【スナップスナップ 『親・子ども・先生 きずなプラス プロジェクト』 セミナーレポート】 玉川大学大学院 大豆生田 啓友 教授× 日本総合研究所 池本 美香 氏 「園に地元の写真館が入ることで、 保育の質向上や園・地域の活性化につながる」
産学共同研究「園の写真を媒介にした親子のおしゃべり」発表も同時開催
株式会社フォトクリエイト(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:大澤 朋陸、以下 当社)が運営しているスクールフォト向けインターネット写真販売サービス「スナップスナップ」は、2015年11月に立ち上げた「写真×IT技術」を通じて家族のコミュニケーションや教育・保育に貢献するための『親・子ども・先生 きずなプラス プロジェクト』を進めております。本プロジェクト活動の一環として、2017年2月13日(月)に大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)でメディアセミナーを開催しました。
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2017年2月13日実施「保育の未来~今こそ求められる、親・まちに開かれた保育~」セミナー
当日は当社代表取締役社長 大澤 朋陸による挨拶から始まり、第一部基調講演「保育の未来~今こそ求められる、親・まちに開かれた保育~」では、玉川大学大学院 教育学研究科 大豆生田 啓友教授より、保育の現状、家庭・地域との連携・協働する保育の必要性について最新事情を交えながらお話しいただきました。第二部では、玉川大学 教育学部 兼 脳科学研究所 岩田 恵子教授から産学共同研究「園の写真を媒介にした親子のおしゃべり」について発表していただきました。
▼2017年2月13日実施「保育の未来~今こそ求められる、親・まちに開かれた保育~」セミナー
https://www.atpress.ne.jp/releases/124428/img_124428_1.jpg
第三部パネルディスカッションでは、玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 田澤 里喜准教授をファシリテーターに迎え、2つのテーマについて議論しました。
まず、1つ目のテーマ「親が保育を楽しむ仕掛け」では、パネラーに玉川大学大学院 教育学研究科 大豆生田 啓友教授、株式会社日本総合研究所 主任研究員 池本 美香氏、玉川大学 教育学部 兼 脳科学研究科 岩田 恵子教授の3名を迎えお話しいただきました。
続いて、2つ目のテーマ「まち保育」では、引き続きパネラーに大豆生田教授、池本氏に加え、有限会社西脇写真館(新潟)取締役 西脇 拓氏を迎え、3名でお話しいただきました。
【基調講演:「保育の未来~今こそ求められる、親・まちに開かれた保育」】
- 大豆生田 啓友教授(玉川大学大学院 教育学研究科)
「親・まちに開かれた保育」をテーマに、保育の現状、家庭・地域との連携・協働する保育の必要性について大豆生田教授に講演いただきました。
■乳幼児期の教育・保育は、「量から質」の時代へ
世界における保育の考え方の流れと、今後より重視される社会情動的スキルについて、以下のようにお話しいただきました。
「多くの先進国では、乳幼児期の教育・保育の質に投資をすることが大きな流れにある。そんな中、日本で保育が語られるとき、SNSでつぶやかれた待機児童の問題や、男性保育士のおむつ替えについてなど、周辺のことをネガティブに語られることが多い状況である。」と、保育の質の議論に行きつかない日本の現状について触れられました。
その上で、まもなく改訂される幼稚園教育要領や保育所保育方針の改訂のキーとなっている、非認知能力(社会情動的スキル)を基盤とした考え方について、お話しいただきました。
「子どもの学びについて、一般からみると目に見える力を育てることの方が、将来に役立つようにみえる。しかし、さまざまな研究の中では、むしろ目に見えない力である社会情動的スキル(忍耐力・社交性・思いやり等)の方が役立つと言われている。2016年のベネッセ調査によると、園で「遊び込む経験」が多い子の方が、小学校以降の「学びに向かう力」が高いという結果がでている。ここにある「遊び込む」というのは、単に遊ぶということではなく、豊かな環境を通してそこに問いや探求をする、子ども主体の協同的な学びである。」と、乳幼児期には多様な体験が必要であることを主張されました。
▼大豆生田 啓友教授(玉川大学大学院)
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■家庭・地域との連携・協働する保育を必要とする背景
