも代謝状態の改善を示す)に加え、メタボリックシンドロームに関連する要素にも著しい改善効果が見られた。この研究は動物で行われたため、現段階では研究成果をそのまま人間に当てはめることはできない。
<結論>
くるみが生体に及ぼす作用には、こうした健康効果に寄与する要素があるかもしれないと考えます。くるみは多価不飽和脂肪(1オンス当たり13グラム)を非常に多く含んでいるという点で、ナッツ類の中でも特異な存在で、この脂肪には植物由来のオメガ3脂肪酸であるαリノレン酸(ALA)が含まれています。
1サービング(1オンス=約28グラム)当たり2.5グラムという多量のALAを含んでいるのは、ナッツ類の中でもくるみだけです。日本では、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で、1日に必要なオメガ3脂肪酸を1.6~2.4g(成人男女の目安量)としていますが、一掴みのくるみで、1日の摂取量に十分なオメガ3脂肪酸を摂ることができます。
現段階では、EB 2016で公表された要旨から科学的結論を引き出すことはできませんが、こうした研究成果を見れば、健康的な食事の一環としてくるみを摂取するのは効果的かもしれない、という認識を深めることになると考えられます。これらの研究はすべて、CWCで行われています。そして、それらの研究の要旨は、CWC(U.S.A)(※3)のアーカイブに追加されつつあり、現在では190件以上のくるみ研究発表資料が収められています。CWCはさまざまなプロジェクトに資金やくるみ、または両方を提供していますが、実際の研究(実験の企画、結果の解釈、論文の執筆)は、研究者らによって独自に行われています。
(※3)CWC(U.S.A)
http://www.walnuts.org
【エミリオ・ロス博士(※4) コメント】
くるみは高エネルギー食品なので、長期にわたって摂取すると体重が増加するのではないか、と懸念する人が多いようです。しかし、WAHA研究の予備的な結果によれば、普通の生活をしている高齢者の多人数のグループで、1年間にわたってくるみを毎日摂取しても、体重の増加は見られないことが示されています。また、くるみの効能として知られているコレステロールを下げる効果が、高齢者でも同じように働き、長期間にわたって効果が続くことも示されました。体に良い脂肪などの栄養素をくるみから摂取しつつ、体重を増やさず、血中コレステロール濃度を下げるのは、高齢者が全体として望ましい形で栄養をとる際に、重要なことです。くるみの摂取が高齢者にとってメリットとなる可能性が見えたのは、明るい話題と言えます。
私たちは今後もWAHA研究を続け、特に、くるみの摂取が、認知機能の低下や加齢による黄斑変成といった公衆衛生上の大きな問題に、どのような効果を及ぼすかを評価していきます。
(※4)エミリオ・ロス博士…バルセロナ・ホスピタルクリニックの脂質クリニック内分泌・栄養局(the Lipid Clinic, Endocrinology & Nutrition Service)で働く博士
【CWCについて】
1987年に設立されたCWCは、生産者の課徴金から資金を得ています。カリフォルニア州の代理機関として、カリフォルニア州食品農業局(CDFA)の長官と協調して活動しています。CWCは主に健康に関する研究活動と輸出市場の開拓活動を行っています。
CWCのホームページでは、くるみのレシピ、栄養や健康効果を紹介しています。
CWCはさまざまなプロジェクトに資金やくるみ、または両方を提供していますが、実際の研究(実験の企画、結果の解釈、論文の執筆)は、研究者らによって独自に行われています。
http://www.californiakurumi.jp/
(*1)くるみとヘルシーエイジング(WAHA):「1年間のくるみ摂取が高齢者の血中脂質に及ぼす効果:くるみとヘルシーエイジング(WAHA)に関する研究の成果(Effect of a 1-Year Walnut Supplementation on Blood Lipids among Older Individuals: Findings from the Walnuts and Healthy Aging (WAHA) study)」
(*2)腸の健康:「くるみ摂取がヒトの腸内微生物叢に及ぼす影響(Walnut Consumption Influences the Human Gut Microbiome)」
(*3)空腹反応と満腹反応:「高PUFA食の前後の高飽和脂肪食に対する空腹反応と満腹反応(Hunger and satiety responses to saturated fat-rich meals before and after a high PUFA diet)」
(*4)健全な代謝:「高脂肪の肥満原因食にくるみと他のホールフードを加えた餌を与えられたマウスに見られる代謝機能の改善と遺伝子発現および代謝パターンの変化(Mice Fed High-fat Obesigenic Diets with Walnut Plus Other Whole Foods Demonstrate Metabolic Improvement and Changes in Gene Expression and Metabolomic Patterns)」
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