そもそもの保育のあり方や、現代の保育の困難状況について、「人間の子育てはそもそも「共同育児」を基盤としていたことを考えると、現代の子育ては園・家庭・地域が分断してしまっていることに問題を感じる。」と考えを述べられ、また最近、保育園を「迷惑施設」として受け取られる背景には、「地域住民が子どもと関わる機会がなくなってしまっていることが原因だと思われる。そして、子どもの育ちの観点からも、多様な人や資源との関わりによる直接体験が欠如している中で、なかなか「遊びが学び」ということが認識されにくい時代になっているといえる。」と現在の保育を取り巻く地域環境について、語られました。
■家庭・地域との連携・協働から考える3つの視点
上記の背景を踏まえて、以下3つの視点でお話しいただきました。
1) 第1の視点:自治体における協働
東京都墨田区では、地域住民も参加する「子ども・子育て会議」で、保育所の数だけでなく、地域の子育て環境をもっとよくできないか考えさまざまな案が出た。例えば、「公立・私立・幼稚園・保育園」がみんな一緒になって保育の質を高めることをしようと取り組みをしている。公開保育をして、いろいろな人に見てもらい、子ども主体の保育、協働的な学びの模索を始めている。
横浜市では今まで「待機児童ゼロ」を掲げていたが、今は「質の横浜」に転換し始めていて、実現のための取り組みとして、1年かけて各園に園内研修コーディネーターを育成する講座を始めた。この4月以降には幼稚園・小学校も同様の取り組みを始め、乳幼児期の教育を小学校までつなげる幼保小の連携の動きも出ている。
2) 第2の視点:保護者への発信・参画
横浜・ゆうゆうのもり幼保園では、親たちのサークル活動(例:バンド活動など)が盛んであることを紹介。PTAのような義務ではなくて、自分たちのやりたいことを通して、しかもそれが子どもに還元される良い循環がある。
また保育園や幼稚園を地域の親子が集う場所として活用しきれていないことで、特に地域の専業主婦家庭の母子が社会で孤立してしまっている事例が相当数あるので、集いの場や親同士の助け合いは必要になってくる。
また、写真が今保育の中で有効なツールになっていることについて、写真にコメントを付したドキュメンテーションとポートフォリオを例にあげながら説明した。ドキュメンテーションについては、2つの効果があり、1つは親との対話のため、2つめは先生同士の対話に使える。写真にコメントをつけることにより、園であった「学びのストーリー」をエピソードを通して、保護者に理解してもらう助けとなる。個人のポートフォリオ(写真を使っての個人記録)についても、用いることで園と親とのコミュニケーションの理解が深まるツールとなる。
3) 第3の視点:地域との連携・協働(まち保育)
カメラを持ってお散歩に行く事例について、以下のようにお話しいただきました。
「子どもたちがお散歩中にカメラを持って街にでていく活動があり、ただ撮影しているだけでなく、住民に対して「ありがとうカード」を渡す活動などをおこなった。そうしたふれあいの中で、保育園に関わりのなかった住民たちも、子どもを身近なものに感じていく。このように園から出て地域に出向いてつながりを持っていく活動は、迷惑施設としての保育園が払拭されていくことにつながる。」
また子どもの家庭での体験がまちへ派生していく様子も事例を紹介いただきました。
「ある子の家庭での陶芸体験から、カフェをやるということになり、実現にむけて街にある実際のカフェで体験をしたり、実際の働きぶりをみて自分たちのカフェに還元していくこと(エプロン作りや案内状の作成など)ができるようになった。子どもにとって地域と深く関わることは地域を愛する気持ちにもつながる。一方、地域住民にとっても地域の場が子どもや家庭に親しんでもらえる機会にもなり、結果、まち保育は「まちを育てる」ことにもつながると考える。」
【産学共同研究「園の写真を媒介にした親子のおしゃべり」発表】
- 岩田 恵子教授(玉川大学 教育学部 兼 脳科学研究科)
https://www.atpress.ne.jp/releases/124428/img_124428_3.jpg
「園の写真を媒介にした親子のおしゃべり」の研究結果の考察として、次のように発表されました。
■研究結果
1) 年長さんの写真なしの場合とありの場合のおしゃべり内容比較
<写真なしの場合>
当日の様子であっても、子どもからは遊びの種類のみの発言にとどまっている。親が質問をしない限り、それ以上の情報を得ることが難しい。
<写真ありの場合>
子どもの話す内容がより具体的になり、遊びの詳細まで語られるようになった。また、3日前の様子であっても子どもから遊びの詳細を聞くことができた。写真がある場合は、子ども自身から話しやすくなり、また親も質問をしやすくなる。多くの情報があることで、おしゃべりしやすく楽しみやすくなるといえる。
2) 年少さんの写真なしの場合とありの場合のおしゃべり内容比較
<写真なしの場合>
親がさまざまな方法で質問をし、子どもがそれを模倣するかたちでおしゃべりがすすむ。子どもから自発的な情報を得ることが難しい。
<写真ありの場合>
情報量が多いことから親が質問をしやすくなり、子どもとのおしゃべりが楽しみやすくなるといえる。
本研究でご協力いただいた東一の江幼稚園の園長でもある、田澤准教授からは以下のような感想をいただきました。「実施後の親御さんのアンケートに答える姿が印象的でした。また、楽しかったという感想を言われる方も多く、「楽しかった」の中身は、子どもの遊びの中の学びの様子が可視化し理解できたことだと思います。それを聞いて、もっともっと園内の様子を可視化していかなければならないなと再認識しました。」
※調査結果の詳細は、2017年2月17日(金)に配信したプレスリリースをご参照下さい。
URL: http://www.photocreate.co.jp/news/3734.html
【パネルディスカッション(1):「親が保育を楽しむ仕掛け」】
パネラー:
- 玉川大学大学院 教育学研究科 大豆生田 啓友 教授
- 株式会社日本総合研究所 主任研究員 池本 美香 氏
- 玉川大学大学院 教育学部 兼 脳科学研究科 岩田 恵子 教授
ファシリテーター:
- 玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 田澤 里喜 准教授
冒頭、池本氏より「親が保育を楽しむ仕掛け」と題して、親の参画についてお話しいただきました。特にご自身も保育園にお子さんたちを10年預けている保護者としての立場から、保育園が閉ざされた空間だなと思うところもあり、海外に目を向けてみたのが、調査のきっかけということでした。
■海外では親が運営する園があり、他の運営主体に比べ一番保育の満足度が高い
池本氏は発表内で「海外では、親の参画が保育の質を高める項目にあげられていたことに驚いた。海外では、親が運営する保育園があり、国からも補助金が出て運営している。スウェーデンの保育の満足度調査で、親が運営する保育園の満足度が一番高いというのも興味深い結果だった。また海外では、保育の質を高めるためのICT活用の議論を2000年代半ばで行っている国もあるが、いまだ日本はパソコンの導入数などハードの部分の議論にとどまっているなど、かなり遅れている状況といえる。」と諸外国と比べた日本の状況について言及されました。
▼田澤 里喜准教授(玉川大学)
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▼パネルディスカッション1(池本 美香氏、大豆生田 啓友教授、岩田 恵子 教授)
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池本氏の発表を受けて、大豆生田教授は、「日本の場合は「地域子育て支援拠点」という形では進んでいる。NPOなり法人が主体となり、それに親が参画していく形をとることでしか現状は難しいのではないかと感じた。」と簡単に日本の現状にはあてはめられないのではと投げかけました。
それに対し池本氏は、「日本のNPOは場所もお金もなくやる気だけのところも多く、リソース不足であると感じている。すでにハードの面で整っている園を親子の場所としてもっと活用していくべき。ただ、現在は規制で園を使うにも申請が必要になるなど自由に使用できない現実があり、その点改善していく必要があると思う。」と今後の課題について述べられました。
■メールに添付がついた途端に送れない、園のICT環境
岩田教授からは、「オーストラリアの園のICT化を伺ったときに、ドキュメンテーションを作成する際にPC活用はもちろんのこと、ドキュメンテーション専用にソフトウェアも開発されており、使用にあたりハードルが低くなっていた。一方日本では、現在、園関係者とメールのやりとりをするときなどは、写真データが添付となった途端、大きいデータが送れないなど、園でのICTの使いにくさ、難しさを目の当たりにしている。個人情報など安全は守りながらも、使用しやすいツールや仕組みができてくるとよいなと思います。」と、岩田教授ご自身の体験から見えた現場のICT化の程度についてご共有いただきました。
それを受けて池本氏は、「日本のICT化は、ICTで何をするかという議論をせずに補助金だけついてしまっているような現状もあり、現場での活用法まで検討が及んでいないように思う。今後はICTの活用方法について議論を深めていくことが課題だと感じている。」と述べられました。
■親の楽しみのひとつが、園への参加になれば、「親の参画」が進む
大豆生田教授からは日本で「親の参画」が進まない理由は何かと池本氏に投げかけられた。池本氏は、「日本ではまず、親の労働環境で無理と言われることが多い。とはいえ、仕事以外に楽しみがあれば労働環境も変わっていくと思う。日本は仕事場以外に居場所のない人が多い。」と、会場からは苦笑いが漏れるご意見が出されました。
最後にファシリテーターの田澤准教授は、幼稚園の園長としての立場から幼稚園で感じる役割の固定化について、「幼稚園の先生は、プロとして任せてくれという意識が強いのではないかと思う。ただ、親御さんにはたくさんのリソースがあるので、もっとそれを活用して子どもに還元していくべきだと感じる。」と、親の参画が進まないことに園側の姿勢もあるのではないかと示唆されました。
【パネルディスカッション(2):「まち保育」】
パネラー:
- 玉川大学大学院 教育学研究科 大豆生田 啓友 教授
- 株式会社日本総合研究所 主任研究員 池本 美香 氏
- 有限会社 西脇写真館(新潟) 取締役 西脇 拓氏
ファシリテーター:
- 玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 田澤 里喜 准教授
パネラーには引き続き、大豆生田教授、池本氏、新たに西脇氏を迎え、「まち保育」についてディスカッションしました。西脇氏からは、自己紹介も兼ねて実際に行っている取り組みについて、以下のようにお話しいただきました。
「新潟市で60年以上、地元の写真館として幼稚園・保育園から上は専門学校まで写真撮影を行っている。2014年からは小学校で卒業アルバム作りを体験学習の一環として企画し、取り組んでいる。卒業アルバム制作には、写真館はもちろんのこと、デザインや印刷についても考えたり接したりすることで、職業体験の側面にもなっていると感じる。また、この取り組みを授業参観で実施した際には、保護者の方から、学校での子どもの様子がアルバム作りの過程をみることによってより理解できたという感想をもらっている。この取り組みの中で自身も関わる子どもたちに愛着を持てるようになると感じる。今後は、幼稚園・保育園でも写真を使った取り組みができないか検討していきたい。」とお話しされました。
▼パネルディスカッション2(池本 美香氏、大豆生田 啓友教授、西脇 拓氏)
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■外部の人間が園に入り、役割の壁をなくすことで、園もまちも元気になる
大豆生田教授は西脇氏の取り組みについて、「園に写真館が入って写真を撮影することは、園の先生たちが見逃しがちな子どもの「学びの物語」を切り取ることになるのではないかと思った。従来の記念写真的なものからは、子ども目線の面白さは伝わらない。園の中にいない第三者だからこそ、子ども目線の魅力的な写真(物語のある写真)が撮れるのではないかと、西脇写真館の取り組みを聞いて思いました。」と地域の写真館だからこそ撮れる写真の意義についてお話しされました。
同様に池本氏は、「園に第三者が入ってくることが今後は必要になってくるし、取り組みとしてよいと思った。第一部の大豆生田教授の講演でもあったように園がまちに出て行くということもあるが、なかなか難しいようにも感じる。今の園環境は閉鎖的で園の中だけで完結するとか、先生・子ども・親が決められた役割にはめてその範囲の中で活動しているところが多いので、それよりは外部の人が園に入ってさまざまな役割を担うことが重要だと思う。多様な人が園に入っていき、役割をスイッチすることによって園の運営が活性化し、地域も元気になるのではないかと思った。また、表現力がまだ備わらない子どもにとって、写真が子どもの言葉の補助になるという面もあるので、写真を使った取り組みというのも大きな魅力であると思った。」と調査からわかった写真の有効性に触れながら、感想を述べられました。
【会社概要】
社名 : 株式会社フォトクリエイト
設立 : 2002年1月24日
資本金 : 358百万円(2016年12月31日現在)
所在地 : (本社)〒160-0023
東京都新宿区西新宿6-16-6 タツミビル3F
(西日本ディビジョン)〒663-8243
兵庫県西宮市津門大箇町6番10号
代表者 : 代表取締役社長 大澤 朋陸
URL : http://photocreate.co.jp/
主要なサービス: ・オールスポーツコミュニティ( http://allsports.jp/ )
マラソン大会等各種スポーツイベントで
プロカメラマンが撮影した写真をイベント参加者向けに
販売するWebサイト
・スナップスナップ( http://snapsnap.jp/ )
園・学校等における各種イベントで
同じくプロカメラマンが撮影した写真を
ご家族に販売するWebサイト
事業概要 : ・インターネット写真事業
・フォトクラウド事業
・広告・マーケティング支援サービス
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